もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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SafeCut -- 新しい治療用のバルーン

狭心症や心筋梗塞の治療は
近年の薬剤溶出ステント ー Cypher ー の導入により
劇的な進歩を遂げました.
治療後の坑血小板薬の使用に注意が必要なことと
慢性期の経過観察に専門的な注意が必要なことがありますが
適切に薬剤溶出ステントで治療された方の
再発(病変の再狭窄)は確実に激変しました.

その一方で従来から治療困難と考えられてきた
つまりバイパス手術の適応と考えられてきた症例にも
積極的に薬剤溶出ステントを用いたカテーテル治療が
試みられています.

具体的な治療対象としては
・左主幹部病変(左冠動脈の根元の病変)
・透析患者や糖尿病患者さんでみられるような
 石灰化の強い病変、などです.
その他、びまん性病変、多枝病変、慢性閉塞性病変などは
以前よりもさらに積極的に
カテーテル治療が行われるようになりました.

カテーテル治療をうまく行う為には
ステントだけでなく、その他の道具(デバイス)にも
工夫が必要になります.

今回、新しい治療用のバルーンが開発されました.

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新しいバルーンはSafeCutというバルーンです.
ネイチメディカル社より発売されています.
従来のバルーンと異なるところは
バルーンの表面に一本のガイドワイヤーが仕込んであることです.
通常のガイドワイヤーと合わせ、2本のガイドワイヤーが
バルーンの表面にあり、バルーン拡張に合わせて
この2本のワイヤーが、より効果的に
病変を拡張させることになります.

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従来、カッティングバルーンというバルーンがありました.
現在も時に使用されています.
(透析患者さんのシャントの治療にも用いられています)
これは、バルーンに金属製の小さなカッターがついていて
バルーン拡張ともにこのカッターが動脈硬化病変に
”切れ目”を入れて効果的に拡張させることができました.

カッティングバルーンの問題点としては、
バルーンの通過性が比較的困難で
しばしば固い病変や、びまん性の病変にはバルーンが通過しない
といったことがありました.
最近では、バルーンの性能が上がり、カッティングバルーンの
使用頻度は減少しています.

今回発表された SafeCutは、原理としては
カッティングバルーンと同様の効果を狙っています.
もちろんカッターではなく2本のワイヤーを用いている分
カッティング(切れ目を入れる)効果は、それほど大きくないかも
しれません.
ただし病変の通過性は非常に改善されているのが特徴です.

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海外での臨床応用としては
ステントを入れるかどうか迷うような細い病変に
このSafeCutバルーンを用いて良好な拡張を得ています.

さらにステントの再狭窄の治療にも用いられて
良好な成績を収めています.

東可児病院では、いち早く
このSafeCut バルーンを導入し臨床応用を開始しています.

上記の適応以外に、
分岐部病変にステントを植え込み時に
分岐部をこのSafeCut で拡張し、本管のみに
Cypherステントを植え込むなどの使用方法を考えています.

このSafeCutと Cypherステントをうまく組み合わせて使うのが
しばらくのTipsになりそうです.

分岐部ステントにおいて、分岐部の再狭窄が治療上の問題となっており
このSafeCut バルーンを使用することで
ひとつの解決の道に繋がる可能性があります.

PS. ネイチメディカルの担当の山下さんには
前職時代から変わらぬ配慮をしていただき、感謝しています.
by yangt3 | 2006-05-30 08:45 | ニュース