もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

米国・カナダで脳死判定の3人、日本帰国後に意識回復

日本でも臓器移植法が施行された97年以降に
脳死移植は47例となっています.

臓器移植の先進国であるアメリカでは
脳死者からの臓器移植が年間6000例前後が
実施されているとのことです.
アメリカでは
脳死は 人の死という考え方が広く受け入れられている
ということです.

医療文化が異なる外国では 脳死と判定されて
治療が打ち切られる場合もあります.

米国やカナダ滞在中に脳血管の病気で意識不明になった日本人で、
家族らが現地の医師から「脳死」と説明されたにもかかわらず、
帰国後に意識を回復した人が3人いたそうです.

a0055913_03647.gif





--------------Exicite ニュース 2006.07.26
<脳死>米国・カナダで判定の3人、日本帰国後に意識回復
http://www.excite.co.jp/News/society/20060726150100/20060726E40.076.html

 米国やカナダ滞在中に脳血管の病気で意識不明になった日本人で、
 家族らが現地の医師から「脳死」と説明されたにもかかわらず、
 帰国後に意識を回復した人が3人いたことが中堅損害保険会社の
 調査で明らかになった。東京都内で開かれた日本渡航医学会で、
 損保の担当者が報告した。海外での脳死診断は日本ほど厳格でなく、
 治療を打ち切る場合があることを浮き彫りにする事例で、
 報告した担当者は
 「医療文化が違う国にいることをはっきり認識すべきだ」と警告する。

 報告によると、02〜05年度に、旅行や仕事で米国、カナダに
 滞在中の旅行保険契約者9人が脳血管障害で入院。
 主治医は家族や損保の現地スタッフに「脳死」と説明した。
 うち3人の家族は「治療中止は納得できない」などと訴え、
 チャーター機で帰国。日本で治療を受け、意識が回復した。
 搬送費用の約2000万円は保険で支払われた。残り6人は、
 チャーター機手配に必要な額の保険に加入していなかった
 ことなどから帰国を断念。現地で死亡したという。

 意識が戻った60代男性の場合、カナダで脳梗塞となり、
 入院した。人工呼吸器をつけなくても呼吸できる自発呼吸はあったが、
 医師は家族に「脳死」と説明したという。しかし、
 男性は帰国後1カ月で意識が戻り、記憶も回復した。

 日本、米国、カナダとも自発呼吸があれば脳死とは判定されない。
 回復した3例は病院の診断書に「脳死」との記述はなかった。
 病院側は損保に「保険会社で死の解釈が違う。
 治療費を保険で確実に出してもらうため、
 (病院としては)脳死かどうかは書かない」などと返答したという。

 日本医科大の横田裕行助教授(救命救急医学)は
 「海外の基準でも脳死なら意識は回復しない。
 米やカナダなどの一般医療現場では、回復は難しいなどの意味で
 脳死を使うことがある」と言う。
-----------------------------------------------------------------------------
 ◆脳死判定 日本では、臓器移植法に基づき、臓器提供の場合に限って、
 脳死が法律上の死とみなされる。脳死と判定するためには、
 (1)深いこん睡
 (2)瞳孔の散大と固定
 (3)脳幹反射の消失
 (4)平たん脳波
 (5)自発呼吸の消失——のすべてを満たし、
 6時間たっても状態が変わらないことを確認する必要がある。
 米国では、州法などで「脳死」を「脳幹を含む全脳の不可逆的停止」などと
 定義している。どちらの国でも、自発呼吸があれば、脳死とは判定されない。

日本での法的脳死判定基準については
つぎのページにまとまっています
 法的脳死判定マニュアル
 http://www.jotnw.or.jp/studying/manual-brain.html#top

a0055913_0354100.gif


 アメリカでは日本よりも臓器移植を強く推進するというムードが強く、
 医療現場に影響しているのかもしれません.
 実際、米麻酔学会誌(1999年7月号)によると、
 頭部外傷で脳死と判定された男性が、臓器摘出直前に
 自発呼吸をしていることが分かったが、
 そのまま摘出された例などが紹介されている。

 アメリカでは
 日本とは医療制度、保険制度が異なり、医療も「営利産業」とされる。
 (医療現場の人間からすると医療も営利産業とされるのは
  ちょっと感覚が違いますね)

 患者死亡の場合、保険会社が死亡直前の治療を「無駄」と判断するケースもある。
 病院側は保険会社からの支払いを受けるため、
 早めに治療を打ち切る傾向もあるようだ。
--------------------------------------------------------------

日本でも保険制度の破綻の危険があり、
もしかしたらアメリカのような保険制度導入となるかもしれません.
医療も営利産業とされる制度が 果たして日本に根づくものなのか.

生きる事も死ぬ事も 赤字がでることは許されないというのでは
現場の人間としては、我慢ならないことです.
アメリカのように生命保険会社が、医療費を出す仕組みになったら
治療にいたるまでも、営利的なことで判断されることになってしまいます.

現に医療費の問題で日本では一般的に使われている
薬剤溶出ステントは、高いので使えない、ということもあるようです.
赤字にある治療はできないと
お金で、命までも切り捨てられるかもしれないというのは
現在の日本の現場の人間の感覚からは
なかなか納得のいかないものです.

日本での医療現場の一人としては、
日本の地でできることを精一杯、実践していきたいものです.
改めて日本の国民健康保険制度、皆保険制度の
ありがたさを痛感します.

循環器の医者としては
とことん最後まで諦めずに、治療を頑張りたいと思っています.
日本の医療を守ることも
またわれわれ現場の人間が考えて実践して行かなければ
ならないと思います.

参考までに
(社)日本臓器移植ネットワークのホームページです.
http://www.jotnw.or.jp/
 
a0055913_04219.gif

by yangt3 | 2006-07-27 00:04 | ニュース