もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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エンジェルスマイル

とある新聞のコラムに「エンジェルスマイル」が
取り上げられていました.

自分の子供だけでなく、赤ちゃんや子供は
どうしてあんなにかわいいのでしょうか.

目を合わせると、にこにこして
素敵な笑顔で、見ているこちらまでが
うれしくなってしまいます.

赤ちゃんの、この最高の笑顔は
「エンジェルスマイル」と呼ばれるそうです.
3ヶ月微笑(生理的微笑)といって
大人にかわいがってもらうために
守ってもらうために、保護してもらうために
生まれつきの行動として、天使のような
笑顔を周りにプレゼントしてくれるのだそうです.

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この世界に生きている限り
うれしいことや楽しいことばかりでなく
どちらかといえば、つらいことの方が
多いのではないかと
そう思える時もあります.

自分自身のことは、
勉強や努力で多少はなんとかなります.

ただどうしようもない出来事もあります.
大切な人との別れ.
家族の病気、そして悲しい死.

病院へは、思いもかけず
病を持った人たちが沢山訪れます.

病院スタッフの人たちも日々仕事や
生活に追われ、つらいことも多いと思いますが
患者さんこそが一番つらいのだから
せめて病院のなかでは
エンジェルスマイルを
心がけたいものです.
それが病院の仕事じゃありませんか.

そしていうまでもありませんが
病院のチームリーダー、院長、事務長、看護部長
看護弛張、各部署のリーダーは
率先してエンジェルスマイルを
心がけるべきです.

つらい闘病生活にせめてものの慰めとなるように
リーダーたる方々が率先して
笑顔とユーモアを患者さんに 与えることが
できるように、そう思います.

師長が朝から不機嫌な顔をしていれば
チーム全体、ひいては病院全体の士気に
かかわります.

個々の職員は、自分の感情をコントロールする
必要があります.いかなる緊急事態が起きても
慌てず自らを律することを訓練する
必要があります.

リーダーたる師長は、自分をコントロールすることは
いうまでもなく、チーム全体、病院全体
そして悲しみにくれる患者さんの家族の気持ちや
感情もコントルールするという義務があるのです.
ゆめゆめリーダー、師長の仕事を
おろそかにするべきではありません.

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私も心臓カテーテルチームのリーダーとして
常に心がけています.

心臓病という大きな敵と戦っている以上
全線全勝というわけにはいかず
時に予期せぬ合併症や予期せぬ不整脈や
緊急事態に遭遇することがあります.

特にカテ室では、何が起こってもおかしくない状況で
安全に確実に検査、治療を行うために
術者であり、チームリーダーとして
ぼろぼろに神経をすり減らして仕事をしています.

カテーテル治療中に突然患者が
心室細動で心停止になったらどうするか.
カテーテルの合併症が起きたらどうするか.
冠動脈穿孔、急性管閉塞、心タンポナーデなど
起きて欲しくはない、遭遇したくはない
怖い合併症が沢山あります.

こうした合併症を起こさないように細心の注意と
予防策をもって、治療に望んでいます.

師長と同じように、カテチームのトップである
私が、怒ったり、いらいらしたり、慌てたり
何をして良いかわからない放心状態になったら
チーム全体が崩壊してしまいます.

いついかなるときも、どんなにつらくても
ストレスに押しつぶされそうになっても
チームの仲間の前では、平静を装い
自分の感情と恐怖をコントロールし
チームに的確に、迅速に指示を出して
いかなければなりません.

残念ながら、懸命の治療にもかかわらず
患者さんを救命出来なかったとき
私の仕事はそこから、また始まるのです.

なぜ救命できなかったのか.

自分のカテーテル治療、点滴、投薬などに
なにか問題はなかったのか.

未然に防ぐことの出来る問題点がなかったのか.

懸命に病気と闘って旅立っていった患者さんのために
天上界に旅立たれた後も
しばらくは、その人のことを
こうして長く長く私の頭の中で思い出し反すうし
私自身の喪の仕事が続くのです.

いやしくも医師である以上
悲しみや悔しさに身を任せる暇は無く
少しでも自分を高めて、技術や治療を磨き
よりよい治療をできるようにすることが
私自身の喪の仕事です.

医療スタッフの皆さんも
つらくても悲しくてもエンジェルスマイルで
また一緒にがんばりましょう.

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by yangt3 | 2006-12-11 06:04 | 一般