もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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心臓突然死の危険信号を見逃さないように

働き盛りの人を突然おそう
怖い心臓突然死.
AEDの普及と新しい心肺蘇生法の普及により
心臓突然死を少しでも救命できるように
皆の努力が続いています.

心臓死の前にはしばしば心疾患の症状が
発現することがわかってきました.

突然心臓死が公共の場で発生した場合、
居合わせた人による救急蘇生によって
生存率は改善します.

可能であれば、心臓突然死の前触れ発作の段階で
より早く適切な治療を加える事で
心臓死を防ぎ、さらなる生存率の上昇に
繋がるかも知れません.

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----------------Circulation 2006.09.04
突然心臓死の前に危険信号がある

 心臓死がどのくらい突然発生するかを調査した結果、
「前触れなしに突然」死亡したのではなかった可能性を
 示唆する知見が報告されました.
 心臓死の前に1時間以上にわたって心臓疾患の症状が
 認められることが多く、これは、多くの患者が
 致死的イベントの前に既知の心疾患を有することを
 示唆すると考えられます.

 『突然心臓死』はほとんどの場合、用語が示唆するように
 突然発生するものではないと考えられます.

 多くの患者には突然心臓死の前に警告症状が驚くほど
 長時間発現すると考えられます.
 これらの症状は、前から存在する心疾患または
 心臓のリスク因子にも関わらず、誤って解釈されたり、
 抑制されたり、または否定されている可能性があります.

 心臓突然死にも前兆の症状があることを
 心疾患の症状を認識し対応することを
 一般の人々、患者、および家族に教育することにより
 突然死による死亡率の低下が期待できることが
 可能になるかもしれません.

 論文の中で、Muller博士らは、
 ベルリン(ドイツ)の救急医療システムにおける
 病院外での突然心臓死の症例に関する情報を収集しました.
 同博士らの施設では、医師が同乗する移動式ICUおよび
 救急ヘリコプターによって、350万人の市民の約10%を
 カバーしています.
 突然心停止の症例の発生時に、救急医が、
 その場に居合わせた人や目撃者のうち
 協力してくれるすべての人に対して、質問票を用いた
 聞き取り調査を行いました.
 以前に行った予備研究の際に作成した質問票を用いて、
 患者の病歴、薬物療法、および先行した徴候または
 症状とその持続時間に関する情報を得ました.

 1年間に発生した5,831件の救急活動のうち、
 406件は心停止と推定される患者に関係していました.
 72%の症例は心停止が自宅で発生し、67%は
 目撃者のいる所で心停止が発生しました.
 イベント直前の症状に関する情報が得られたのは
 すべての患者の80%(323例)であり、
 そのうち274例は目撃者のいる所での心停止でした.
 居合わせた人による救急蘇生が試みられた患者は
 57例のみであり、そのうち13例が一命を取りとめ
 退院しました.
 居合わせた人による心肺蘇生術(CPR)を
 受けていなかった患者の場合、
 一命を取りとめ退院できたのは
 349例中わずか13例(3.72%)でした.

 病歴に関する情報が入手できた患者は352例でした.
 このうち106例には血管造影によって実証された
 冠動脈性心疾患の既往があったが、その他にも
 127例の被験者は狭心症または抗狭心症薬によって
 冠動脈疾患が示唆されました.
 約10%の被験者に高血圧の既往がありました.
 
 心停止前の症状に関しては、
 既知の症状を有した患者の22%には、
 平均2時間前から狭心症が認められました.
 一般的に報告されたその他の症状は、
 呼吸困難、嘔気・嘔吐、およびめまい・失神でした.

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 突然心臓死症例の大多数は、見かけ上は健康な、
 または少なくとも非常に低リスクの集団において
 無作為に発生するわけではないということです.
 
 本研究において、患者の大多数は、
 実証された心疾患または少なくとも
 冠動脈性心疾患の典型的な症状の既往があったか、
 または明らかなリスク上昇をもたらす関連する
 リスク因子がありました.
 
 突然死の圧倒的多数は、除細動器(AED)が
 利用できる可能性がある公共の場ではなく
 むしろ自宅で発生するということが重要です.
 (後略)
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心臓突然死として
突然自宅で心臓が停止した場合には
本来であれば早期のAEDによる除細動が一番有効です.

近くに居合わせた人が除細動を行う事により
心肺停止の生存率が5倍になるという総務省消防庁の
調査結果もあります.↓↓

「心肺停止の応急処置 電気ショックで生存率5倍に」
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060908ik08.htm

ただ自宅などで倒れた場合には、救急隊が到着するまでに
すぐにAEDを施行するのは困難です.
(自宅にAEDがあることは少ない)

AEDが使えなければ心臓マッサージを
すぐに始める必要があります.
実際には、まだまだ居合わせた人による救急蘇生の
実施率が低いようです.

個人的な意見としては、公的補助によって
1家に1台、AEDというのが理想的ですが
ともかくできるだけAEDをあまねく普及させる必要があります.

心臓を診る循環器医師としての立場からは
心肺停止にいたる前に
致死的な症状が出現するその前に
病院を受診していただき、冠動脈造影や不整脈の検査など
必要な検査を受けていただけるような
流れを作りたいと考えています.

心臓突然死にも多くの場合に
前触れ発作があるということを周知徹底して
患者さんや家族の方が、早期の症状で病院に
受診していただけるように.

なんらかの冠動脈危険因子を有している場合は
とりわけ注意深く集中して
対応することによって
心臓突然死を未然に防ぐ事につながるかもしれません.

東可児病院でも、市民の皆さんに
心臓病のことをもっと知ってもらう為に
医療講演会を開催していく予定です.
皆さん、楽しみにお待ちください.

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by yangt3 | 2006-09-13 07:37 | ニュース