もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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急性心筋梗塞のカテーテル治療ーNEJMよりー

58歳の男性が早朝に胸痛を自覚し
安静にて様子をみていたが症状持続した.

胸痛出現から3時間後に救急コール.
救急車で最寄りの救急病院に搬送された.
最寄りの小さな病院に午後1時に到着した.

心電図にてST上昇を認め
急性心筋梗塞と診断された.

救急外来の医師は、ここから1時間ほど離れた
カテーテル治療(PCI)が可能な
救急病院への転送を勧めた......

これはアメリカでの話です.

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New England Journal of Medicine に掲載された
Clinical Therapeutics
「Primary PCI for Myocardial Infarction
 with ST-Segment Elevation」
 by Ellen C. Keeley, M.D., and L. David Hillis, M.D.

(ST上昇を伴う急性心筋梗塞に対するカテーテル治療)

という記事を紹介します.以下その内容の抄録です.

#臨床的問題
 USAでは、冠動脈疾患は死因の第一位であり、特に
 急性心筋梗塞がその主因である.
 2006年には1200万人が急性心筋梗塞を発症している.
 そのうち、急性心筋梗塞の半数から3分の1の割合で
 ST 上昇の急性心筋梗塞であった.

 急性心筋梗塞の患者のうち、25%〜35%は
 病院到着前に死亡してしまう.
 死亡の原因は病院到着前に発症した
 心室細動(Vf)によるののである.

 病院にたどり着くことのできた患者においては
 予後、生存率は明らかに改善する.
 1990年は11.2%であった病院内死亡率が
 1999年には9.4%に改善している.
 この生存率の改善は、ST上昇型急性心筋梗塞の
 治療による予後の改善によるものである.
 カテーテル治療や血栓溶解療法などの初期治療の
 進歩によるものである.
 National Registory of Myocardial Infarction研究によれば
 血栓溶解療法の施行により病院内死亡率は
 14.8%から57%に改善することが判明した.

#治療効果の病態生理
 冠動脈の動脈硬化は多くの病因によって発症する.
 一般的には、冠動脈血管内皮の障害と機能不全により
 血液循環中の白血球の血管内皮への付着が起こり
 同時に障害された血管内皮に、中膜に存在する
 平滑筋細胞が侵入し、動脈硬化プラークが
 形成されていく.

 動脈硬化プラークの進行により、冠動脈の狭窄を来たし
 ひいては最終的に冠動脈の閉塞を引き起こすことになる.

 しかし典型的なST上昇型の急性心筋梗塞においては
 冠動脈にそれほどひどい動脈硬化プラークによる狭窄を
 認めない部位において、突然冠動脈の閉塞がみられる.
 
 このような突然の冠動脈閉塞は、非閉塞性の動脈硬化プラークの
 破綻(プラークRupture)やびらんに血小板が付着し
 急速な血栓形成が生じることによって発症する.
 血栓形成が激烈であれば、冠動脈の完全閉塞が生じる.

 冠動脈の閉塞により、この血管により血流を受けている心筋は
 虚血に陥り、胸痛を引き起こし、心電図においては
 ST上昇型の心電図変化を生じる.
 ST上昇は、冠動脈閉塞によって起こる冠動脈閉塞が
 貫壁性(Transmural)であることを示している.
 冠動脈閉塞が起こると数分で心筋の壊死が起こり始め
 数時間は、波のように周囲の心筋表面に心筋壊死が
 拡大していく.冠動脈閉塞が持続すれば、心筋壊死は進行し
 心筋壊死は心臓の表面だけでなく心筋深部まで壊死が拡大する.

 心電図でST上昇を伴う急性心筋梗塞は
 ST上昇を伴わない急性心筋梗塞に比べて
 冠動脈の閉塞がより重篤であることを示し
 心筋の虚血、壊死もより広範で深部まで及んでいる.

 もしこの虚血、壊死の途中で冠動脈血流が再開、復活すれば
 虚血に陥っていた一部の心筋細胞は壊死に陥ることなく
 救出され、心筋梗塞の拡大を食い止めることが可能になる.

 心筋梗塞の死亡率や合併症は、壊死し虚血に陥った心筋のサイズに
 比例しており、迅速な冠動脈血流の快復によって
 左室機能の改善、温存および生存率の改善が期待できる.

