もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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狭心症の衝撃波治療

現在、狭心症、心筋梗塞の
一般的な治療としては、まず十分な内服治療を
行います.
さらに冠動脈造影や、64列CT による
冠動脈CT などを行い冠動脈の状況を判断し
必要に応じて、カテーテル治療やバイパス手術など
いわゆゆる冠動脈の血行再建を行うのが
主流です.

高齢者の方や、腎障害のある方、
さらには左主幹部病変、重症3枝病変などの
症例においても、薬剤溶出ステントの出現や
カテーテル技術の進歩により
以前より安全、確実に
治療が行えるようになっています.

それでもやはりカテーテル治療でも
バイパス手術が出来ない場合もあります.
バイパス手術やカテーテル治療のあとの
再発で治療困難になる場合もあります.

そんな困難な症例に対して
体外衝撃波を用いた治療があるそうです.

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--------YOMOIRU ONLINE 2007.01.19
狭心症の衝撃波治療 
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/saisin/20070119ik0d.htm

 (前略)
 狭心症は、心臓の筋肉に酸素や栄養を送る冠動脈が、
 動脈硬化のため狭くなって起きる。治療は、
 足の付け根などから細い管(カテーテル)を通し、
 狭くなった冠動脈を風船状の器具などで広げる
 「カテーテル治療」や、太ももなどの血管を移植する
 「冠動脈バイパス手術」が主流だ。

 しかし、動脈硬化を促進する糖尿病を合併すると、
 手術などができない患者も多い。
 Aさんも糖尿病の持病があり、
 狭くなった3か所の冠動脈のうち、
 バイパス手術ができたのは1か所だけ。
 残る2か所はカテーテル治療を試みたが、
 血管を広げることができなかった。

 体外衝撃波治療は、こうした従来の治療が難しい
 重症患者を対象に、東北大が05年から始めた新治療法だ。

 考案した同大教授の下川宏明さん(循環器内科)によると、
 衝撃波を当てると、新たに微小な血管ができるのが促され、
 心筋への血流が増えるという。イタリアの研究者が
 2000年、体外で培養した人間の血管内皮細胞に
 衝撃波を加えると、血管を拡張する一酸化窒素ができると
 報告したのをヒントに、動物実験をしたところ、
 微小血管ができるのを確認した。

 衝撃波は圧力波の一種で、腎臓や尿管の結石の治療に
 使われている。そんなパワーを持った衝撃波を心臓に
 当てて大丈夫なのだろうか。

 狭心症治療には、結石治療の10分の1程度の弱い出力で
 衝撃波を使う。「痛みはなく、麻酔も不要。
 体への負担は小さい」と下川さんは説明する。
 メーカーの協力で、心臓病治療用装置を開発した。

 治療は、血流が低下している心筋を超音波装置で見ながら、
 あおむけに寝た患者の胸に衝撃波を当てる。
 1か所当たり約1センチ四方に200発、照射。
 これを20〜120か所に行い、約3〜4時間かかる。
 治療は1日おきに3度行い、3か月ごとに
 心筋の血流量などを検査し、効果が不十分なら追加照射する。

 下川さんが前任地の九州大で、55〜82歳の重症の
 狭心症患者9人に、この治療をしたところ、
 胸痛を抑える薬ニトログリセリンの使用頻度が、
 週平均5・4回から、治療半年後に週0・3回に減った。
 個人差はあるが、痛みなどの症状も全員が改善した。

 東北大の患者も含め13人がこの治療を受け、
 出血や不整脈など重大な副作用の報告はない。
 東北大は今年、検査など治療の一部に保険が
 きく先進医療の申請を目指す。

 ただ、まだ実施件数が少なく、長期的な効果も
 分かっていない。心臓病に詳しい東大病院長の
 永井良三さんは「衝撃波治療は、
 重症の狭心症患者を救える可能性がある。
 有効性のデータを蓄積してほしい」と期待する。

 この治療は、ドイツやスイスでも約100人に
 試みられている。下川さんは
 「衝撃波治療は週3回の治療で約2万4000円しかかからず、
 医療費抑制の観点からも、普及させたい」と話している。
 問い合わせは
 東北大病院循環器内科((電)022・717・7153)へ。

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薬剤溶出ステントが登場する以前には
ステント治療を行っても
最大15%の症状の再発、つまり
せっかく植え込んだステントの再狭窄が
発症し、その再発の治療に苦労していたものです.

