もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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笑顔を機械で計測する試みー心を機械で計れるか?

病気で病院にかかると
問診や診察の後に
いろいろな検査を受けることになります.
心電図、レントゲン、採血、エコー、CT、MR
などなど.
体の調子は全て数値化、画像化されて
判断されることになります.

いろいろな医学的データから
正常である、異常であるということが
評価され治療が行われます.

症状の中には、しかし数値や画像化しにくいものが
あります.
実際のところ症状の大部分や
数字として評価することが難しいことが多いのです.

痛み、しんどい、疲れる、息苦しい、胸がえらい
などなどよく聞かれる患者さんの訴えは
やはり個人的な症状であり
あの人とこの人の症状を比べることができません.

そういう自覚症状に関して数値化すること
計測することは本当に難しいことです.

症状ではありませんが「笑顔」を計測するという
「笑度計」が開発されているそうです.

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---------信毎web  2007.1.1
笑顔で健康チェック「笑度計」 1、2年内に試作機
http://www.shinmai.co.jp/news/20070102/KT061227CUI090026000022.htm

 信大繊維学部(上田市)感性工学科で研究している
 上条正義・信大大学院助教授らのグループが今年、
 「健康笑度(しょうど)計」の開発に向けた取り組みを始める。
 「笑いは健康にいい」と近年注目されているが、
 笑顔から心身の調子を判断して健康づくりに役立てる試みだ。

 グループは既に、見た人が「いいな」と感じる笑顔の“法則”を確認。
 同じ笑顔でも、見た目で体調が何となく分かると言われることに着目し、
 その「いい笑顔」が健康を示すことをデータで裏付けながら、
 1、2年のうちに試作機を完成させようと計画している。

 グループの菅原徹・アソシエイト研究員は、
 モデル20人の笑顔の写真5枚ずつを撮影し、その中からモデル自身に
 「1番いい」と感じた笑顔を選んでもらい、分析、比較研究をした。

 その結果、最もいい笑顔は
 (A)口の両端を通る直線から目尻までの高さ
 (B)左右の目尻の距離−の比の平均が1対1・60で、
 黄金比(1対約1・618)の近似値となっていた。
 この比率は、無表情の時は顔立ちによって差があっても、
 いい笑顔の時はほぼ同じになるという。

 結果は既に論文発表。(A)を縦、(B)を横とする長方形を
 「表情矩形(くけい)」と名付けた。

 笑度計は、カメラで笑顔を撮影し、この表情矩形の縦横の比を
 自動算出する仕組み。口の両端が上がらず比率の数値が
 下がれば不調−などと判断できるとみている。

 今年から、上田市の商店街の人や学生に協力を求め、
 継続して定期的に笑顔の写真を撮影。同時に血圧や血管年齢、
 心電図を測定したり心身の健康状態をアンケート調査したりして、
 数年かけて、いい笑顔と健康の関連を確かめる予定だ。

 上条助教授のグループはほかにも、
 「いい笑顔」では上まぶたの曲線がゆがみのない弧を描くことなどを
 確認しており、笑度計で同時に計測できるよう開発する方針。
 上条助教授は「体調不良の早期発見につながれば」と話している。
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人が悲しいから泣くのか、泣くから悲しくなるのかは
生理学も問題です.

笑顔や幸福感が脳内のある物質(脳内エンドルフィン)の濃度で
影響されるという議論もありますが
たとえばPET などの大掛かりな機器を使わなければ
一般的に脳内物質の濃度や分布を知ることはできません.

通常の血液検査のようにある物質の濃度を調べて
それで異常を調べるというわけではなく
地道に笑顔を分析して比較研究して笑顔を数値化する試みが
今回の研究です.
こうして作られたのが笑顔計という訳です.

同じような比較研究で怒り、悲しみなど
他の状況についても計測が可能かもしれません.

笑顔でもいろいろな笑顔があり
寅さんじゃないけど
「顔で笑って心じゃ泣いて」とか
複雑で状況や年齢、個人個人で変わるさまざまな笑顔を
どこまで細かく分析できるかどうか
興味のあるところです.

昔、心臓カテーテル検査、カテーテル治療のデータベースを
Macとファイルメーカーを使用して作成していました.

さまざまな患者情報、カテの画像データなどを
ファイルメーカーで一括管理していました.

その心臓カテーテルデーターベースには
患者さんの了解をとり
お顔のお写真をデータとして取り込んでいました.

心臓カテーテル検査、治療のため
心カテ室に入られると、まずデジタルカメラで
お写真を撮らせていただいていました.

撮影した患者さんの写真をMacに取り込み
ファイルメーカー上に貼り付けていました.

同姓同名であっても顔写真で区別がつけられるというのが
その写真を撮った理由でした.

たくさんの患者さんの顔写真をデータとして
取り込んで比較検討していると
当たり前のことですが
緊急で入院されたときと、元気な時では
お顔の表情が違うことに気がつきました.

世の中の名医と呼ばれる人たちは
診察室に入ってくる患者さんの様子や
表情を見ただけで診断がつく、というような
すごい人たちがいます.

そんなスーパードクターのまねはできませんが
顔の表情は、本当にいろいろな情報に
満ちているということだと思います.

急性心筋梗塞で緊急で運ばれた患者さんのお顔も
律義にストレッチャーの上に横になったままで
デジタルカメラで撮影していました.

カテーテル治療で元気になられ
数ヶ月後にまた確認のためにカテ室に来られて
またお元気なお顔を撮影します.
カテーテルの結果を見るまでもなく
調子の悪いときと、元気な時の
顔を比べれば、体調の善し悪しは一目瞭然でした.

普段、とても訴えの多い方がおられたとします.
だいたいは不定愁訴で心気象的な訴えのことが
多く、訴えの多い患者とスタッフに思われてしまいます.

その人が本当の病気、つまり心筋梗塞や
重大な緊急の病気にかかった時に
表情からきちんと病状を診てあげられるかどうか.

痛み、苦しみなどは数値化できない上に
本人にしかわからず、医療スタッフは想像して
共感して診療にあたるしかありません.

笑顔計の試みもそういう趣旨の延長にあることでしょう.

私自身は、なんでもかんでも数値化、画像化するのではなく
ファジーな部分があってもよいのではないかと
思っています.
そういう部分をマニュアル化できないからこそ
医療の仕事は奥が深く、どこまでも勉強ということに
なるのだと思います.

感情とかを計測するってことは
医学上は有用なことだと思います.
計測して定量化するということは、
比較が始まるということでもあります.
かけがえのない喜びの感情とか
深い悲しみの気持ちは、絶対的なものであり個人的なもので
簡単に比較なんかして欲しくないというのが
私の個人的な意見です.

患者さんには、最大限の笑顔を向けられるように
今年もまたやっていきたいと思います.

そういえば笑顔計って
職員の研修教育にも有用かもしれません.
毎日仕事前に笑顔計で 笑顔を計測して
笑顔が少ない人は
「残念ですが今日は笑顔が少ないので
仕事できませんよ」っていうのは
どうですか?

医療スタッフの笑顔の価値は
どれだけの患者さんや家族の人たちに
安心感や癒しを与えることができるかによって
決まると思います.

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by yangt3 | 2007-01-05 00:09 | ニュース