もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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医療で活躍するロボット工学 ーその2ー

SF作家アイザック・アジモフによって
提唱されたロボット工学3原則
というものがあります.

あのソニーのAIBOにもこの3原則が
応用されているそうです.

人間とロボットだけでなく家電製品に
代表されるところの道具一般にも
当てはまるといわれています.

安全(人間にとって危険でない存在)
便利(人間の意志を反映させやすい存在)
長持ち(少々手荒に扱ったくらいでは壊れない)

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有名なロボット3原則というのは次の通りです.

第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。
また、その危険を看過することによって、
人間に危害を及ぼしてはならない。
(A robot may not harm a human being, or,
through inaction, allow a human being
to come to harm.)

第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に
服従しなければならない。ただし、
あたえられた命令が、第一条に反する場合は、
この限りでない。
(A robot must obey the orders given to it
by the human beings,
except where such orders would conflict
with the First Law.)

第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に
反するおそれのないかぎり、
自己をまもらなければならない。
(A robot must protect its own existence,
as long as such protection does not conflict
the First or Second Law.)

これはアイザック・アシモフの
「われはロボット」で提唱されたものです.

このロボット3原則を元にして
ロボット工学が医療の現場に応用されています.

1.---------------ITmedia ニュース 05.05.19
ロボットドクター、英病院で始動
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0505/19/news040.html

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 医療用ロボットが英ロンドンの病院で働き始めた.

 英インペリアル大学が開発したこの
 Remote Presence(RP6)ロボットは、
 無線技術を使って、医療専門家が遠隔地にいる患者と
 通信できるようにする。手術の指導やビデオ会議にも
 利用できると同大学は説明している.

 このロボットは離れた場所からジョイスティックで
 操作でき、医師はこのロボットを操作して患者の様子を
 見たり、問診したり、医療記録を読んだり、
 X線検査などの結果を見ることができる.
 ロボットの「顔」の部分には医師の画像が表示される.

 RP6ロボットは患者を物理的に診察しないが、
 患者と医師を対面させ、専門家にすぐに
 接触できるようにする.

 このロボットはSt Mary's病院の一般外科病棟と
 A&E(救急外来)で試験導入されており、
 スタッフから「Sister Mary」「Dr. Robbie」と
 呼ばれている。インペリアル大学の学術・臨床技術部門でも
 トレーニング目的で利用されている。

 このプロジェクトのリーダーであるパーブ・セインズ氏は、
 RP6には、たとえ物理的には近くにいなくても、
 患者が世界中の専門家や、手術を行う医師に
 直接接触できる利点があるとしている.

 「われわれのロボットが病棟の医師に取って代わることは
 決してないだろうが、これは医師が離れた場所の患者にも
 接触できるようにするコミュニケーションツールだ」(同氏)
--------------------------------------------------------------------
記事にある通り
実際の医師や医療スタッフによる直接の医療に
取って代わるものではないと思います.

混雑した外来の待ち時間の解消や
トリアージにも有用な可能性があります.
医師の不足に悩む医療過疎地での
専門医へのコンサルト方法としても
活用出来る可能性があります.

日本でも医療用ロボットではありませんが
ネットを使った試みが始まったそうです.

2 .------------------asahi.com 2006.10.23
新生児心臓病、ネットで遠隔診断 専門医が動画見て指示
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200610230045.html

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 赤ちゃんの先天性の心臓病治療で、
 専門の小児循環器科医のいる病院が、
 インターネット通信を使って地域の病院を
 支援する遠隔診断システムが、
 国立循環器病センター(大阪府吹田市)や
 国立成育医療センター(東京都世田谷区)など
 全国13カ所で計画されている.
 新生児の心疾患の専門医がいる病院は少なく、
 システムの普及で、治療の効果が上がることが期待される.

 軽症から重症まで合わせると、先天性心疾患の新生児は
 100人に1人に上るといわれる.
 重い心臓病が見つかった場合、ふつうは専門医がいる
 病院に搬送している.しかし、搬送中に容体が
 悪化することもあり、出産病院などでの
 初期治療が大切だ.

