もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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一人でいることの怖さ

新しい臨床研修制度のために
大学病院で初年度から研修を受ける若い先生の数は
激変しています.

私の母校でも100人の卒業生中10人程度と聞いています.
現時点では、大学でも人員不足におそわれ
各地域に派遣している医局派遣医師を大学に
引き上げています.

有名な病院や、人気のある病院とは違い
一般的な地方の病院では、当直にあてる人員の確保も
大変になっています.

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私が前に努めていた病院は、
当直には、内科、外科、小児科の各科医師の3人が必ず当直し
それに加えて、産婦人科医師が必ずオンコールとなっていました.
さらに研修医の先生が1〜2名当直していました.
たいていの救急、時間外においてもマンパワーで困る事はありませんでした.
外傷患者が重なったり、病棟での急変などが重なっても
当直者全員で協力しあって乗り切っていました.
夜間に外科の緊急手術をしながら並列で
心筋梗塞のカテーテル治療を行うなどということも
当直帯に可能でした.

このようなしっかりとした当直体制を維持するのは
実は、勤務する医師やスタッフにかなりの負担をかけることになります.
結局、諸般の事情により、当直体制は縮小されていきました.
外科オンコール、消化器オンコール、循環器オンコールなど
種々の専門医のオンコールというお守りがついた形で
非専門医が当直業務にあたることになったのでした.
そうした形で、さらにスタッフへの負担は逆に増えて行ったのです.
結局、前の病院を辞める頃には、各科スタッフともに
かなり疲労困憊しているようでした.

今は、多くの病院がこうして限られたスタッフをできるだけ活用して
当直体制を組んでいると思いますが
余裕のあるところは、どこもないと思います.

当直として様々な時間外、救急に対応していますが
循環器科としての専門性が必要になる局面は1割程度です.

ほとんどは、発熱や小さな外傷などが大半です.
そうしたありふれた状態の中から、本当の病気を見逃さないように
しなければならず、気を抜く事はできません.

少人数のケア、少数精鋭というと聞こえがいいのですが
スタッフの心のケアは一番大切だと思います.

興味のある記事を紹介します.
----------------------一人夜勤が生む手抜き
2006.5.30. 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kaigo/kokoro/20060530ik0a.htm

「生活とリハビリ研究所」代表の三好 春樹さんの文章です.

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 少人数のケアが推進されている。
 しかし、必ずしもいいことばかりではない。
 グループホームなどでは、夜の仕事に2人の職員をあてるのは無理で、
 1人での夜間勤務となる。この「一人夜勤」が問題なのだ。

 私の友人の介護福祉士は、この一人夜勤をしてみて初めて
 介護家族の気持ちがわかる気がしたという。「寂しいんですよ」。
 施設の寮母経験二十数年の怖いものなどなさそうな
 オバちゃんがそう言うのだ。「いま利用者に何か起こっても、
 誰もその状況を共有してくれる人がいないと思うと不安でしようがないんです」

 一人夜勤の問題点はまだある。自分以外は
 惚(ぼ)けのある要介護老人だとなると、疲れているときは
 手を抜きがちになるのだ。どんな人格者でも、
 誰も見ていないとなると堕落するのだ。2人ならそんなことはない。
 互いに監視し合っているわけではないが、
 他者の目があればちゃんとしようと思うものだ。

 私たちが心配し、指摘してきたことが残念ながら現実となった。
 石川県のグループホームでの虐待致死事件、長崎県のグループホームでの
 火災事故として。2人だったらあんな事件、事故にまでなってなかったのにと
 思わざるを得ない。一人夜勤をせざるを得ないほどの小規模化は
 明らかに行き過ぎだ。それは、「家庭的雰囲気」という美名の下で、
 介護家族の抱えてきた孤独地獄を介護職にまで押しつけるものでしかない。

 今夜も高校を卒業したばかりの介護職が、たった一人で夜勤をしている。
 この社会はいつまで若者にそんな過酷な仕事を押しつけるのだろうか。
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夜勤、当直は、限られた人数とマンパワーで
病院や施設の中で起こる事全てに対応しなければなりません.
このままでよいのか、応援を呼ぶのか、自分たちで手に負えず
他の施設に救急搬送するのか、どうなのか
あらゆることに、限られたスタッフできっちりと決断を降さなければなりません.

一人、少人数の怖さは、想像以上です.
結果的に少ない人数で何事も無かったからといって
どんどん人員を削減していくのは、
昨今の医療現場を取り巻く医療経済からはやむを得ない事なのでしょうか.

人員を減らす事で、この記事に紹介されたような一人夜勤の怖さを味わう人が
沢山になってしまうかも知れません.

医療には人手と手間をかけなければ、どうしようもないことがあるということを
ぜひわかって欲しいものです.
たった一人の命を救うためにどれだけの労力が必要なのかを.

一つの地域が医療共同体となって
一次救急から高次医療、介護ケアからホスピスケアなどに至るまで
地域の中で完結できることが理想です.
by yangt3 | 2006-06-05 00:10 | 一般