もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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経皮的気管切開の手順 パート2

1)患者の頚部を、肩に枕等を使って伸展させ、体位をとります.

2)穿刺ポイント
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穿刺部は、第1、第2気管軟骨間 または 第2、第3気管軟骨間の
靭帯を目標とします.
局部を消毒し、再度患者さんのランドマークを確認しマーキングします.
(甲状軟骨、輪状軟骨、第1、第2、第3気管軟骨)
人工呼吸器の設定を FiO2 100% に設定.
心電図モニタ、SpO2モニタなどをベッドサイドに配置します.
あらかじめ挿管されている場合が多いのですが
気管切開の前に気管挿管チューブを
手技の邪魔にならないように、チューブのカフが
声門の真上になるまで、気管チューブを引き抜きます.
この位置で再度カフを膨らませ、介助者が保持します.
できれば喉頭鏡を用いて確認しながらの
位置決めが確実です.
気管切開が終了するまで必ずスタッフが、
患者さんの頭側にたち、気道チューブを保持している必要があります.
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3)輪状軟骨、甲状軟骨などのランドマークを確認し
穿刺予定部の皮膚を十分に局所麻酔を施行します.
そのまま局麻穿刺針で気管穿刺を施行し、本番の穿刺ラインを確認します.
穿刺ラインを確認後、皮膚切開を加えます.
通常の外科的気管切開のような大きな切開は必要なく
むしろ止血効果を高める為に、気管切開チューブが留置できるほどの
切開で十分です.

3)再度パイロット針で試験穿刺を行った後
キットの専用の留置針で、マークした穿刺予定部位を穿刺します.
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生食水3〜5cc入れたシリンジを装着し
気管内に入った確認はエアの逆流で行います.
針先が気管内にあることを確認後、内筒を抜き取り、
尾側に向けて留置カニューラ(外筒)を導入します.
この留置針による気管の穿刺が重要なポイントです.
私的なコツとしては、皮膚切開を行った後で
今一度、輪状軟骨を確認します.この輪状軟骨の下縁から
1〜2mmのポイントから穿刺すると、ほとんど問題なく穿刺できます.
いままで数多くの経皮的気管切開を行ってきましたが
この穿刺手技で、甲状腺などを穿刺して出血に難渋した経験は
今のところありません.
ワンポイントで穿刺し、以後はセルジンガー法で
その穿刺部位を拡張するため
穿刺さえよい位置に決まれば、以後の処置で出血に困ることも
あまりありません.

4)気管内に挿入したカニューラよりガイドワイヤーを挿入します.
ガイドワイヤーイントロデューサーによって、
ガイドワイヤー先端のJチップをまっすぐにして挿入します.

5)ガイドワイヤーを気管内に挿入します.10cm程度までは挿入.
挿入したガイドワイヤーが自由に動き、抵抗がないことを確認します.
問題なければ、カニューレを抜去します.
このガイドワイヤー挿入が一番重要です.
前述の気管チューブの引き抜きが不十分であると
ガイドワイヤーが気管チューブにあたり、強い抵抗を感じて
ガイドワイヤーが挿入困難となります.
挿入したガイドワイヤーが自由に動かない場合は、
ガイドワイヤーがうまく気管内に入っていない可能性もあり
再度、穿刺からやり直す必要があります.
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6)ガイドワイヤーが気管内にあることをしっかり確認後
セルジンガー法に従って穿刺部位を拡張していきます.
まず付属のプラスティック・ダイレーターをガイドワイヤーに沿って
挿入し、皮下組織部と気管壁を拡張していきます.
十分に拡張したらプラスティック・ダイレーターを抜去します.
それほど出血はみられないはずです.
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7)続いて専用鉗子を用いてさらに内腔を拡張していきます.
この鉗子は特別な工夫がしてあり、鉗子を閉じた状態で
ガイドワイヤーを通すルーメンが付けてあります.
ガイドワイヤーを通じてこの専用鉗子を気管まで、はずれることなく
進めることができます.(まさにセルジンガー法ですね).
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8)ガイドワイヤーに沿って気管まで進めたあと
鉗子を開いて、皮下組織ブを十分に拡張します.
拡張操作後に、鉗子を開いた状態で鉗子を引き抜きます.
この際に、切開部から、喀痰や分泌物、血液などが核出されることがあり
術者、助手、介助者に飛沫がかからないように細心の注意が必要です.
気管の切開部を拡げることにより、換気効率が落ちますので
拡張の操作は、しっかりと確実に素早く行う必要があります.
あわてて手技を行うと、鉗子の先でガイドワイヤーを曲げてしまい
以後の操作が困難になることもあり、あくまで慎重に行います.

9)引き続き拡張操作を繰り返します.
再度ガイドワイヤーに沿って専用鉗子を挿入します.
気管壁まで進めて、鉗子の抵抗消失で鉗子が気管壁を通過したことを
確認します.通常はそれほど強い抵抗もなくスムーズに気管内まで
鉗子が到達します.

10)専用鉗子の拡張操作を行う前に、ガイドワイヤーが自由に動くことを
確認します.手技を進める際に少しでも抵抗があった場合には
ガイドワイヤーが自由に動くことを頻回に確認する必要があります.
ガイドワイヤーが抵抗があり自由に動かない場合は
手技の途中でガイドワイヤーが折れ曲がり
皮下組織部に誤った挿入ロが形成されている可能性があります.
鉗子を引き抜き、ガイドワイヤーが曲がっていないかどうか
ガイドワイヤーが自由に動くかどうか確認します.
もしガイドワイヤーが曲がっていた場合には、
曲がっていない傷んでいないガイドワイヤーの部分で手技を続行します.

11)専用鉗子がきちんと気管内にあることを確認した後
鉗子のハンドルを持ち上げると、鉗子の先端が気管内に完全に挿入されます.

12)鉗子が気管内に確実に挿入されている位置で
両手で鉗子をしっかりと開き、気管切開チューブが挿入できるまで気管壁の拡張を
行います.鉗子が開いた状態で引き抜きます.
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この専用鉗子による気管支壁の拡張は数回行います.
高齢者の方、透析を受けておられる方などでは
気管壁が固くなっていることが多く、かなりしっかりと拡張操作を行う必要が
あります.
もしこの拡張操作が不十分であった場合、
気管切開チューブの挿入が困難となるばかりか
チューブ挿入の際にガイドワイヤーを痛めたり、曲げたりすることもあり、
また手技時間も長くなりますので
拡張をしっかり行うことが重要です.
この数回の拡張の際にも、頻回にガイドワイヤーが自由に動くことを
確認します.あわててガイドワイヤーが抜けないようにします.

13)十分に気管壁を拡張行った後、ガイドワイヤーを介して
キシロカインゼリーで潤滑にした、気管切開チューブを挿入します.
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これまでの手順を十分に行っていれば、それほど抵抗もなく
気管内にチューブを進めることができるはずです.
気管内に気管切開チューブが挿入されたあと
ガイドワイヤーとオブチュレーターを抜去、カフを膨らませます.
経口の気管挿管チューブを抜去し、
気管切開チューブより換気を続行します.人工呼吸を行っている場合には
人工呼吸器を接続します.
私は気管切開チューブの人為的な抜去を防ぐために
1〜2針皮膚に固定を行っています.
初期のマニュアルでは、気管切開を行った後
気管支ファイバーでチューブが気管にあることを確認することと
なっていましたが、ガイドワイヤーが自由に動くことを
常に確認し、それぞれの手順を確実に行えばそれほど問題なく
安全な手技です.
by yangt3 | 2006-03-11 12:28