もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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アルコール依存症

ロビン・ウィリアムズという俳優をご存知でしょうか.
アメリカの有名なコメディー俳優です.
グッド・ウィル・ハンティング 旅立ちで
アカデミー助演男優賞を受賞されています.
ジュマンジ、パッチ・アダムスなど
彼の映画は、ほとんど見ています.

とりわけ、パッチ・アダムスは、
病院が舞台となった映画であり
非常に印象に残る作品でした.
わが家にもDVDを置いています.

そんなロビンも
今回アルコール依存症の治療を受ける事になったそうです.

アルコール依存症_a0055913_8443494.gif





ロビン・ウィリアムズがアルコール依存症治療へ
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/entertainment/celebrity/14779/

 米のコメディー俳優、ロビン・ウィリアムズ(55)が
 アルコール依存症の治療を受ける予定だ。
 ウィリアムズの広報マーラ・バクスバウムさんが9日、明らかにした。
 バクスバウムさんによると、ウィリアムズは20年間酒を
 断っていたが、最近再び飲み始めた。「自分自身と家族のためにも、
 前向きに治療に取り組むことに決めた」という。
 秋には仕事を再開する予定で、新作のピーアール活動を
 楽しみにしているという。

 現在、ラジオDJを演じた主演映画「ザ・ナイト・リスナー」が
 米国で公開中。4月にコメディー「RV」のピーアールを
 行った際は、ウィリアムズは常にミネラルウオーターを飲んでいた。
 ウィリアムズはABCテレビのコメディー「モークとミンディ」
 (1978―82年)でブレーク。その後、アルコールと薬物中毒に陥った。
 ピープル誌によると、最初の妻との間の息子が生まれた83年は
 出産までの半年間、どちらも絶った。
 92年1月号のプレイボーイ誌のインタビューでは
 「完全に自制心を失っていた」と当時を振り返っていた。
 97年、「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」で
 アカデミー助演男優賞を受賞。現在の家族は
 2人目の妻マーシャさんとマーシャさんとの間にもうけた
 ゼルダさん(17)とコーディーさん(14)。

アルコール依存症_a0055913_8451750.gif


 この1週間でアルコール依存症であることが明らかになった
 有名俳優はウィリアムズで2人目。メル・ギブソンが
 7月28日飲酒運転で逮捕されたが、その後、
 アルコール依存症の治療のため入院すると発表している。
 ギブソンは逮捕の際にユダヤ人を非難する発言をし謝罪している。
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ロビン・ウィリアムズさんは、メル・ギブソンさんのように
仕事で有名となって、名をなしても
その分、ストレスが増えたり、自制心を失ったり
さまざまな理由でアルコール依存になるということは
悲しい事ですね.

大阪のほうで、研修医をしていましたが
大阪の人たちは、けっこうお酒が強く
めちゃめちゃな飲み方をする方も大勢いました.

そんなわけで
アルコールによる肝障害はざらで
アルコール性肝硬変も沢山いらっしゃって
肝硬変に伴う、食道静脈瘤破裂の患者さんも
非常によく遭遇しました.

毎日といは言いませんが
週に2〜3人は、吐血で救急、時間外受診.
胃カメラで食道静脈瘤破裂で、静脈瘤から止めどない出血.
研修医の身として、ただ先輩医師の処置を見守るだけでしたが
アルコールの怖さが身にしみたものです.

名古屋の地に移ってからは、
大阪の人たちのような派手な吐血の方は少なくなりましたが
アルコール肝障害、アルコール肝硬変は沢山見えました.
著明な腹部膨満、腹水貯留などで来院され
肝硬変と診断される方も大勢おられました.

その頃には、先輩の手を借りずに
自分でいろいろな処置ができるようになっていたため
肝硬変となった方には
吐血する前に、予防的に胃カメラを受けていただき
未破裂の食道静脈瘤があれば、静脈瘤結紮術(EVL)と
呼ばれる内視鏡的治療を施して
破裂を防いでいました.

肝硬変の治療の進歩と相まって、静脈瘤破裂で
患者さんんを失うことは少なくなりましたが
その分、慢性的に進行し悪化する
肝不全が問題となりました.
生体肝移植や肝臓移植を行う事も困難で
肝性昏睡を繰り返し、肝不全となって
大変な状況を迎える事になります.

アルコール依存による肝障害、肝硬変、身体障害は
精神的な病状を基盤とするものであり
内科的治療を熱心に行っても、
結局最後は、また逆戻りということがよくあります.

ドクターストップがかかっても
体に悪いとわかっていても、なおかつ
やめることのできない、悲しい人間.
もしかしたら、慢性自殺願望、自己破壊衝動などというものも
あるのかもしれず.

アルコール依存を取り巻く問題は
本当に難しく、根が深く
内科だけの力だけでは、対応が困難です.
あらゆる職種の人たちの協力が必要となります.
アルコール依存に苦しむのは、本人だけでなく
家族もまた苦しんでいます.

ロビン・ウィリアムスさんが また頑張って
アルコール依存を克服されて
皆に勇気を与えてくれる事を祈ります.
by yangt3 | 2006-08-18 08:45 | ニュース