もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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延命治療、末期治療の経済学的レポート

日本においては、「死」について
語る事は、タブーとされているような気がします.
日本的な、いわゆる「あうんの呼吸」で
担当医、医療スタッフと、家族が
患者さんの延命治療、末期治療にあたっています.

最近の一連の末期治療をめぐる出来事により
延命治療についてのガイドライン作成が
行われようとしており
それは歓迎すべきことです.

心情的、感情的な延命処置から
合理性、公開性をもった延命処置へと
変わって行く事が、これから日本の医療にも
必要になっていくと思います.

でもまだ現場では、大きな声で
語られないことがあります.

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日本では、保険制度により
全国どこでも、均一な医療をうけることが
できるとされています.
治療にかかる費用は、諸外国と比べて
日本は、格安でありどこでもよい医療を
提供できるというのが、日本の理想でした.

最近、末期医療、延命治療の医療費についての
記事が2つありました.

---------------------YOMIURI ONLINE
延命措置 いくらかかるの?
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/nedan/20060915ik0b.htm

 国の2002年度の推計では、患者が死亡する直前の
 1か月間にかかった1人当たりの医療費は、
 平均112万円でした。年間80万人が医療機関で
 亡くなったと仮定して、国全体では
 年間9000億円と試算されています。

 厳密な呼吸管理などが必要な患者を診る
 集中治療室(ICU)での医療費は、
 保険でカバーされています。
 「特定集中治療室管理料」という名前で、
 通常の入院費より高く定められています。

 群馬大病院集中治療部助手の林淑朗さんは、
 同部での過去3年間の患者の医療費についてまとめました。
 それによると、
 ICU在室期間が14日以内だった患者では1人110万円、
 1日当たり20万円。
 15日以上だった場合は、1人660万円、
 1日当たりでは22万円でした。
 そのうち、ICUに15日以上入院して
 結局亡くなった人でみると、
 1人平均1030万円かかっていました。

 1日当たりの費用が、基本となる管理料の
 ほぼ倍以上なのは、輸血や人工透析といった
 治療費が別にかかるためです。
 たとえば全身の血液を入れ替えるような輸血では、
 一度に数十万円分の費用がかかることもあるといいます。

 保険の「特定集中治療室管理料」は14日間までしか
 認められません。15日目以降は、たとえ集中治療室に
 入っていても通常の入院費扱いとなり、
 医療機関側にとっては収入減になります。

 保険での患者負担は、月当たりの上限
 (収入によって3万5400円から15万円程度)が
 定められています。いったん3割負担分
 (総額が100万円なら30万円)を医療機関の窓口で払い、
 加入している保険で差額を戻す手続きをします。
-------------------------------------------------------------------
これが日本の現状だと思います.
延命処置の言葉の定義がいまひとつ曖昧で
集中治療を行ったのにも関わらず、
亡くなられてしまったのか
末期癌の患者さんのように、集中治療の適応ではない
方もはいっているのかが問題です.

ICUで長らく入院を続けていれば、日本でも
高額な治療となるということです.

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次にアメリカの記事を紹介します.

----------末期医療費はどこが安いか(アメリカ)
http://www.koreisha.com/06.10image/n10.26.html

 死ぬための費用に地域差があるのか?
 ダートマス医学部の「治療における差異を
 評価するプログラム」の研究者は、慢性病患者の
 メディケア・データを分析した
 結果、死までの医療費に地域差があることがわかった。
 「USAトゥデー」(10/18)によると、
 ポートランド(オレゴン州)とマイアミ(フロリダ州)
 では、人生の終わりの治療のあり方に相当な違いが出ている。
 マイアミで死ぬ場合、人生の最後の6か月に、
 病院の集中治療室で6日以上を過ごし、
 そこで死ぬ確率は27%。医者と病院費用は、
 23,000ドル以上(274万円)である。
 しかし、ポートランドでは、集中治療は1日、
 そこで死ぬ可能性は13%。
 ホスピス・プログラムの援助で自宅で亡くなる率が高い。
 全体の費用は14,000ドル(167万円)以上。

 309カ所の病院の調査で最も医療費が高額な都市は、
 マンハッタン(ニューヨク市)で
 6ヵ月35,838ドル(427万円)。最も少ないのは
 ウィチタフォールズ(テキサス州)の
 10,913ドル(130万円)である。
 メディケアの年間予算の3270億ドルの
 およそ27%が患者の最後の年の看護費用である。

 ではなぜ死ぬための費用に地域差があるのか?
 それは医者と病院ベッド数がその理由の一部であるという。
 ポートランドはマイアミより医師もICUベッドも少ない。
 しかし、末期医療の専門家は、2つの都市間の膨大な差の
 原因の1つのが、オレゴン州では、病院とホスピスの医者
 またはスタッフが末期患者に人生の終わりに、
 彼らが望む治療の種類と死亡場所について話し合うからである。

 「USAトゥデー」が9月に行った
 「末期状態になった際の費用と治療の関係」の電話調査で、
 回答者の48%は治療は費用と相談するといい、
 40%は費用に関係なくできるだけ長く生きるための処置が
 してほしいと答えた。
 それらのうち65才以上の人では、60%は費用が
 考慮されなければならないと言い、28%は費用が
 決定要因に入らないと答えている。
--------------------------------------------------------
日本とアメリカの医療の差異は、末期医療、延命医療
にいたるまで、違いがあるということでしょうか.
同じように比較するのは無理があるのかもしれません.
医療費で医療の質が比較できるわけでもありません.

末期状態となっても、延命医療となっても
人生の最後のその瞬間まで
人としての尊厳を保ち続けることができて
それをしっかりとサポートする医療でありたいと
思います.

日本とアメリカとの違いはあるにせよ
末期医療、延命医療をもっと議論を重ねて
日本でのホスピスプログラムの充実も
また必要なことだと思います.

高齢化社会を迎えて
病院には、やはり高齢の方の入院患者が
増えて行く事になります.
厚生省の療養病床数削減により
介護難民が4万人にも上るともいわれています.
(療養病床削減なら“介護難民”4万人
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20061026ik05.htm)

将来、この日本で
介護や高齢者や
延命治療、末期医療の行き場がなくなる事がないように
暗黙の了解ではなく、声をだして
議論を重ねて行かなければ
本当に大変なことです.

全ての命は、平等であって
末期医療でも、延命医療でも、高齢者の方でも
その命の重みには変わりはなく
私たち医療の現場の人間が
勝手にそれを判断してはならないと
そういうことだと思います.

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by yangt3 | 2006-10-27 00:04 | ニュース