もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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ネット検索で医者がいらなくなるのか?

最近は、若い人たちは、病院にかかる前に
まずインターネットで医療情報を確認してから
という人が増えているようです.

風邪程度であれば、それほど神経質に
なることはないのでしょうが
家族の人が入院したり手術を受けるとなると
やっぱりネットで調べることになります.

病院が公式ホームページを持っていることもあれば
そうでないこともあります.

情報公開の点では、まだまだ
各施設ごとの判断にまかされているのが現状です.

検索といえば、Googleが有名ですが
ネット検索があれば、医者はいらなくなるのでしょうか?

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------------ITmedia News 2006.11.10
Googleは医師をも助ける?
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0611/10/news056.html

 インターネットに医療情報を求めているのは
 患者だけではない.

 Googleのようなエンジンを使ったWeb検索は、
 医者が複雑な病状を診断する上でも助けになるかもしれないと、
 オーストラリアの研究チームが11月10日、報告した.

 「われわれの調査によれば、難しい症例では“ググる”ことが
 診断に役立つ場合も多い」。オーストラリアのブリスベーンにある
 プリンセス・アレクサンドラ病院のハングウィ・タン氏はこう話す.

 Googleがどれだけ役立つかを調べるため、タン氏は同僚とともに、
 医療雑誌に報告された診断の難しい26の病気について3〜6語の
 専門用語を選び、Googleで検索した.

 上位に表示された中から症状に合致しそうな回答を記録しておき、
 正しい診断と照合したところ、15の症例(58%の確率)で
 Google検索が正しい答えを出していた.

 「GoogleのようなWebベースの検索エンジンは、
 臨床医学における最新ツールになりつつあり、研修医は
 これを使いこなせるようになる必要がある」.
 タン氏はBritish Medical Journalがネットに掲載した
 報告書でこう述べている.
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ちなみにこの記事のベースになった論文はこちらです.
(もちろん英語になります).
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Googling for a diagnosis
—use of Google as a diagnostic aid: internet based study
(Googleが診断の助けになるのか?)

(BMJ.2006;333:1143-1145)
http://www.bmj.com/cgi/content/abstract/333/7579/1143

 目的;代表的なネット検索エンジンであるGoogleを用いて
    医師の正しい診断の補助になるのかどうかを調べること.
 デザイン;診断名を知らされずに、Googleを用いて
    正しい診断にたどり着くかどうかを調査.
 調査背景;2005年のNew England Journal of Medicineに掲載された
    症例報告を用いた.
    (医学生、研修医の間で有名な例のMGH Case Reportですね!) 
 症例;New England Journal of Medicineから26症例を選択.
 研究方法;Google検索でたどり着いた診断と
    New England Journal of Medicineに掲載された正しい診断との
    一致率を求めた.
 結果;Google検査を用いて26例中15例が正しい診断にたどり着いた
    (58%の正診率、95% CI 38%〜77%)
 結論;インターネットアクセスが多くの外来クリニックや病院、病棟で
    利用が広がるにつれて、医師にとって重要なツールに
   なりつつある.ネット検索が医師の診断の補助になる可能性が
   ある.
------------------------------------------
この研究で用いられる New England Journal of Medicineの
MGH case report は、マサチューセッツ総合病院で経験した
さまざまな困難な症例をケースリポートとして掲載されるものです.
最初に患者の病歴、経過、主な検査所見などが示され
診断名を知らされない専門医が
これらのデータをもとに、鑑別診断を行い、
さまざまな深い議論のもと、最後には、正確な診断にたどり着くという
有名な連載です.

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医学生、研修医の間でも、最初の病歴や検査だけのページだけをみて
みんなで診断を考えるという勉強会がよく行われています.

以前に勤めていた病院でも毎週やっていました.
さすが天下のMGHというか
診断の難しい症例ばかりで、なかなか正確な診断に
たどり着くのは、困難でした.
またMGHでさらりと行われている最新の治療を
しるよい勉強の機会でもありました.

MGHに毎回登場してくる専門医は、教科書以上に
さまざまなな知識と経験を駆使して
正確な診断にたどり着くわけです.
その正診率たるや100%近い感じでした.
その専門医の議論の部分をしっかりと読みこなすだけで
苦労はしますが、とても勉強になったものです.

Google検索をつかえば、こうした専門医とはいかないまでも
58%程度の正診率を得られるというのは
やっぱりすごいものだと思います.

私自身もGoogle検索はよく利用しています.
ただしGoogleで検索される情報は
玉石混交であり、それを取捨選択するのは
やはり自分の知識や経験が必要になるようです.

やはり正確な病気の診断や迅速な臨床判断というものは
医師としてのトレーニングが必要なようです.

Google、ネット検索が今後どんどん進歩したとしても
結局のところ、情報を整理し臨床に応用していくために
医師の役割は、まだまだ重要なようです.

一部でGoogleさえあれば、医師はいらないというような
議論も一部ではあるようです.
一般の方がGoogleだけで医学情報を得るというのは
便利な反面、その運用には、まだまだ何かが
足らないようです.

Google、ネットを使いこなすためにこそ
医師、医療の勉強、知識の習得が必要なのだと思います.
そうでなければ、医学部、看護学校に教授や講師が
必要なく、教室に学生の人数分のパソコンとGoogleがあれば
よいということになっていしまいます.

これからの医学教育には
こうしたGoogle、ネット検索を十分に使いこなすための
スキルも同時に教えていく必要がありそうです.

Googleをうまく使いこなせない、無視するというのでは
あまりにも遠回りになります.
Googleをきちんと活用したいものです.

ちなみに私は、Googleニュースをカスタマイズして
毎日、医学情報などもチェックしています.

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by yangt3 | 2006-12-05 07:38 | ニュース