もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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高血圧前症は冠動脈疾患、心筋梗塞のリスク上昇と関連する

高血圧が心血管系イベントの増加に関連していることは
周知の事実です.
早朝高血圧、夜間高血圧、夜間睡眠時高血圧が
脳梗塞の増加に繋がるということは、前回紹介した通りです.
心筋梗塞、冠動脈疾患(狭心症)についてはどうでしょうか.
米国の有名なフラミンガ厶研究によると
高血圧により狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患の危険性は
健康人に比較して約3倍高くなるとされています.
高血圧にさらにいろいろな危険因子を伴うと
さらに虚血性心疾患のリスクは上昇します.a0055913_884588.gif
高脂血症、喫煙が高血圧に加わるとリスクは
16倍になるといわれています.
高血圧は自覚症状がありませんが
放置すると心臓への負担が増えます.
血圧上昇による心臓の負担増加から左室肥大(心臓肥大)が
起こってきます.
心臓肥大が進行すると虚血性心疾患、心不全なども
起こしやすくなります.
高血圧による動脈硬化(冠動脈、大動脈、末梢血管)の進行により
さらに心臓への負担は増えます.
悪循環が繰り返し、心臓病のリスクが増加します.
このように心臓病の予防のために高血圧の治療は
非常に重要なことです.

さらに最近の研究によると、今まで正常血圧とされてきた
人たちの中でも高目の血圧の方については
心血管疾患のリスクが増えるというデータがでています.
Am J Med 2006;119:133-141.
University of North Carolineの
Abhijit V. Kshirsagar博士らによる研究です.
Kshirsagar博士らは、
Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)studyにて
約9,000名の男女を被験者として、
前高血圧状態と心血管疾患の初発リスクを調査しています.

高血圧前症は、
「収縮期血圧:120〜139mmHg、または拡張期血圧:80〜89mmHg」と定義されます.

研究者らは、
ベースライン時血圧が正常範囲内にあるも高めであった被験者の方が、
適正血圧の被験者に比べて、
心血管疾患の主要危険因子の発現率が高かったと報告しています.
11.6年間の追跡調査を実施したところ、
適正血圧群(収縮期血圧<120mmHg、拡張期血圧<80mmHg)、
正常血圧群(収縮期血圧120〜130mmHg、拡張期血圧80〜85mmH g)、
正常高め血圧群(収縮期血圧130〜140mmHg、拡張期血圧85〜90mmHg)と
血圧が上昇するにしたがい、心血管疾患の発生率は有意に上昇したとのことです.

すべてのサブグループ群において、
正常および正常高めの血圧の被験者に心血管疾患が発生しており、
心血管疾患事象のほとんどは脳卒中ではなく冠状動脈性心疾患であったそうです.
特に、黒人、糖尿病、LDL値が100〜129mg/dL、
肥満度指数が30より上である被験者で、
心血管疾患リスクが高くなることが観察された。
研究者らは「前高血圧状態にあると、心血管疾患の発生率が有意に高くなる.
今まで正常血圧とされてきた人々を被験者として
ランダム化治療試験を実施して治療介入の効果を評価する必要がある」と結論しています.
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このように
いままで正常血圧とされていた方でも
高血圧前症とよばれる 高目の血圧の方においては
将来の心筋梗塞、冠動脈疾患の予防のために
積極的な血圧降下が必要になると思われます.
どのような降圧剤、内服治療が適切かは結論がでていませんが
高脂血症、糖尿病、肥満、喫煙などの
危険因子の軽減、生活習慣、ライフスタイルの改善など
すぐに今日から始められる
リスク軽減はすぐに取りかかるべきだと言えます.

高血圧前症に当てはまる方は
定期的に内科医・循環器科医の診療を受けられることを
お勧めします.
by yangt3 | 2006-03-10 08:10 | 一般