もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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新しい心臓弁製造の方法

循環器科のもう一つの大きな仕事は
心不全や心臓弁膜症の診断、治療、管理です.

手術適応となるべき心臓弁膜症を
できるだけ状態のよい時期に診断し
心不全などが悪化する前に
しかるべき心臓外科医の元に無事に
紹介するのが、大切な業務の一つです.

無事に弁膜症の治療が終了した方は、
引き続き循環器科に通院していただいて
その後の療養を継続していただくことになります.

現在、心臓弁膜症の手術に使用される
人工弁は、機械弁と生体弁がありますが
どちらにも長所と欠点があり
より優れた人工弁の開発が望まれているところです.




------------------asahi.com. 2006.11.13
「種子」を体内に埋め、心臓弁製造 実験成功
http://www.asahi.com/national/update/1111/OSK200611110072.html

 背中にシリコーン製の「種子」を埋め込み、
 自分の細胞に覆われた人工の心臓弁をつくることに
 国立循環器病センターと京都府立医大のグループが
 動物実験で成功した。生体になじみ、拒絶反応が起きない
 ヒト向けの人工の心臓弁への応用が期待される.
 今後、動物に移植する実験をする。

 国内では心臓弁膜症などの患者に対し、人工の心臓弁を
 植え付ける手術が、年間1万件以上実施されている.
 現在は、金属などでできた機械弁や、ウシやブタの心臓を
 材料にした生体弁が使われている。しかし、機械弁の場合、
 患者は血液が固まらない薬を飲み続けなければならず、
 生体弁も20年程度で寿命が来る.実験はこうした欠点を
 補う人工の心臓弁をつくろうというものだ.

 シリコーンとポリウレタン製の「種子」を
 イヌ(弁の直径5センチ)とウサギ(同2センチ)の
 背中の皮膚の中に埋め込む。「種子」は1カ月ほどで、
 自然の修復作用でコラーゲンやコラーゲンを作り出す細胞で
 覆われる.約1カ月後に取り出して、弁としての機能や強度を
 確かめたところ、血液の逆流や漏れはほとんど起きておらず、
 弁の劣化もなかったという.

 強度は生体弁の6〜8割だが、同センター研究所生体工学部の
 中山泰秀室長は「患部に定着すれば実用に耐えうる」と話している.

 中山さんらは、「種子」を体内に埋めて自分の組織に覆わせる
 同じ方法で、直径2ミリ程度の微細な血管をつくり、
 臨床研究の準備も進めている.
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もしこの新しい心臓弁の製造の方法が
実用化すれば、素晴らしいですね.
記事にもあるように、抗血栓性は
問題ないと思われるのですが
やはり強度がどれくらいかですね.

人工弁の手術を2度も受けるのは
患者さんにとって、本当に大変な負担になりますので
植え込みした人工弁が長らく強度が落ちる事なく
丈夫であることが望まれます.

人工弁を植え込みした患者さんの場合は、
人工弁に血栓が付着しないように
ワーファリンと呼ばれる薬を継続して服用する
必要があります.
ワーファリンについては、適切な投与量を調整するために
定期的、頻回の血液検査による確認も必要になります.

抜歯や手術などの時にわーファリンを止めて
調整が必要になります.
消化管出血、下血、胃潰瘍、外科手術などの時には
ヘパリンなどの使用により循環器科医師の
管理が必要になり煩雑であり、神経を使うことは
確かです.

新しい人工弁が使用可能になれば
患者さんの負担が軽減されるのは間違いありません.
長い強度をもったよりよい人工弁の実現が
本当に期待されますね.
by yangt3 | 2006-11-25 08:14 | ニュース