心機能の評価
2006年 01月 12日
行うことがあります.
左室造影とは、心臓の左室の機能や壁運動を評価するために
行うものです.心臓弁膜症の評価が必要な場合や
心不全、心筋症、心筋梗塞後などで左室機能が低下している場合に
左室機能の評価のために行います.
通常の冠動脈造影は、右手首の穿刺で行っていますが
この左室造影も右手首の穿刺で続けて、検査を行うことができます.
検査では、ピッグテールカテーテルと呼ばれるカテを使用します.
左室内までカテーテルを進めて、自動の造影装置を用いて
左室を造影します.
心臓の収縮、拡張の様子は動画で記録されます.
この収縮の状態は、自動プログラムにて評価され
Ejection Fraction (EF)駆出率という数字を得ることができます.
正常な心機能の方はEF 60% 程度あり、
心不全、心筋梗塞などの方では、EF が低下してしまいます.
心筋梗塞などでは、冠動脈の閉塞に応じて
左室壁の局所的からびまん性(全体)の壁運動の低下
壁運動異常が出現してきます.
左室造影を冠動脈造影と同様に区画にわけて
心臓のどの部分の動きが悪いかを評価していきます.
例えば、左前下行枝の心筋梗塞の場合には
Seg2、Seg 3の壁運動が低下してきます.
ひどい場合には、心室瘤と呼ばれるようになり
心臓壁が薄くなり病的に拡張してしまいます.
カテーテル治療、バイパス手術などの治療を行うことにより
低下していた左室壁運動は良好に改善していきます.
左室機能を評価する場合の用語として
Hypokinesis 壁運動低下
Akinesis 無収縮
Asynergy
Dyskinesis 壁異常運動
Asynchrony
があります.
左室造影により僧帽弁逆流の程度も評価が可能です
大動脈造影は大動脈弁逆流の評価の他
大動脈瘤など大動脈疾患の評価のために行います.
左室圧を測定することにより左室機能を
さらに詳細に分析することができます.
収縮期、拡張期の左室内圧を測定し、右心カテーテルなどと
組み合わせて、詳細に心機能を評価していきます.
(S-Gカテとよばれる右心カテーテルも上腕からの
検査が可能です)
大動脈弁狭窄症の評価においては、左室と大動脈の
圧較差をカテーテル引き抜きにて測定し
大動脈弁の重症度を判定します.
最近では、心エコー検査で 左室機能、心臓弁の機能、状態を
かなり詳細に調べる事が可能になっています.
また左室造影のために造影剤が余分に30cc〜40ccほど
必要になります.
冠動脈が正常な場合や、腎障害のある患者さんでは
左室造影は省略されることがあります.