もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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患者に優しい画像診断、患者に優しい医療を

近年、医療の進歩に伴い
画像診断の分野でも飛躍的、革命的な
進歩が見られます.
MRI、CT、SPECT、PET、超音波の各分野、
各画像診断において次々と高機能、高画質の
画像装置が開発されています.

まるでパソコン、デジタル家電の進歩と同様で
その進歩に現場スタッフがついていくのも
一生懸命なくらいです.

循環器分野でいえば、超音波の進歩
高機能CTの進歩により
日常診療が変わりつつあります.

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従来は、狭心症の診断においては、
心電図、運動負荷試験、心エコー検査などの検査
詳細な問診、診察などが行われます.

冠動脈の動脈硬化、狭窄が疑われる方においては
これまでは、心臓カテーテル検査が
行われてきました.

心臓カテーテル検査はご存知の通り
手首や足の付け根の動脈から穿刺して
カテーテルを心臓の冠動脈まで進め
造影剤で血管を映し出して検査するものです.

冠動脈の狭窄や閉塞を診断するための
標準的精密検査として、これまで広く
行われてきました.

当院でもできるだけ検査を受けられる方々の
リスクと負担を軽減するために
原則として手首からの検査とし
日帰りで心臓カテーテル検査を行っています.

狭心症の疑いでカテーテル検査を行っても
冠動脈造影で、動脈硬化や有意な狭窄、病変を
認めないこともあり
このようないわゆる”無駄な”カテーテル検査を
いかに少なくするかが問題でした.

さらに先の記事で紹介したように
狭窄した部分がすべて心筋梗塞になるとは
限らず、むしろ50%程度でも
不安定な動脈硬化、プラークが
心筋梗塞の原因になることも明らかに
なってきました.

カテーテル検査でこのような心筋梗塞を
起こす可能性のある不安定プラーク、動脈硬化を
きちんと確実に診断するためには
単なる造影検査だけでは、情報不足であり
冠動脈血管内超音波、いわゆるIVUSと呼ばれる
精密検査を用いることが必要でした.

通常の冠動脈造影のみで正常と判断されても
高脂血症、高血圧、糖尿病などの管理が
不十分であれば将来の心筋梗塞の発症のおそれが
あります.この場合にも冠動脈造影上は
一見有意な狭窄ではない部分に
血栓性閉塞が起こり心筋梗塞を発症します.

つまり心筋梗塞を予防するためには
狭窄のみではなく血栓性閉塞を来しやすい
不安定プラークをいかに早く見つけるかが
重要になります.

--------------日医ニュース 2007.1.5
放射線医学の進歩で患者に優しい医療に
http://www.med.or.jp/nichinews/n190105j.html

そこで脚光を浴びているのが
64列CTと呼ばれる高性能CTです.

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従来の冠動脈造影と同様にCT検査によって
冠動脈の様子を知ることができます.
最近のCTの高性能化によって
さらに閉塞した病変の性状までも
くわしく分析することが可能になっています.
つまり(まだ完全ではありませんが)
新しい64列CTによる冠動脈CTを行えば
従来のカテーテル検査を行わずに
狭心症の診断ができるようになるということです.

まだまだ100%の診断率ではなく
64列CTで異常を指摘されて、実際に
カテーテルを行うと異常なしであったというような
疑陽性もみられます.

さらに不整脈がある場合や、息こらえが
十分にできない場合、きれいな画像が
とれないことなど、まだ問題もあります.

特筆するべきことは、CTによる冠動脈検査では
非侵襲的に冠動脈が調べられるということと
病変やプラークの性状が推定できるということです.

たとえば柔らかいプラークであるとか
石灰化が強く、バルーンやステントでは治療困難
であるとかの情報が治療の前に判明すれば
さらに適切な治療を行うことができます.

現時点では、この高機能64列CTは非常に高価であり
まだすべての病院で検査が可能なわけではありません.
東可児病院でも今後導入予定ですが
まだいまのところは、64列CTを導入した病院に
検査を尾根がしている状況です.

薬剤溶出ステント(Cypher)の登場で循環器診療が
大きく様変わりしてきていますが
この高機能CTが広く普及すれば
さらに循環器診療が変っていくと思います.

つまりは、余分で無駄なカテーテル検査を
しなくてもよくなるので
患者さんにとっても多くの恩恵を
受けられると思います.

できるだけ早い時期の高機能CT導入に向けて
また頑張っていきたいと思います.
by yangt3 | 2007-01-12 00:02 | ニュース