もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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救命率の向上のため ドクターカーが緊急車両に指定 

政府は2日、病院の医師が災害・事故現場に
駆けつけるための一般車を「ドクターカー」として、
道路交通法上の「緊急車両」に指定する方向で
検討に入ったそうです.

--------------YOMIURI ONLINE 2006.09.03
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060903i101.htm?from=main1

 現場に医師を迅速に派遣し、救命率を上げる狙いがある.
 警察庁が今後、厚生労働省などと指定条件を詰め、
 2007年度にも道路交通法施行令を改正する.

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(記事からの引用の続き)
 道交法に基づく緊急車両は信号などで停止せず、
 車線をはみ出して走行できる。医療関係では、
 救急車のほか、輸血用血液製剤や
 移植用臓器の輸送車などが施行令で指定されている。

 医師が現場に向かう一般車は指定外で、
 交通規制に従うか、緊急の場合はパトカーの先導や
 救急車への同乗が必要となる。このため、政府は、
 医師の車に赤色灯をつけ、サイレンを鳴らすことなどを
 条件に、緊急車両に指定することにした。
 ただ、実績のある救急医療機関に所属する車などに
 限定する方向だ。

 医療機関には、現在も「ドクターカー」と呼ばれる
 高規格の救急車があり、緊急車両に指定されている。
 人工呼吸器や心電図電送装置などを搭載し、
 医師が救急救命士や看護師とともに現場に向かう車だ。
 ただ、1台平均1600万円前後と高額で、
 全国に約100台しか配備されていない。

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 新たなドクターカーは、赤色灯などの装備が必要なだけで、
 1台平均200万〜300万円のため、
 配備数の増加が期待される。

 昨年12月の山形県庄内町でのJR羽越線特急脱線事故では、
 消防本部の救急車が、現場から負傷者を病院に運んだ後、
 折り返しの際に医師1人が同乗。医師の現場到着まで
 発生から2時間以上を要した。

 今回の構想は、横浜市の病院が今年6月、
 政府の構造改革特区として提案したのがきっかけ。
 関係省庁が検討した結果、特区だけでなく、
 全国規模で規制緩和することになった。

 日本救急医学会の山本保博代表理事の話
 「現在のドクターカーは、動く集中治療室(ICU)のような
 大型車で、狭い路地に入れず、スピードも出ない。
 出動は、多数の負傷者が出る特殊な事例が多い。
 小型の乗用車なら迅速性が増す。
 一般的な事例でも病院の判断で出動しやすくなるだろう」
-------------------------------------------------------------------------
動く集中治療室とも呼ばれるドクターカーの
有用性については、ちょっと古い資料ですが
総務省消防庁のホームページに紹介されています.
↓↓
救命効果検証委員会 救命効果調査分析結果について
http://www.fdma.go.jp/html/new/120201kisya.htm

救命救急士の数が増えて、救命活動の範囲が広がり
救急救命士による救命率が上がっている事などもあり
財政難のために、ドクターカーを廃止する自治体も
あるようです.
↓↓
ドクターカーを廃止(2006.04.26)
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/0426/nto0426_8.asp

全国に先駆けて、いち早くドクターカーを導入した
青森県ですが、13年目に県の激しい
財政状況のために廃止になったそうです.

こうした従来のドクターカーのいろいろな問題を考えると
今回、政府が打ち出した
まずドクターを現場に!という方法は、
一般的な事例へのドクターカーの出動につながり
救命率の増加に繋がると思います.

ただ実現のためには、いろいろと解決するべき問題があります.
ドクターだけが現場に出動したからといって
即座に救命率が上がるわけではありません.

救命救急や大規模災害などへの深い知識をもち
必要な研修やトレーニングをうけた医師が
ドクターカー出動へのローテーションに
入る必要があります.

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現場への医師派遣への垣根を取っ払った事で
さらに救命のための具体的、現実的な方策、戦略を
進めて行く必要がありそうです.

個人的な経験としては、
ドクターカーに同乗して出動したことはありません.
私の経験としては、緊急の心臓手術が必要な患者さんを
近隣の心臓外科施設まで、救急車に同乗し
搬送するということです.

搬送する患者さんは、ほとんどが急性心筋梗塞や
急性冠症候群の症例であり
なかには、心原性ショックにより血圧が低下、
やむなくIABPによる循環補助を行いながら
救急搬送ということもあります.

昔と比べて救急車内で、いろいろな処置ができるように
設備が整ってきたといっても
狭い車内で、限られた人員、スタッフで
こうした循環器救急を処置するのは
相当のストレスです.

毎日の救急搬送で頑張っている
救急隊の皆さんの苦労が身にしみて
感じられます.

そんなわけで、ドクターへの現場出動が
容易になるとしても
その先の救命のためのシステム作りを
しっかりと構築しなければ
それこそ絵に描いた餅になってしまいます.

これからさらに議論と実践が深まる事が
期待されます.

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by yangt3 | 2006-09-08 08:49 | ニュース