冠動脈造影の TIMI 分類 ー冠動脈血流の評価ー
2006年 01月 07日
冠動脈の血流の程度も評価しなければなりません.
この血流の評価のために
TIMI 分類というものが用いられます.
TIMI = Thrombolysisi in Myocardial Infarction Trial
Grade 0 ; 完全閉塞で順行性血流を認めない
全く病変部より末梢が造影されない
Grade 1 ; 明らかな造影遅延があり、末梢まで造影されない
わずかに冠動脈は造影される程度
Grade 2 ; 造影遅延を認めるが、末梢まで造影される
冠動脈は末梢まで造影されるが
造影剤が冠動脈内にたまってしまう
Grade 3 ; 末梢まで正常に造影される
全く正常の冠動脈血流
Collateral (側副血行路)
Grade 0 ; なし
Grade 1 ; かろうじてある程度、本幹が造影される
Grade 2 ; 部分的に本幹が造影される
Grade 3 : 本幹が十分に造影される
急性心筋梗塞の場合は、冠動脈が血栓で完全閉塞となります.
TIMI分類でいうと TIMI grade 0 ということになります.
そのまま放置すれば、重篤な心筋梗塞となります.
ステント植え込み治療などにて冠動脈病変を拡張
冠動脈血流を改善させなければ行けません.
治療目標としては、TIMI Grade 3 、つまり冠動脈の末梢まで
造影遅延を認めることなく良好に造影される 状態を目指します.
ステント植え込みなどにて病変を拡張しても
冠動脈血流が改善しない場合があります.TIMI grade 1、TIMI grade 2
という状態です.これは、治療に伴い、病変の細かな血栓や
動脈硬化細片(プラーク)が末梢冠動脈に飛んで塞栓となったために
起こるものです.それぞれ、No Reflow、Slow Flowなどと呼ばれ
適切な治療を行わなければ、心筋梗塞を発症します.
医療スタッフ間では、これまでの分類を用いれば
AMI の患者さん、病変は、LAD #6 100% TIMI Grade 0 にて来院.
LAD #6 にステントを植え込み 残存狭窄0%、TIMI Grade 3 に改善.
という風に情報を伝達することができます.