もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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自分の細胞で心臓を再生治療

以前紹介した記事の中で
幹細胞の膜を使用した心筋梗塞の治療を
ご紹介しました.

幹細胞の膜で心筋梗塞治療
http://tomochans.exblog.jp/tb/3430575

これは、血管や心筋になる能力がある幹細胞を薄膜状に培養して、
心筋梗塞を起こした心臓にはり付け、機能を回復させる治療であり、
国立循環器病センターや東京女子医大などのチームが
ネズミを使った実験で成功したものでした.

現在では、この治療法と関連した再生治療として
患者自身の骨髄細胞を使用して
心筋梗塞や拡張型心筋症の治療が行われているそうです.

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自分の細胞で心臓“再生” 切開せず患者の負担減
Sankei Web 2006.5.7付 
http://www.sankei.co.jp/news/060507/sha041.htm
(以下、記事より引用)

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心筋梗塞(こうそく)などで機能が弱った心臓に、自分の骨髄から採取した細胞を注入、
新たに心臓の筋肉(心筋)や血管を作り出し、心臓の機能を回復する再生医療が
効果を上げている。自分の細胞を移植するため、拒絶反応がなく、また治療による
体への負担も少なく、心臓移植の待機患者への治療法としても注目を集めている。

治療を行っているのは大阪府吹田市の国立循環器病センター「再生医療部」の
永谷憲歳部長らの研究チーム。「心筋血管再生療法」と呼ばれ、
日本では同センターしか行っていない。
平成十六年五月からこれまでに、既存の治療法では完治できない
難治性心不全の三十代から七十代の男女八人の患者に治療を実施、
うち七人に心筋や血管の再生が確認された。

心筋梗塞や拡張型心筋症では、心筋や血管が壊死(えし)して、
血液を送り出す力が弱くなる。根本的な治療法として心臓移植があるが、
国内では実施例も限られている。

心筋血管再生療法は、患者自らの骨髄液を約十五ミリリットル採取、
その中から「間葉系幹細胞」と呼ばれる心筋や血管に成長する機能を持つ特殊な細胞を分離、
約百万倍に増殖し、この細胞をカテーテルと呼ばれる注射針の付いたパイプで、
心臓の壊死した部分に注入する。心臓の壊死した部分を狙って細胞を注入するには
高度の技術が必要だが、直径約二ミリのカテーテルを太ももから挿入するため、
胸部を大きく切開する必要がなく、心臓の弱った患者にも優しい治療法といえる。

同治療をした患者八人のうち、この五月に治療を行ったばかりの一人を除いた七人全員に、
心筋や血管の再生が確認された。
永谷部長は「動物実験ではこの治療により、約8%の心筋の再生が確認されている。
人間でも同じような効果があるのではないか」とみる。
血流が改善されて、酸素が全身に行き渡るようになったことから、
患者の多くがこれまで感じていためまいや息苦しさなどの症状が改善、中には退院後、
それまでできなかったふとんの上げ下ろしができるまで回復した患者もいるという。

完治に至る治療法ではないが、息苦しさなどに悩む患者にとって、
生活の質(QOL)の向上が見込め、
また心臓移植までの「つなぎ治療」としても有効とみられる。

 永谷部長は「今後の成果をみて適応範囲を拡大していきたい。
また移植した細胞が心筋にしっかり定着するよう工夫を重ね、
多くの患者に対応できるようにしたい」と話している。
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先の幹細胞を使った治療がマウスでの実験であるのに比べて
今回の記事では、実際に実際の患者さんで臨床的に使用されている治療法の
紹介となっています.
今回の人体に応用された治療でも基本となっているのは、「幹細胞」です.
治療に有効な幹細胞がどれだけ純粋に多量に採取できるかという
技術的な問題で
皮下脂肪からとるか、骨髄からの採取からかの違いがあります.
具体的な患者さんへの投与においては、前回の記事では、幹細胞を増殖させて作った
膜を手術で心筋が薄くなった所に貼り付けるというものでした.
今回の臨床応用された治療では、採取、分離、増殖させた幹細胞を
循環器科医には、日常のツールである、カテーテルを用いて
心臓に直接投与するという方法が選択されています.
幹細胞の処理をのぞけば、カテーテルを用いて、心臓の壊死した部分に
細胞を注入する事は、カテーテルを日常的に行い、ステント治療などを行っている
循環器の医者であれば、なんら問題なく施行可能です.
この治療法の普及には、幹細胞の採取、分離、増殖を行う
設備と技術がネックとなりそうです.

現在までに8人に治療を施行し7人に有効であったということからも
この治療法に大きな期待がもたれます.

今後、治療法として確立すれば、多くの患者さんに恩恵をもたらすことに
なると想います.
by yangt3 | 2006-05-08 00:11 | ニュース