もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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MRやCTを遠隔操作

アップルのソフトにネットワークに
接続したMacコンピューターを
遠隔操作するためのソフトがあります.

Apple Remote Desktom3 がそれです.

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ネット管理者が自分の机を離れる事なく
ネットにつないだパソコンの
管理をしたり、再起動したり、遠隔操作で
管理することができるものです.

このようにネットやパソコンの世界では
遠隔操作が可能になってきています.

医学の分野でも、遠隔操作が研究されてきました.
今回インターネットでMRIの遠隔操作が
可能になったそうです.




--------------NIKKEI NET 2006.11.1
インターネットでMRIの遠隔操作が可能に
http://health.nikkei.co.jp/hsn/hl.cfm

 インターネットを通じて離れた場所からMRI
 (磁気共鳴画像診断)装置を操作する
 ソフトウエアについて、良好なテスト結果が
 得られたという.
 米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の
 J. Paul Finn博士らによるこの報告は、
 医学誌「Radiology」11月号に掲載された.

 このテストでは、Finn氏が自分のオフィスに
 いながらにして、半マイル(約800メートル)
 離れたUCLAメディカルセンターにあるMRI装置を
 操作して患者30人の検査を行う一方で、病院内でも
 技師1人が年齢を適合させた別の患者30人について
 検査を行った。別の放射線診断医が両方の画像を
 評価した結果、遠隔操作による検査画像の90%が
 「極めて優れている」との評価を得たが、
 院内で検査された画像で同等の評価を得たものは
 60%であった.

 Siemens Medical Solutions社との共同開発による
 この技術は、単一の医療施設内での使用については
 米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ているものの、
 インターネットを通しての使用については未申請であり、
 市場に出るまでにはもう少し時間がかかるという.
 この技術が完全なものとなれば、心臓や血管などの
 専門性の高い検査に精通した技師のいない小規模な
 病院などで使用できるほか、技師のトレーニングにも
 利用できるとFinn氏は見込んでいる.

 しかし、北米放射線学会(RSNA)広報担当の
 Emanuel Kanal博士は、トレーニング目的の
 使用については価値を認めつつも、装置を遠隔地から
 操作されることに抵抗を示す技師が出てくる可能性を
 指摘.また、誰が画像を読影するのか、支払いは
 どちらの施設にするのかなどの問題もあると述べている.
 Finn氏もこのような問題が未解決であることは
 認めているが、この技術はCTなどにも応用でき、
 緊急時や戦場でのCTの遠隔操作など、
 さらに広い用途が考えられると期待を述べている.
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最近の医療機器は、高性能化の反面
機器の操作に専門性が必要となってきています.

CTもMRIも同様です.
CTでは、64列CTと呼ばれる高性能CTが登場し
心臓カテーテル検査を行わずにして
かなり精度の高い冠動脈画像を得る事が
可能になってきています.
さらには、通常の造影剤とカテーテルを用いた
冠動脈画像では、診断の難しかった
冠動脈血管の石灰化の描出、解析にも能力を発揮し
今後の発展が期待されるところです.
(当院でも早い時期の導入を考えています).

ただしこうした高性能CT で患者さんの負担は
どんどん軽減される一方で
CTを操作する技師の負担はどんどん増加しています.
きれいなCT画像を得る為には
かなり高い専門的な操作が必要となるばかりか
あとの画像処理のために、長い時間
ワークステーションでの作業が必要となります.

MRIも同様にどんどん高機能化し
非侵襲的にきれいな血管画像を描出することが可能です.
画像処理のためにやはり
長い時間の作業が必要なのはいうまでもありません.

最近では、超急性期の脳梗塞の診断に
MRIを用いる事が多くなってきています.
こうした緊急時の操作に的確なMRIの画像を得る為の
技師さんの負担は大変なものです.

記事にあるような遠隔操作が可能であれば、
MRI専任、CT専任の技師は、わざわざ病院まで
出てくる事なく、現場の若手技師に指示しつつ
遠隔操作で、昼間と変わらないきれいな
画像を撮影することが可能になるでしょう.

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日頃、激務である技師さん達の業務の軽減にも
つながると思います.

さらには、地域全体での診療協力体制を
作り上げれば、記事にあるように
専門的な技師が不在の中小病院でも
基幹病院の専門技師の遠隔操作による援助が
可能になれば、患者さんへの恩恵は
計り知れないと思います.

日々、カテーテル治療を行っていますが
様々な冠動脈画像上の病変を見て
これをどのように治療していくか
いつも悩んでいます.
実際のところは、直接画像をみてもらわないと
言葉だけでは、細かいニュアンスが
伝わらないのです.

治療すべきか、ステントを置くべきか
どのような治療デザインにするべきか
悩んだ時に、なにかアドバイスがあればと
思うわけです.

こうした遠隔操作システムと地域の
連携システムが可能になれば
困難な症例でも、現場に直接足を運ぶ事なく
別の場所で、家庭にいながらにして
カテ室の画像をリアルタイムに見る事ができれば
常に質の高い治療を安全に行う事が
可能になると思います.

遠隔操作の技術や思想は
これからますます発展を遂げると期待されます.
あくまで目的は、患者さんのよりよき治療のために
ということです.

余談ですが、長所としては、自宅に帰って
家族と夕食を済ませて遠隔操作で
仕事の続きができるということです.
逆に短所は、家に仕事を持ち込むということ
家にまで仕事が押し掛けてくるという事.
残業手当だのオンコール手当てだの
院長、事務長には頭の痛い問題でしょうが
まあメリットは大きいのではないかと思います.

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by yangt3 | 2006-11-10 00:03 | ニュース