もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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心臓突然死

我が国では、年間5〜6万人の心臓突然死が発生するといわれます.
心臓突然死とは
・非事故性の自然死
・予期しない急速な経過をたどった死
・その中でも瞬間死またはそれに近い死
と定義されるものです.
発生から1時間以内の経過といわれます.

運動時に11%、入浴時に11%、睡眠時に34%と
日常生活の中で起こります.
心臓突然死の原因となる心電図所見としては
心室細動(Vf)、心室頻拍(VT)が最も多いとされています.

心室細動(Vf)、心室頻拍(VT)は致死的心室性不整脈とよばれています.
原因としては、
・心筋梗塞、狭心症などの虚血性心疾患(最も多い)
・心筋症
・WPW症候群(頻度はまれ)、先天性QT 延長症候群など
・Brugada症候群(特発性心室細動)
などです.

心室細動、心室頻拍が突然生じることにより
心臓機能が突然停止し、不幸な転機にいたります.

心臓突然死の治療の大部分は
この心室細動、心室頻拍の予防、診断、治療ということになります.

上記の基礎疾患の治療に加えて
心室細動、心室頻拍の薬物治療としては
アミオダロン、ソタロールなどのIII群坑不整脈薬が用いられます.
βブロッカーも用いられます.
緊急時の対応としては、病院外であれば AEDということになります.

薬以外の治療法としては
ペースメーカーのように植え込みを行う
植え込み型除細動器(ICD)が行われます.

欧米では、心臓突然死予防に向けて
この植え込み型除細動器の使用が急増しています.
日本では、特定の医療機関でのみこのICDの植え込みが可能であり
いまだ一次予防のための予防的植え込みは
保険償還されていないのが現状です.

もうひとつの方法としては、各家庭に1台のAEDというものですが
これが実現するには、まだまだ多くの困難がありそうです.

結論としては、心臓突然死も
心室細動、心室頻拍への対応ということになり
目の前で発生すれば、すぐにAEDという対応になります.
by yangt3 | 2006-03-12 21:39