もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

幹細胞移植で脳梗塞を治療

狭心症や心筋梗塞については、
最近の治療の進歩により
かなり予後が改善してきています.

急性心筋梗塞の早期に発症する危険な不整脈も
AEDの普及により救命率が向上してきています.
さらに薬剤溶出ステントの導入により
カテーテル治療の精度も向上し
再発が少なくなってきています.

こうした現状のなか、やはり一端発症すると
様々な機能障害を生じ
最悪の場合寝たきりになってしまうかもしれない
脳卒中の重要性が増してきたように思います.

脳梗塞の治療も様々な薬剤の開発や
積極的な頚動脈狭窄の治療によって
向上してきています.

今回、脳梗塞を幹細胞移植で治療するという研究が
報告されました.

a0055913_01409.gif





------------NIKKEI NET いきいき健康 2006.10.08
幹細胞で脳梗塞治療・札幌医大が10月内にも、国内初
http://health.nikkei.co.jp/news/top/

 札幌医大の宝金清博教授(中枢神経治療学)らの
 研究グループは、患者本人の骨髄の幹細胞を使って
 脳神経細胞の再生を促す国内初の脳梗塞の治療を
 月内にも実施する。
 この治療は受精卵を壊してつくる胚性幹細胞
 (ES細胞)と比べ倫理的に問題も少なく、
 拒絶反応が起きない利点がある。一方、
 改善効果の詳しい仕組みなど
 解明されていない点もある再生医療だけに
 臨床結果が注目される。

 治療は脳梗塞の患者の骨盤から骨髄液を採取し、
 幹細胞を抽出。この幹細胞を数週間かけて培養し、
 腕に点滴で戻す。脳に達した幹細胞から放出された
 タンパク質の一種「サイトカイン」が
 血管や神経の再生を促すという。

 脳梗塞を発症して2週間後のラットに、
 幹細胞を移植した結果、運動機能が回復。
 移植しないラットに比べ約2、3割速く走った。
 実験では脳梗塞発症直後のラットほど
 効果があったという。

 採取した幹細胞を培養して増殖する過程で
 細菌やウイルスに感染する危険性もあるが、
 研究グループは「培養した幹細胞を体内に
 戻す前に検査を十分行うので安全性は確保できる」
 と話している。〔共同〕

a0055913_0144224.gif

----------------------------------------------------------------------------
幹細胞移植が血液疾患の治療や癌の治療だけでなく
脳梗塞の治療にも応用できるという研究です.

機序としては、移植した幹細胞から放出される
サイトカインという物質が
血管や脳神経細胞の再生を促すということだそうです.

とりあえずラットを用いた動物実験が成功したという
段階ですので、これから研究が進み
十分な安全性を確認した上での臨床応用が期待されます.

循環器科医師としては、脳細胞の虚血の予防、
脳細胞の再生、血管の再生に
幹細胞移植が有用であるならば
心臓への応用も可能なのではないかと
勝手に想像してしまします.

脳梗塞と同じく、心筋梗塞、狭心症も虚血を主体とした
病態です.幹細胞移植が有用である
可能性は十分にあると思います.

もしくは、脳梗塞の治療で幹細胞移植で
有効な働きをするサイトカインの働きがわかれば
このサイトカインレベルでの応用も可能なのかも
しれません.

今後、臨床疫学を中心においた予防医学が
進歩し、またさらにこうした幹細胞移植などを中心とした
幹細胞移植が進歩していけば
脳血管障害、心臓病の病態は、大きく変わって行くかも
しれません.

こうした動脈硬化、血管疾患のおおきな原因である
糖尿病、高脂血症などの予防的治療の進歩も期待されます.

現在、薬剤溶出ステントの治療により
ステント植え込み後の再発はかなり減少してきています.

何年かさきには、カテーテル治療が必要な疾患も
どんどん減って行くかもしれません.

循環器科医師がもうカテーテルを行う必要がない時代が
やってくるかもしれません.

もちろんまだまだ夢の話で
しばらくは、忙しい仕事の日々は続きそうです.

a0055913_0151260.gif

by yangt3 | 2006-10-11 00:15 | ニュース