もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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人工呼吸器と延命治療の問題

人工呼吸器と延命治療の問題
最近 延命治療と人工呼吸器の問題が
射水市民病院の延命措置中止事案以後に
マスコミに取り上げられ
市民の皆さんの関心も高まっています.
人命と人間の尊厳という観点からすると
すぐには結論の出ない問題であり
個別に考えて行く必要がありそうです.





富山大学付属病院 救急治療室
救急専門医 奥寺 敬 教授の コラムがありました.

人工呼吸器、救急現場からの問題提起
KNB NEWS 06年4月13日
http://www2.knb.ne.jp/news/20060413_6726.htm

a0055913_0484330.jpg


以下上の記事からの引用です.
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人の命を救う最前線からの問題提起です。
富山大学付属病院の救急治療室。
運ばれてきた人の生死を左右する最前線の現場です。
1台およそ500万円、自分で呼吸することが困難な患者に、
酸素と空気を混ぜて肺に送り込みます。

奥寺教授は、医療には救急現場で命を救う急性期医療と、
入院患者などへ治療を行う慢性期医療の2つがあると指摘します。
 
奥寺教授は「人工呼吸器にはいろんな顔がある、
急性期医療の中では、大変大きな働きをする機械です、
この機械で命が助かったという場合も多くあります」
「一方、慢性期になりますと、人工呼吸器を使うことで
ある一定の期間を生きながらえるという可能性もないわけではない」
「たぶん、そのあたりが少しイメージとして混乱しているのかなと思う」

入院患者の容態急変はある程度、想定できるもので、
人工呼吸器を使用するかなどは
事前に患者と医師の間で話し合っておく必要があるとしています。
一方、急性期医療は、少なくても3日間、
72時間は治療を続けることが大前提だと強調します。

(家族がもういいですと言っても救命は続けるのか?)
奥寺教授は「今、私たちのやっているやり方で言いますと、
家族にはお話をしつつ、了解を得つつ救命を続行することになる」

人の命を救うためにこそ存在する救急の現場では、
救命措置の中止はあり得ません。
しかし、蘇生の可能性がなくなったと判断すれば、
その時点で救命措置を中止します。

奥寺教授は「血液検査であるとか心電図とか、
患者の検査結果を見ながらこれは限界が近いかなということは、
はっきりする場面もある」
(家族には伝える?)
「必要があれば話す場合もあります」
例えば、停止した心臓に電気ショックを与えて
蘇生するAEDは5、6回が限度で、それ以上やると心臓が破裂します。

(助からないと判断した場合は?)
「それ以上の蘇生は行わないと、蘇生の(可能性が残る)手前の状態は
(救命措置を)続けるということになる」
(その見極めのラインは)
「難しいです」

その上で奥寺教授は、今回の問題の原因は、2つあると指摘します。

一つは、医師の人手不足です。
奥寺教授は
「医師の数が少ないとガンの治療に携わるべきドクターが
救急外来もやらなければいけないと、
さらに場合によっては病棟で終末期の方を診なければいけない局面になる」
「チームで医療として判断すると、しかもそのチームが複数であれば
より客観的に誰から見ても納得できる医療が展開される」

もう一つは、意識がない患者に対する意思確認の難しさです。

奥寺教授は「今現在では、脳死臓器提供においてのみ
意思表示カードは日本では普及しつつある、
その場合では本人の意思確認ができると、
それ以外のシステムは日本では今のところは
確立されていないと思います、
従って確認する術がないというのが現状です」
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このように奥寺教授が述べられているように
延命か蘇生可能かという問題は非常に難しいと思われます.
その見極めも線引きも難しいことです.
医療技術の発達により
治療の限界と思われていたラインが治療可能になることもあります.
少なくとも救急医療の場においては
家族の方と十分にお話しながら
可能な救命治療を続けるという前提で
これからも救急を受け入れることになります.
尊厳や延命治療のガイドラインが統一され
法律も整備されれば、その時には、それに従うことになります.
それまでは、患者さんの状態を見ながら
悩みながら治療を続けて行くでしょう.

いまは、救急医療に携わる医療人の一人として
あらゆる治療手段を講じても
それでも救うことの出来ない生命があることが
悲しい限りです.
by yangt3 | 2006-04-17 00:49 | 一般