もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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歓送の歌

研修医の頃は、少しでも早く
一人前になるために、死に物狂いで
毎日過ごしていました.
重症の患者さんの生死に毎日かかわって
充実した日々を過ごしていました.

その頃、生死は、患者さんのものであり
自分自身は、若くて、まだ体力もあり
自分のこととしては、深く考えた事は
ありませんでした.

あれから、幾年も過ぎ
こうして中堅の医療スタッフとして過ごす毎日.
いつしか、自分の身近な人を
見送らなければならないことが
増えてきました.
いつしか、自分自身の問題として
生と死に取り組まなければならなくなりました.

歓送の歌_a0055913_18242426.gif





研修医のころは、何日も徹夜をしても
一晩睡眠をとれば、すぐに元気が回復していました.
夜間に緊急で呼び出されても
全然平気で、先輩のように、技術がないことだけが
くやしいだけでした.

いまは、自分だけで、かなりのことが
できるようになりました.
ただ当直したり、夜中の呼び出しのあとは
疲労感がなかなかとれなくなりました.

鏡をみて、知らないうちに頭に白髪が混じっているのをみて
斉藤 茂吉の歌のように、月日を感じる毎日です.

2年前に、直属の上司が突然急逝された時
Memento Mori(死を忘れる事なかれ)が
私の言葉となりました.

大事な家族を亡くした悲しみを
本当の意味で自分に理解できたのもこの時でした.

臨床医として、救急に携わる医師としては、
感傷的にすぎるかもしれません.

この数日で、2人も知り合いの訃報を耳にしました.
心より冥福をお祈りしています.

残された自分たちが
なにができるのか、今一度、考えて行きたいと思います.

医療現場、外来や病棟で
死に関する話は、遠慮がちに語られる事が多いようです.
生きる事と同じく、死についても、
その個人に属する権利だと思います.
よりよく生き、よりよく死をうけいれるために
そういう死生観を 患者さんと お話できるような
そんな医師ー患者関係が 当面の私の理想です.
by yangt3 | 2006-07-12 18:24 | 一般