 このシステムは、出産病院などにある
 超音波診断装置で検査中の画像をインターネットを
 通して専門病院のパソコンに転送し、小児循環器科医が
 リアルタイムで動画を見ながら主治医に電話で指示をする.
 一般的な動画通信ソフトを使えるため、初期費用は
 パソコンと周辺機器合わせて20万〜30万円程度に
 抑えられるという.

 長崎医療センター(長崎県大村市)は、
 対馬など2、3カ所の離島の病院との連携を考えている。

 このほか、北海道立小児総合保健センター、
 東京女子医大病院、長野県立こども病院、
 福岡市立こども病院なども計画。専門医のいる
 計13の病院で検討されている.
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遠隔診断システムも、ロボット工学の技術を応用して
遠隔治療支援システムにまで発展する可能性があります.

緊急時に電話だけで、切迫した状況を
相手に伝えるのがもどかしいほど
うまく伝わらない事がよく経験されます.
CT画像を一目見てもらえれば
心臓カテーテル画像を一目見てもらえれば
患者の状態を一目みてもらえれば
100の言葉より、すぐに状況が伝わると思います.

病診連携、病院の後方支援も
国や自治体の協力で地域毎にきちんと
完備することができれば
不幸なたらい回しも、減らす事が
かなうかもしれません.

搬送の遅れや専門医不在をカバーすることで
救急や重症の患者さんの救命に
つながると思います.

このような明確な目的をもった試みが
すでにアメリカでは実現されています.

3.-----------ITmedia ニュース  2006.10.20
「搬送の遅れ」「専門医不在」をカバーする遠隔治療ロボット
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0610/20/news071.html

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 救急室に脳卒中の患者が運び込まれると、
 医師らは迅速な処置を求められる.
 しかし死や重度障害を阻止するための
 重要な判断は神経科医なしには難しく、
 しかもすべての病院に神経科医が
 常駐しているとは限らない.

 米ミシガン州の21の病院は来月から
 次善の策を導入する。「ロボットの常駐」だ。

 聖ジョゼフ・マーシー・オークランド病院(SJMO)が
 先導するこのプロジェクトは、米国内で進められている
 幾つかの取り組みの1つで、特定病院の脳卒中専門医師が
 テクノロジーを利用して専門知識を小規模な
 医療施設と分かち合おうという試みだ.
 専門家によれば、患者の回復率を著しく高められる
 最新の動きだという.

 SJMOは、ミシガン州内にある13の認定された
 一次脳卒中センターの1つ.脳内血管の閉塞・破裂によって
 起こる脳卒中を扱う最先端医療を提供する.

 「Michigan Stroke Network」と呼ばれる
 この新しいプログラムは、米国時間10月19日に
 発表される予定で、SJMOの専門医師たちは
 同州内のプログラム参加病院すべてに24時間対応
 するようになる。当直の専門医師はノートPCと
 インターネット経由で参加病院のロボットにアクセスし、
 現場で患者を担当する医師を支援する.

 「(当直の専門医師は)Starbucksや図書館、
 自宅などどこにいてもインターネットを通じて、
 ここミシガンの中心地から地方の医療アクセス指定病院に
 アクセスし、患者のそばで措置を施す担当医師に
 脳卒中患者の診断と今後の治療計画について
 アドバイスを送ることができる」と、
 SJMOのジャック・ウィーナーCEOはインタビューで語った.