私たちは、この従来のステントを用いた治療
において、治療後の再狭窄率は
種々の工夫と努力により5%ちかくまで
下げておりました.
それでも再狭窄を完全になくすことは
できませんでした.

ステント治療を行っても、何度も再狭窄を来して
結局、バイパス手術に至る方も少なくはありませんでした.

薬剤溶出ステント(Cypher)は
こうした従来のステントの弱点を克服すべく
登場したステントです.
ステントに内膜増殖、平滑筋増殖を防ぐ
シロリムスという薬剤が塗布されており
ステント植え込みされたあとも
この薬剤が徐々に冠動脈の血管内に放出され
再発を防ぐことになります.

私自身の経験では、この薬剤溶出ステントを
用いて狭心症の治療を行った場合
再発は、ほとんど認めませんでした.

もし再発があるとすれば、治療した場所とは
違う冠動脈の部位に、新たに狭窄などが
出現した場合のみでした.

さらには、従来であれば、バイパス手術の適応となった
重症3枝病変、びまん性病変、慢性完全閉塞病変などの
カテーテルで治療困難と考えられていた症例においても
カテーテル治療が安全に行えるようになり
カテーテルのみで良好な成績が得られるように
なっています.

つまり、現時点では、医療技術の進歩によって
カテーテル治療、バイパス手術などで
ほとんどの症例を治療可能な時代になっています.

この衝撃波治療も有効だとは思いますが
やはりカテーテル治療やバイパス手術が
可能な症例であれば従来の治療を優先するべきです.

私見ですが、こうした衝撃波治療は
カテーテル治療やバイパス手術が困難な例においてのみ
オプションして考慮することになると思います.

TMLR と呼ばれる治療があります.

同じくカテーテル治療やバイパス手術が不可能な
症例に対する治療でした.




衝撃波治療によって血管拡張が起こり
微小血管の新生が促されるという作用は
おそらく心臓、冠動脈だけにかぎらないのでは
ないかと想像しています.

つまりこの衝撃波治療による血管新生を
体の他の部位、他の血管疾患の治療に応用
できる可能性を考えています.

具体的には、ASO(慢性閉塞性動脈硬化症)と
呼ばれる足や下肢の動脈硬化症の治療です.

足の動脈硬化においても心臓と同様に
動脈硬化が進めばカテーテル治療や
バイパス手術が行われます.

心臓と違い、診断が遅れることも多く
下肢の動脈硬化が判明したときには
カテーテル治療やバイパス手術が困難な
場合も少なくはありません.

ひどい場合には、足の壊疽や難治性潰瘍などを
起こして初めて病院受診されることもあります.

こうした下肢の動脈硬化に対しては、
可能な限り、動脈の血行再建をめざしますが
なかなか治療が困難な場合が多いのです. 

特に糖尿病、腎不全で透析中の患者さんにおいては
下肢の動脈硬化は深刻な問題となります.

膝から下の動脈硬化がひどい場合には
カテーテル治療もバイパス治療も
困難なことも多く、内服治療や
点滴による治療となります.

十分な血行再建が出来ない場合には
最悪の場合、下肢の切断もあり
生命予後はよくありません.

下肢の切断までいたることなく
患足を温存することがなによりも望ましいことです.

この衝撃波療法を下肢の動脈硬化に
応用できれば、そして心臓のように
新生血管の再生が可能であれば
手術やカテーテルが不可能な症例でも
足を温存し、かつ症状の緩和が
可能になるかもしれません.

今後いろいろ検討してみたいと思います.

こちらが東北大循環器科の
重症虚血性疾患の衝撃波治療のホームページになります.
http://homepage3.nifty.com/CSWT/index2.html

スイス心血管センターに関するニュースはこちらです.

体外衝撃波で難治性狭心症の症状を軽減
PCIやCABGが受けられない患者に朗報
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/esc2006/200609/501322.html

こちらも関連ニュースです.

弱い衝撃波で狭心症治療
血管新生し血流が改善
重症患者にも負担なく
http://kk.kyodo.co.jp/iryo/news/0322shinkinsho.html

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by yangt3 | 2007-01-21 00:31 | ニュース