 一次カテーテル治療(Primary PCI)とは、血栓溶解療法を
 行わずに、急性心筋梗塞発症後、すぐにカテーテル治療を
 行い、バルーン拡張やステント植え込みを行って
 閉塞した冠動脈の血流を改善する治療手技である.

 心臓カテーテル検査で血栓によって閉塞した冠動脈を同定し
 ワイヤーにて閉塞した血栓を通過させバルーンによる拡張
 もしくはステント植え込みによって、機械的に
 冠動脈閉塞を改善し開くことにより、冠動脈血流を
 改善させる.
 
 カテーテル治療により閉塞した冠動脈の90%において
 良好で正常な冠動脈血流を改善することが可能であり
 血栓溶解療法単独では50%〜60%しか改善できない.

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#臨床的エビデンス
 従来の血栓溶解療法を行わない保存的な内科的治療に比べて
 血栓溶解療法は、ST上昇を伴うもの、もしくは
 左脚ブロック(LBBB)を伴う急性心筋梗塞の
 左室機能を改善させ生存率を改善させる.
 9つの大規模臨床試験では、血栓溶解療法を受けた症例では
 35日目の生存率が11.5%から9.6%に改善した.

 しかし血栓溶解療法の限界が指摘された.
 第一に、ST上昇型急性心筋梗塞の症例において
 血栓溶解療法が投与出来ない近畿症例があることである.

 第二に、血栓溶解療法によっても15%の患者においては
 血栓溶解が失敗に終わることである.

 第三に、血栓溶解療法を受けた半数の患者において
 3ヶ月以内に、再度、冠動脈の閉塞が起こり結果として
 急性心筋梗塞の再発が起こることである.

 カテーテル治療は、これらの限界、欠点を
 乗り越えることができる.

 一次カテーテル治療(Primary PCI)と血栓溶解療法を
 比較した23の大規模臨床試験の検討がある.
 カテーテル治療を受けたのは3872人の患者.
 血栓溶解療法を受けたのは3867人の患者である.
 治療後4週間から6週間目の死亡率は
 カテーテル治療の方が低かった.(7% vs. 9%)
 心筋梗塞の再発や脳卒中の合併も
 カテーテル治療の方が発症が少なかった.
 これらの臨床試験は、いずれも大規模治療センターで
 行われ、カテーテル治療に習熟した医師が常在し
 患者到着後、迅速に治療が行われている.

 カテーテル治療のほうが血栓溶解療法よりも有用であるとしても
 治療の開始が遅れたり、治療経験の少なかったり
 カテーテル治療に習熟した医師がいなければ
 治療成績は、当然悪くなってしまう.

#臨床的応用
 血栓溶解療法(薬物的治療)にせよカテーテル治療(機械的治療)にせよ
 閉塞した冠動脈の血行再建治療(Reperfusion therapy)は
 急性心筋梗塞の症例において、迅速に行われるべきである.
 適応としては
 ・心電図で2つ以上の誘導で0.1mV以上のST上昇を伴う
 ・新たに出現した左脚ブロック(LBBB)
 ・12時間以上胸痛の持続する急性心筋梗塞症例 である.
 救急外来に急性心筋梗塞が搬送されたら、ただちに評価と診断を
 行い、迅速に治療を開始しなければならない.
 
 急性心筋梗塞の患者が救急来院後に90分以内に
 カテ室の準備ができ、選任スタッフ、熟練したカテーテル担当医師が
 集まれる環境であれば、カテーテル治療がまず適応となる.

 カテーテル治療を行うことのできない施設では
 ただちに可能な施設に迅速に転送しなければならない.

 患者到着から90分以上経過した患者においても
 カテーテル治療を考慮することが勧められる.
 このような患者においては血栓溶解療法は禁忌となることがあり
 75歳以上の症例においては、脳内出血などの出血の
 リスクが高くなるからである.

 特に来院後に頻脈、低血圧、肺うっ血、心不全などの症状が
 見られる場合は、通常の内科的治療では心原性ショックとなり
 高い死亡率となるため、迅速なカテーテル治療が必要である.

 血栓溶解療法は、病院搬送後3時間以内であり、かつまた
 カテーテル治療がすぐに行えない状況であること、
 もしくは発症後1時間以内である症例
 造影剤アレルギーのある症例などである.

