もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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介護の悲劇がどのように裁かれたか?

高齢化社会を迎え、高齢者の医療負担が増えて
また介護の負担が増えています.

京都で認知症の母親の介護で
生活苦に陥り、追いつめられて
母親を自らの手で殺めた男性の
裁判の判決が 2006年7月21日に
京都地裁で言い渡されました.

被告の涙の陳述に
裁判官も目を赤くしながら聞き入ったそうです.
果たして判決の結果はどうだったのでしょうか.

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------------東京新聞 2006年7月21日
認知症の母殺害に執行猶予
 京都地裁、行政批判

http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006072101001475.html

 介護疲れと生活苦から認知症の母親=当時(86)=を
 合意の上で殺害したとして、承諾殺人罪などに問われた
 無職片桐康晴被告(54)に、京都地裁は21日、
 懲役2年6月、執行猶予3年(求刑懲役3年)の判決を
 言い渡した。
 東尾龍一裁判官は判決理由で
 「毎日のように昼夜介護していた苦しみや悩み、
 絶望感は言葉では言い尽くせないものがあった」と述べ、
 「命を奪った結果は取り返しがつかず重大だが、
 社会で生活する中で冥福を祈らせることが相当」と、
 執行猶予の理由を説明した。
 また、生活保護の受給で被告が社会福祉事務所に
 相談した際、「頑張って働いてください」と言われ、
 受給できなかったことを指摘。言い渡し後の説諭で
 「介護保険や生活保護行政の在り方も問われている」と強調し、
 「社会福祉事務所の対応に被告が
 『死ねということか』と受け取ったのが本件の一因とも言える。
 行政にはさらに考える余地がある」と批判した。
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ここまで踏み込んで行政批判を述べた判決に驚きました.

これまでの裁判の経緯が別の記事になっています.

--------------iZa(産経新聞) 2006年7月21日
裁判官も目を赤くした「介護の悲劇」どう裁く
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/11496/

  認知症の母親=当時(86)=の介護で生活苦に陥り、
 母親に相談の上で殺害したとして承諾殺人などの罪に問われ、
 懲役3年を求刑された京都市伏見区の無職男(54)の判決が
 21日、京都地裁(東尾龍一裁判官)で言い渡される。
 検察側は母親を献身的に介護しながら、失業などを経て
 追い詰められていく被告の姿を詳述。
 裁判官らが目を赤くしながら聞き入る一幕もあった。
 親の介護という誰にも起こり得る事態が引き金になった
 悲劇だけに判決に注目が集まる。
 検察側の冒頭陳述や弁護側の弁論によると、
 被告は京都市伏見区の木造アパートに両親と
 3人暮らしだったが、平成7年に京友禅の染め職人だった
 父親が死去。同時期から母親に認知症の症状が現れ、
 1人で介護を始めた。
 その後、母親は徘徊(はいかい)を繰り返したり、
 昼夜逆転の生活を送るなど症状が徐々に悪化。
 被告は休職してデイケアを利用したが、負担は軽減せず、
 昨年9月には退職し、介護に専念した。
 しかし、失業保険を受給していたため、
 生活保護は認められなかった。
 介護と両立する新たな仕事も見つけられず、
 失業保険が途切れた同12月には生活が困窮。
 今年1月下旬には、
 家賃とデイケアの料金が支払えなくなった。
 《人に迷惑かけてはいけない。
  返せない金は借りてはいけない。
  生活を切り詰めてでも、
  人に金を借りないような生き方をしろ》
 幼いころから職人かたぎの父親に、
 こう教えられてきた被告は親類や行政に助けを求めず、
 心中を決意した。自室を清掃後、1月31日昼ごろ、
 車いすの母親を押し、最寄りの京阪淀駅から三条駅へ向かい、
 「最後の親孝行」と、京都市内を散策。その後、
 三条駅から淀駅に戻ってきたが、アパートには帰らず、
 翌2月1日早朝、アパート近くの桂川に架かる
 宮前橋付近の遊歩道にたどり着いた。
 検察側が4月に行われた初公判の冒頭陳述。
 2人のやりとりに法廷は静まりかえった。

 被告 「もう生きられへんのやで、ここで終わりやで」
 母親 「そうかあかんか。一緒やで、お前と一緒やで」
 被告 「すまんな、すまんな」
 母親 「こっち、来い康晴、こっち来い」
 (被告が母親の顔に額を密着させる)
 母親 「康晴はわしの子や。わしがやったる」

 この直後、被告は母親の首を絞め殺害。自身も、
 持参した出刃包丁などで首を切ったが、未遂に終わった。
 検察側は2人のやりとりに続き、
 「生まれ変わっても、母の子に生まれたい」という
 被告の供述内容も紹介。
 東尾裁判官は目を赤くしながら聞き入り、
 刑務官も涙をこらえてまばたきを繰り返す場面も見られた。
 検察側は今月5日の論告求刑公判で、
 「いかなる理由があろうとも尊い人の命を
 奪うことは許されない」としながらも
 「母への思いは哀切極まるものがあり、
 同情の余地がある」と異例とも言える論告を行った。
 (後略)
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介護の悲劇を繰り返さないためにも
医療の破綻を防ぐ為にも
一人でも多くのひとが
こうした問題を知り、そしてみんなで考える事が
必要なのだと思います.

今回は、手をこまねいて観ていただけの行政に対して
司法が踏み込んだ判断を示したものです.

介護保険や生活保護行政、社会福祉事務所が
最後の砦であるわけですから
なんとかお願いしたいと思います.

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by yangt3 | 2006-07-22 00:03 | ニュース