もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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ベータ遮断薬の使用で心不全の死亡率が減少

心不全で入院している患者で適応のある人全員に
ベータ遮断薬を退院時に処方すると何万もの命を救命できます.
心不全の方の退院時にベータ遮断薬であるカルベジロール
(日本での薬品名 アーチスト)を投与した患者の死亡リスクは
未投与の患者の半分以下になることが判りました.

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最近の10年の間に心臓病治療において
ベータ遮断薬の使用が非常に有用であることが証明されてきました.
2006年3月にアメリカで行われた米国心臓病協会(ACC)の
Scientific Sessionでベータ遮断薬が心不全に有用であることが
改めて発表されています.
カリフォルニア大学(ロサンゼルス)のGregg C. Fonarow. MD
らによって発表されたものです.

研究の対象となったのは
左室収縮機能不全がある心不全患者総数2373例の方です.
これらの心不全の患者のうち1162例(49%)には
退院時にベータ遮断薬であるカルベジロール(アーチスト)を投与し、
820例(35%)には退院時に別のベータ遮断薬を投与し、
382例(16%)にはβ遮断薬治療を行わなずに検討しました.

患者を60日から90日間追跡し調査研究しています.

追跡期間において、カルベジロール(アーチスト)使用に伴い、
全死因死亡率のリスクが小さくなり、
未治療群との比較で5.6%対11.1%(P=0.0003)でした.
カルベジロールを投与された患者はさらに、
有意ではないが再入院のリスクが低くなって
29.0%対33.3%(P=0.1165)になり、
死亡または再入院のリスクは有意に低く、
未治療群との比較が32.5%対42%(P=0.0008)になりました.

つまり心不全をカルベジロール(アーチスト)で治療すると
心不全の患者の死亡リスクが51%も少なくなるということです.
この治療方針によって100名あたり8名がさらに救命できるということです.

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実際には心不全の患者さんにおいて
まだまだこのベータ遮断薬が処方されることが少ないのが現状です.
ベータ遮断薬が禁忌でない心不全の患者さんには
できるだけベータ遮断薬の投与を受けることが重要です.

β遮断薬治療が有病率と死亡率の低減に重要な働きをするということが
発見されてから、すでに10年も経っているいます.
高脂血症の薬剤であるスタチンと同様に、
ベータ遮断薬も、心臓病の患者さんの死亡率の減少、症状の改善のために
もっと積極的に投与されることが必要です.

東可児病院 循環器科でも
積極的に心不全の患者さんで適応がある方には
ベータ遮断薬(アーチスト)の投与を行っております.

(注;ベータ遮断薬は、気管支ぜん息、糖尿病などの方には
  病状を悪化させる恐れがあり注意が必要です.)

詳しくは、担当の先生と相談して下さい
by yangt3 | 2006-03-29 07:50