もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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冠動脈の分類について ー左冠動脈ー

前回の右冠動脈に続き 左冠動脈について
冠動脈分類をお話します.
左冠動脈は、左前下行枝と左回旋枝とにわかれます.
左前下行枝の病変は、直接生命予後に影響することが多く
特に重要です.
左冠動脈は、右冠動脈に比べて分岐も多く複雑で
バリエーションも多く、冠動脈造影の読影には
熟練と経験が必要になります.

a0055913_15222212.jpg


2)左冠動脈は、その根元の部分は、左主幹部と呼ばれ
#5に分類されます.左主幹部の病変は、基本的には
バイパス手術となることが多く、この部位の病変は
突然死などの原因にもなり、重要な部位です.
左主幹部(#5)から左前下行枝と、左回旋枝にわかれます.
・#6ー左主幹部から左前下行枝の第1中隔枝(First major septal branch)までを
#6とよびます.#6の起始部の病変は、左回旋枝、左主幹部に近く
治療上困難を伴うこともあり、場合によりバイパス手術が必要です.
・#7ー第1中隔枝から第2対角枝(D2)までを#7と呼びます.
・#8ー第2対角枝から末梢の左前下行枝を#8と呼びます.
・#9ー第1対角枝を#9と呼びます.
・#10ー第2対角枝を#10と呼びます.

第2対角枝がない場合には、第1中隔枝(Septal branch)より末梢から
心尖部までを2等分し、近位部を#7、遠位部を#8とします.

・#11ー左主幹部から分岐した左回旋枝の起始部を#11と呼びます.
 通常左回旋枝起始部から鈍角枝(Obtuse marginal branch OM)まで.
・#12ー左回旋枝から分岐する最初の大きな枝である鈍角枝(OM)を#12と
 呼びます.
・#13ー鈍角枝(OM)を分岐したあと、後房室間溝を走行する部分を#13と
 呼びます.
・#14ー#13から分岐して側壁を走行する側壁枝(PL)を#14と呼びます.
・#15ー#13から#14を出したあと後下降枝(PD)を#15と呼びます.

左冠動脈は分岐も多く複雑な解剖でバリエーションも多いです.
特に中隔枝、対角枝(D1、D2)、鈍角枝(OM)はバリエーションも多く
細い枝の場合もあり、教科書通りには分類できない場合もあります.
ただし、それぞれが重要な血管で、臨床的にも重要なので
しっかりと冠動脈造影で読影する必要があります.
一つの角度、方向では、細かい枝や根元の部分を確認出来ない場合もあり
1度の検査で6〜7方向程度の造影が必要になります.

血管の略語として
LMT Left Main Trunk ;左主幹部 LMCA Left main coronary artery とも
 呼ばれます.
LAD lLeft anterior descending coronary artery 左前下行枝
LAD proximal 左前下行枝 起始部(近位部)LAD just proximal ともいいます.
これらの血管は、臨床的に非常に需要です.
SB Septal branch 中隔枝
D1 first diagonal branch 第1対角枝
D2 second diagonal branch 第2対角枝
LCX Left circumflex artery 左回旋枝
OM Obtuse marginal branch 鈍角枝
PL Posterolateral artery 後側壁枝
PD Posterior descending artery 後下行枝

実際の左冠動脈造影を示します.

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左主幹部から左前下行枝、左回旋枝の末梢までが
十分に観察されています.一つの方向だけでは
細かい枝が分離できず確認できないので
さらに方向を変えて何方向か撮影し、一本一本の枝を
全て確認していきます.左主幹部、左前下行枝の起始部
左回旋枝の起始部は特に綿密に検査していきます.

治療対象となる左冠動脈造影を示します.
この方も急性心筋梗塞得で来院された患者さんです.

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左冠動脈の左前下行枝で完全閉塞となっています.
第一中隔枝は確認されず#6と分類されます.
つまり LAD #6 の完全閉塞による AMI ということになります.
(左前下行枝#6の完全閉塞による急性心筋梗塞)
ただちに緊急ステント植え込みにて無事に救命できました.
治療後は、特に合併症を起こすことなく無事に退院されています.

以上のように冠動脈分類を用いることにより
より正確に冠動脈の状態を検査することが可能になります.
この分類を用いて表現すれば
LMT #5 病変、LMT 分岐部病変、LAD #6 近位部病変
LCX #11近位部病変、RCA #1 入口部
などは、臨床的にも治療が難しい場所であり、
ステント植え込みにても再発もあり、
心臓外科医とのコラボレーションが必要になってきます.

東可児病院循環器科では、冠動脈造影の際には、造影の写真を
患者さんにお渡ししています.
また当院にて治療を受けられた患者さんにおいては、
AHA分類に基づいて、病変の部位を記載した
治療サマリーをお渡ししております.

これまでの知識を参考にしてまたご覧ください.
疑問の点は、遠慮なくお尋ねください.
by yangt3 | 2006-01-06 15:24