 患者を救急車やヘリコプターで医療設備の整った病院に
 運ぶよりも優れた方法だ.とウィーナー氏.
 このような搬送はコストが掛かるうえ、
 救命治療を著しく遅らせてしまう可能性があるからだ.
 (中略)

 アメリカ心臓協会(AHA)の広報担当
 ケイティ・バンデマー氏によれば、アラスカ州、コロラド州、
 ジョージア州、イリノイ州、カンザス州、ミズーリ州、
 ネバダ州、ニューメキシコ州、ニューヨーク州、テネシー州、
 ワシントン州が、同じような脳卒中治療用遠隔医療プログラムを
 開発中あるいは試行中だという.
 AHAはアメリカ脳卒中協会を運営している.
 マサチューセッツ州ボストンにある
 ブリガム・アンド・ウィメンズ病院とマサチューセッツ総合病院は、
 14の病院をつなぐネットワークを運営している.
 (中略)
 カリフォルニア州サンタバーバラに本拠を置くI
 nTouch Healthが開発したRP-7ロボットは、
 高さ約5フィート(152センチ)で頭部にスクリーンを備え、
 遠隔操作する医師の姿が映し出される.
 頭頂には画像と音声を送信するカメラが搭載されている.
 ロボットは医師がジョイスティックを使って操作する.

 これらロボットは、遠隔医療において従来の
 ビデオカンファレンス形式よりも優れている、
 とライト氏は強調した.
 「受動的な関係から能動的な関係へと、交流の性質そのものが
 変わる.また積極的に動いて何かを発見する力も備わる.
 まず患者を左側から診察し、それから点滴袋をチェックして、
 ぐるりと回って患者の家族と話をするといった具合に」

 ミシガン州グレイリングにあるTrinity Health系列の
 マーシー病院の最高医療責任者、ダグラス・スレーター博士は、
 同病院には神経医が待機しておらず、Michigan Stroke Networkは
 同施設の患者に多大な恩恵をもたらすとしている.
 これまで年間約6件ほどある脳卒中のケースでは、
 専門外の医師らが別の病院の神経科医や神経外科医の
 協力を得ながらの診察でtPAを投薬し、成功しているが、
 新しいプログラムはこのプロセスをさらに向上させるだろう、
 とスレーター氏は強調した.
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10月27日の夜のニュースで脳梗塞の治療に使用される
t-PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)の
副作用が報道されていました.

適切に用いられれば、非常に治療効果の高い薬剤ですが
その使用については、専門的な知識と経験が
必要になります.

日本でも数多くの脳卒中症例の初期治療に
全て専門医が当たるのは困難な状況です.
そして脳梗塞の超急性期に
このt-PAの投与が有効だということです.

昨今の医療改革によって地方に数多く存在する
中小病院は、医師不足、看護師不足、スタッフ不足に
悩まされ、救急受け入れ中止、病棟閉鎖など
診療の縮小を余儀なくされています.

大病院に専門医を集約するといっても
日本では、アメリカのように
ドクターヘリの体制が完備しているわけではありません.

日本でこそ、地方でこそ、こうした
ロボット遠隔治療システムが真に有効だと思います.

このまま日本の医療が滅んでしまいそうな
現実に現場のスタッフが押しつぶされてしまう前に
さまざまな対策を講じるべきです.

ヘリコプターを全都道府県に整備しようという
計画も議論されていますが
それ以上に、このロボット遠隔診断システムを
もっと現実的に導入を検討する必要があります.

あの有名なMGHでも試みられているのだから.

最後にロボット3原則をもじって
医療スタッフ3原則を作ってみました.

 第一条 医療スタッフは自らの医療行為によって
 人間に危害を加えてはならない.
 また、人間の病気の危険を看過することによって、
 人間に危害を及ぼしてはならない.
 (本当に患者さんにとって一番よい方法を考える)

 第二条 医療スタッフは人間の生命を守る事に
 専念しなければならない。ただし、
 あたえられた仕事が、第一条に反する場合は、
 この限りでない.
 (社会倫理を守り、家族や他のスタッフの
  意見を十分に反映させる)

 第三条 医療スタッフは、前掲第一条および第二条に
 反するおそれのないかぎり、
 自己をまもらなければならない.
 (医療スタッフが倒れてしまったら
 治療を継続することができなくなります.
 医療スタッフも、自らの健康管理をして
 丈夫で健康になる)

なかなかロボットや機械でない我々は
悩みも多いです.

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by yangt3 | 2006-10-29 00:33 | 一般