もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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狭心症の透析患者さんのカテーテル治療

長期にわたり透析を受けておられる
慢性腎不全の患者さんが心不全、狭心症の増悪をきたしました.
心臓カテーテル検査にて左右の冠動脈に狭窄を認めました.
これらの病変に対してカテーテル治療を行いました.
今回、右冠動脈の病変に対して
ステント植え込み治療を行いました.

術前の右冠動脈造影です.

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右冠動脈の起始部(#1)に 90%の狭窄を認めました.
通常は、橈骨動脈を用いて手首からの治療となりますが
透析患者さんの場合は、透析シャントの関係があり
大腿動脈よりカテーテル治療を行いました.
ターゲットは右冠動脈 #1 90%です.
治療前の問題点として
・右冠動脈の根元(起始部)の病変であり
 ステントの位置決めをきちんとする必要がある.
・長期の透析患者さんの場合、病変が強い石灰化を
 伴うことがある(つまり治療抵抗性がある)
・大動脈や大きな血管の蛇行や動脈硬化が強く
 カテーテルの操作が困難なことがある.
・上記の理由により、末梢冠動脈への大きな解離の進行、
 強い石灰化のためステントが拡がらない可能性がある、
 逆にステント植え込みにて冠動脈穿孔の危険がある、
 右冠動脈起始部から大動脈への大動脈解離への進行のおそれがある、
 ステントの病変の通過が困難な可能性がある、
 などなどが考えられます.

透析を受けておられない患者さんに比べると
多くのリスクを考慮した上で治療に臨まないといけません.

これらのリスクの考慮は
あくまで治療術者、介助者の頭の中で準備されているだけで
実際には、何も問題がなくスムーズに終わることがほとんどです.
あらゆるリスクに備え
万が一にも不測の事態が生じても
すぐに対処ができるよう、必要な医療機器を多くのスタッフを
そろえ治療に当たっています.

実にステント治療の場合には、10人以上のスタッフが
カテ室につめております.
まさしくチーム医療です.

冠動脈造影のみでなく、血管内超音波の所見を参考にして
治療の方法や、治療の安全性などを判断していきます.

今回は、血管内超音波で、石灰化は認められるものの
ステントの挿入、ステントの十分な拡張が可能と判断し
治療を続行しました.

治療としては
・病変のバルーンによる前拡張
 病変をあらかじめ拡張しステントの通過と拡張を容易にする
・造影、血管内超音波による血管径をもとにステントを選択
 病変にステントを植え込み(薬剤溶出ステントの植え込み)
・ステント植え込み後の造影所見、血管内超音波の所見を参考に
 拡張が不十分と判断すれば、追加のバルーンにてさらに拡張を追加
 (後拡張)
という手順で進められます.

前拡張
a0055913_8415770.gif


ステント植え込み
a0055913_8422658.gif

Cypher 3.0 x 18 mmを右冠動脈起始部から
病変をカバーするように位置決めし16気圧にて植え込みしました.

ステントの病変での拡張が不十分であったため後拡張を追加しました
a0055913_8425784.gif

3.25mmバルーンで最大16気圧で拡張しています.

造影でも、血管内超音波でも良好に病変が拡張し
冠動脈血流も良好でした.

a0055913_8432038.gif


通常 透析患者さんのカテーテル治療の後は
使用した造影剤を体内から除去するために術後透析を行いますが
この方の場合は、使用した造影剤が比較的少量で済んだことと
比較的、短時間で治療が終了したため
翌日の予定透析としました.
治療後は、特に問題はありません.

慢性透析患者さんの場合、狭心症痛や疼痛などの症状が乏しく
心不全、透析困難などの症状がでるまで
狭心症の診断が困難なことがあります.
比較的早期に心臓カテーテル検査などの精密検査を受ければ
カテーテル治療による安全な治療が可能です.

動脈硬化が長期にわたり、冠動脈の石灰化が進行すると
カテーテル治療抵抗性となり
場合によっては、バイパス手術が必要になることがあります.

心筋梗塞、狭心症は、透析患者さんの重要な合併症ですので
心臓に関しては、定期的な検査が必要であり
狭心症の疑いがあれば、早めの精密検査を受けることで
心筋梗塞などを起こす前に治療が可能になります.
by yangt3 | 2006-04-05 08:43