心臓病の予防のための運動は?
2006年 02月 15日
血液中のHDL組成の改善、血圧の改善などが期待できます.
逆に普段あまり運動の習慣がない方は
心臓病などによるリスクが増加するという研究報告があります.
ある研究によりますと
椅子に座りっぱなしの職業のひとと
活動的な職業では、座りがちの仕事の方の方が
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の発生率が
2倍近く高率であるという結果が出ています.
運動による虚血性心疾患のリスクの減少は
運動の回数と運動の強度にも関係します.
基本的には、出来るだけ運動の回数が多いほうがよく
また出来る範囲で運動も強い運動のほうが効果的です.
たとえば、有酸素運動であるランニングのほうが
無酸素運動のウエイトリフティングより良いとされています.
もちろん、個々の身体状況、生活環境により
できるだけ運動をという考えです.
皆一律に、ランニングをしなさいという押し付けではありません.
家の片づけでも、家の中で軽い体操でも
ともかく、わずかでも動くことがよい結果となります.
中年以上の方や、高齢者の方では、特殊な運動(ジムでの運動、水泳など)
は困難と思われますので、簡単にできるウォーキングで
十分に確実によい効果が得られます.
できれば週3回以上のウォーキングが理想的です.
35%は冠動脈イベント(狭心症)が減らせるという研究もあります.
運動開始にあたって注意する点があります.
普段あまり運動しない人が
突然、急に激しい運動を行うと、逆に心筋梗塞などを
発症する危険があります.
以前経験した症例では、熱い夏の日に
テニスをやっているうちに急性心筋梗塞を起こした方がおられました.
突然の激しい運動では、十分な注意が必要です.
適当な休憩と、十分な水分補給が必要です.
できれば、急な激しい運動はさけ
ゆるやかに、毎日軽い運動から始めるのが
心配ないと思います.
どの程度の運動から始めるかは
かかりつけの医師と相談して、自分にあった運動を
決めるのがよいと思います.
・参考文献;エビデンス循環器病学 第2版 藤田 直也 道下 一郎