 (東可児病院では、24時間体制でいつでも
 迅速なカテーテル治療が可能であり、基本的には
 血栓溶解療法は行っていません;yangt3)
 
 カテーテル治療においてもステント植え込み治療を行ったほうが
 バルーン拡張単独の治療よりも成績が良好であり
 再狭窄、症状の再発、再度のカテーテル治療の必要性の頻度が
 減少することがわかっている.
 こうしたことより通常、急性心筋梗塞のカテーテル治療においては
 原則的にステント植え込み治療が行われている.
 (急性心筋梗塞に薬剤溶出ステントを使用するかどうかは
 まだ各施設で対応が異なっているのが現状です;yangt3)

 もちろん特殊な臨床的状況においては
 バルーン拡張のみが行われます.その状況としては
 ・バイアスピリン、パナルジン、プラビックスなどの
  坑血小板薬に対してアレルギーがある.
 ・血小板減少がある
 ・一般的にバイパス適応と考えられている症例
  (左主幹部病変、重症3枝病変など)
 ・閉塞した冠動脈のサイズが細く、ステント留置に
  適していない症例

 薬剤溶出ステントと非薬剤溶出ステントを比較すると
 最初のカテーテル治療後の12ヶ月以内の再狭窄率は
 明らかに薬剤溶出ステントの方が低い.
 もし急性心筋梗塞に薬剤溶出ステントを使用した場合には
 亜急性性閉塞を防ぐためにアスピリンやプラビックス、
 パナルジンなどの坑血小板薬を少なくとも12ヶ月は
 継続する必要がある.
 薬剤溶出ステントの急性心筋梗塞に使用した場合の
 長期成績は、まだ検討中である.

 アスピリンの経口投与とヘパリン静脈投与に加えて
 ST上昇型の急性心筋梗塞の患者には、
 緊急のバイパス手術が必要出はない限り
 迅速にプラビックスの投与が必要である.
 (日本では、プラビックスの狭心症、急性心筋梗塞への
 投与はまだ認められていないので、パナルジンとなる;yangt3)

 さらにベータ拮抗剤、ACE阻害剤の投与も禁忌でないかぎり
 血行動態が安定している限り、投与を開始するべきである.

 欧米では、IIb/IIIa阻害剤(抗体)などがカテーテル治療の前に
 投与されることがある.

 急性心筋梗塞の患者においてはすべての患者に
 コレステロール低下薬であるスタチンの投与が勧められる.
 (プラークの安定化を期待してです;yangt3)

 血栓溶解療法とカテーテル治療の医療費は同等である.
 たとえばカテーテル治療の場合は、USAにおいて
 専門医への報酬が$4,000 〜 $5,000であり、
 入院費用は$20,000 〜$ 25,000となる.
 血栓溶解療法に比べて初回の治療費は高額となるが
 血栓溶解療法の場合は、高い確率で再発や再梗塞が起こり
 引いては高い合併症や高い死亡率につながり
 入院期間も長くなってしまう.
 
 1990年から1994年にかけてUSAの40施設で行われた
 4366 の一次カテーテル治療において
 閉塞冠動脈が良好に開存、拡張した成功率は91.5%であった.
 少数の患者を除けば、ほとんどの患者において
 良好な冠動脈血流が再開され、最小血管レベルでの良好な
 組織血流が快復していた.

 バルーン拡張やステント植え込みに伴って小さな微小塞栓が
 末梢血流を阻害し組織還流を障害することもある.
 このような患者においては、冠動脈造影上
 前向き冠動脈血流が確認されても、
 心電図でのST上昇は改善がみられない.
 こうした症例では、生存率の低下が見られる.
 (いわゆる末梢塞栓によるSlow Flow、No Reflow現象であり
 新鮮な血栓が豊富に存在する時には特に
 その危険性が高まります.
 これを防ぐために、様々な末梢保護デバイスを使用したり
 カテーテルによる血栓吸引を行います.
 場合により、末梢に飛んで塞栓となった微小塞栓が
 融解して末梢血流が改善するまでの間
 1〜2日の間、ST変化が改善するまで
 冠動脈血流保持のためにIABPを挿入することが多いです
  ; yangt3)

 一次カテーテル治療を受けた15%の患者においては
 治療前に責任病変の血流再開が認められる.
 このような患者では、冠動脈造影前に自然に
 血栓溶解が起こったと考えられる.急性心筋梗塞において
 冠動脈造影時に、閉塞して冠動脈血流が見られない場合や
 血流障害が起こっている場合には、臨床症状も
 血行動態も不安定であり、左室機能不全や
 ショック、心不全をきたしやすく、ひいては
 死亡率の増加に繋がる.

