薬剤溶出ステント植え込み後の内服について(再掲)
2006年 02月 18日
パナルジン2T/日、バイアスピリン2T/日を継続して
内服する必要があります.
東可児病院では、桜井院長が脳神経外科専門のため
脳卒中の治療のために、多くの方がパナルジンを内服しておられます.
長期投与されている患者さんも多く、
パナルジンの指導、副作用については、医師、看護師、薬剤師ともに
熟知しております.
治療のために植え込みした薬剤溶出ステントが、
本来の治療効果を発揮させるために
特にパナルジンはしっかり服用する必要があります.
(2)歯科での抜歯の際にはどうするか
ステント植え込み後 2週間は、薬剤の中止により
ステントの急性血栓が発症するおそれがあります.
ステント留置後少なくとも約2週間ぐらいは、
激しい運動や汗をかくこと等を避けるのが望ましいです.
運動は1ヵ月ぐらいして状態が安定してから行うほうが理想的です.
さらに、脱水状態を避けるためにしっかり水分補給をし、
血液が濃縮しないように
十分に留意する必要があります.
厚生省の指導では、植え込み後3ヶ月は
パナルジンを続ける必要があります.
その後もバイアスピリンは、できるだけ続行する必要があります.
歯科医院で抜歯する際に、薬を止めないと手術しないと言われた場合
どうしたらよいのでしょうか.
その場合には、必ず循環器担当医師に相談して頂くようにお願いします.
少なくとも植え込み後2週間は、抜歯などの処置も延期するほうが
望ましいです.
それ以降でも、ステント後の薬剤の中止に関しては
循環器担当医の管理下で行う必要があります.
(慢性血栓閉塞の問題がありますので)
(3)東可児病院は、近隣の開業医の先生方と
密接な病診連携を行っており
治療後の内服続行、血液検査については、かかりつけ医で
行っていただくことも可能です.
皮疹や肝障害などの副作用が出た場合は、
当院循環器科にて対応させていただきます.
基本的な方針としては、パナルジンを中止して
アスピリンのみを継続しています.
ステント留置からの経過時間が、薬剤中止可能の目安になります.
留置後1ヵ月以内に副作用が出た場合は、
パナルジンを中止しクロピドグレル投与が理想です.
ただし、現在、クロピドグレルはまた使用できませんので
基本的にプレタール(シロスタゾール)で代替します.
留置後2ヵ月以降は、そのままアスピリン単独投与となります.
バイアスピリンでも副作用がないわけではありません.
アスピリン単独となっても副作用に注意して内服を続けます.
胃潰瘍出血、外傷、脳出血の場合は、アスピリンもパナルジンも
中止せざるを得ません.
外科手術の場合、循環器的な立場からは可能な限り
アスピリンとパナルジンの継続をお願いします.
時には、ヘパリン持続点滴で対応することもあります.
外科医と循環器科医との連携が必要になります.
幸いに現在の薬剤溶出ステント Cypherでは、
重篤な合併症は経験しておりません.
以前の非薬剤溶出ステントの時代には、ステント植え込み後に
緊急手術のために、アスピリン、パナルジンを中止、
代わりにヘパリンを持続投与しましたが、手術後3日目に
ステントの血栓症により心筋梗塞が起こりました.
すぐに、緊急カテを施行し、追加ステント植え込みにより
問題なく軽快しています.