#合併症
 カテーテル治療の合併症は時に見られることがある.
 カテーテル穿刺部位の出血や血腫、偽性動脈瘤や
 動静脈瘻などが報告されている.
 これらの穿刺部位の合併症の頻度は2〜3%であり
 そのうち3分の2は輸血を必要とした.
 (欧米では、ほとんどの症例において
  大腿動脈の穿刺が多く、かつまた肥満の方も多いため
  穿刺が困難であったり、止血が困難であったりという
  地域的な事情があると思います.
  日本では、橈骨動脈など手首からの治療が多く
  止血もより確実で合併症も少ないと思います;yangt3)

 出血の合併症自体は7%に認められた.
 ヘパリン投与を少量にする、より細いカテーテルの使用などにより
 出血の合併症は現象してきている.
 ベテランの習熟した医師やスタッフの方が
 出血の合併症は少ない.
 血栓溶解療法によって引き起こされる脳内出血などの 
 致命的な合併症が1%であるのに対して
 カテーテル治療では、わずか0.05%である.
 (私自身もカテーテル治療後の脳内出血は
  これまで経験していません;yangt3)
 
 使用する造影剤によって引き起こされる
 カテーテル治療後の腎障害は、2% で見られる.
 特に心原性ショックとなった症例や
 もともと腎障害を持っていた症例や
 高齢者に多く認められる傾向にある.
 造影剤によるアナフィラキシーショック、アレルギーは
 比較的まれである.

 心室細動(Vf)や心室頻拍(VT)はカテーテル治療を受けた
 患者の4.3%において認められた.
 (閉塞した冠動脈の急激な血流再開により
  再還流障害が起こり、これによりまれに
  心室頻拍、心室細動などの致死的な不整脈が起こることが
  あります.一般的には、むしろ
  長時間続く冠動脈の閉塞によるものの方が多く危険です:
  yangt3)

 急性期に心室細動や心室頻拍などが認められた症例では
 入院期間が長くなるが、心原性ショックや心不全を起こさなければ
 長期予後は、変わらない.

 いわゆる予定のカテーテル治療において、3%の症例で
 梗塞責任冠動脈病変の急速な血栓形成を認めることがある.
 その発生率は一次カテーテル治療でもより高い頻度で見られる.
 バルーン拡張だけでは再度の血栓性閉塞のおそれがあるため
 急性期にステント植え込みを行えば、突然の血栓再発による
 冠動脈閉塞の率を1%にまで減少させることができ
 ひいては緊急バイパスに回る症例も減少する.

 したがって現在では、禁忌がない限り適応である限り
 ステント植え込みまでの治療を行うのが基本である.
 ステント使用により再狭窄が予防が期待されるが
 薬剤溶出ステントを使用すれば、さらに再狭窄率が低下する.

 ステント植え込み後のステント内血栓は薬1.5%に報告されており
 薬剤溶出ステント、非薬剤溶出ステントの間で差は認められない.
 (最近では、薬剤溶出ステントにおいては
  突然の坑血小板薬の中止により、慢性期でも血栓症が起こることが
  報告されてます.その機序については、研究中です.
  長期の坑血小板薬の継続が重要です;yangt3)

 重篤な心血管の合併症はわずかである.
 4366回のカテーテル治療において、緊急バイパスとなった症例は
 4.3%、死亡例は2.5% であった.
 閉塞した冠動脈血流の血行再建、冠動脈血流の再開が
 不成功に終わったときにこの合併症が多く起こる.
 つまり閉塞した冠動脈病変をカテーテル治療で
 良好に開くことができれば合併症は少ない.

 熟練した医師、スタッフ、選任のスタッフが常在して
 カテーテル治療になれた病院の方が
 合併症も少ないのは当然である.

#まだ結論の出ていない問題
 急性心筋梗塞のカテーテル治療は世界中で広く行われているが
 まだ解決されていない問題がある.
 第一に、カテーテル治療単独と、薬物を併用したカテーテル治療と
 どちらが有用であるかは、結論がでていない.
 血栓溶解療法を併用したカテーテル治療の方が
 閉塞した冠動脈の開存率は高い傾向にあるが、逆に
 より高い合併症や心筋梗塞、脳卒中の合併を認めることになる.
 従来の血栓溶解療法ではなく、IIb/IIIa阻害剤の使用が
 有用であるかどうかは、まだ結論がでていない.

 第二に、血栓溶解療法を行うか、カテーテル治療が可能な施設に
 搬送するかどうかの判断は、患者の臨床的状態と
 移送、転送の迅速さと確実性に依存している.
 転送前に血栓溶解療法を行った症例の方が、なにも投与せずに
 転送してカテーテル治療を行うよりよい成績が報告されているが
 この研究では、良好な患者転送システムが稼働している地域での
 研究であった.

 USAではこうした患者の転送は、しばしば不十分であり
 治療の遅れや治療が不十分になる自体が生じる.
 ほとんどのアメリカ人は、一次カテーテル治療が可能な
 病院の近くに居住しており、最初の診断と患者転送が
 確実で迅速であれば、一次カテーテル治療を受けることが可能である.

 第三に、ST上昇を伴う急性心筋梗塞の患者において
 重症3枝病変を認めることがある.
 急性心筋梗塞の原因となった閉塞冠動脈の血流を再開することを
 最初の治療の主眼としても
 残る3枝病変に対しての適切な治療は議論のあるところである.
 (左主幹部病変を含む重症3枝については、一般的には
  バイパス手術が選択されることが多いです.この場合
  来るべき外科的治療のために、薬剤溶出ステントではなく
  非薬剤溶出ステントを選択することになります.
  また施設によっては、左主幹部病変や重症3枝病変に対しても
  カテーテル治療を行う所もあり
  結論は出ていません.あくまで個々の患者さんの状況をみて
  個別に判断することになります;yangt3)

#ガイドライン
 ACC/AHAのガイドラインによれば、一次カテーテル治療
 (Primary PCI)の施行がClass Iとなるのは次の場合である.
 ・発症から12時間以内である
 ・ST上昇型の急性心筋梗塞
 ・病院到着後90分以内にカテーテル治療が可能である
  などである.
 カテーテル治療の施設基準としては、さらに細かく規定されており
 1年で75症例以上の治療を経験した熟練医師がいろこと、
 うち36例は自らが術者として治療を行ったこと、
 年間200症例以上のカテーテル治療件数があること、
 および緊急時、必要時に心臓外科のバックアップがあること
 などが必要とされている.

 同様にヨーロッパ心臓協会のガイドラインでも
 血栓溶解療法よりも先にカテーテル治療を優先することが
 示されている.

#臨床的勧告 
 ST上昇を伴う急性心筋梗塞が、カテーテル治療の設備のない
 地域の小さな病院に搬送された場合、
 血栓溶解療法を行ってからもしくは血栓溶解療法を
 施行せずに、カテーテル治療の可能な施設に迅速に
 搬送しなければならない.
 頻拍や、喘鳴、ラ音、心電図にて左室前壁梗塞が疑われる症例では
 より迅速に、より経験のある大きな施設に搬送するべきである.
 現在までの治験では
 カテーテル治療が可能な施設に搬送までに
 血栓溶解療法や、IIb/IIIa阻害剤を投与することは勧めていない.

-----------------------------以上、記事より抜粋しました.
幸いに日本は国土が狭く
比較的近い距離に、急性心筋梗塞のカテーテル治療が可能な施設が
数多くあります.
東可児病院でも、ST上昇型の急性心筋梗塞症例に対しては
この一次カテーテル治療(Primary PCI)による治療を
行っています.
24時間体制でカテーテル治療を可能にするために
カテ室スタッフのオンコール体制を整えています.
特に若いスタッフの頑張りには期待しています.

昨年は、急性心筋梗塞症例において
救急車内で心室細動を来したものの
救急救命士の迅速なAEDによる除細動により改善、
その後の迅速なカテーテル治療により快復、社会復帰した
症例も経験しました.

病院、カテ室、スタッフの救急対応の技術や設備を整えるだけでなく
やはり地域の連携、ネットワークこそが
急性心筋梗塞の救命に繋がると考えます.

今年も関係各位の方々には
よろしくお願いいたします.

ちなみにこのオリジナル論文は英語ですが
以下のホームページからPDFで入手可能です.

 NEJM
 http://content.nejm.org/cgi/content/full/356/1/47

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by yangt3 | 2007-01-09 00:06 | カテーテルの話題