もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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「過ちては則ち改むるに憚ること勿れ」

自分が誤っていると悟ったなら、
躊躇なく、すぐ改めるという意味の
有名な格言です.

言葉ではわかっていても
それを実行するのは、
なかなか困難なことが多いです.
仕事でもプライベートでも.

プライベートでいえば
なかなかタバコがやめられないとか
友達や家族とけんかして
自分が悪いのになかなか
ごめんなさいが言えないとか.

けれども、仕事の過ちについては
冗談ですまないことがあります.

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上記の格言には、まだ続きがあります.
 「己に如かざる者を友とするなかれ、
 過ちては則ち改むるに憚るなかれ」
 「過ちて改めざる、之を過ちと謂う」
 「小人の過ちは、必ず文る」
 「過ちは好む所にあり」

これらの格言の意味するところは
自分より劣っていると思われるものと、
いい気になって交際していてはいけない.
間違ったと気付いたらすぐ改めた方がよい
ということです.

さらには、過ちを改めないのが
過ちなのであるということです.

いたずらに過失をおそれるより、
もし間違ったらそれを是正しない態度の方が
問題だと思います.
(現実にはありがちですね.
間違った人が逆ギレするというのは
本当は道理に合わないのですが...)

失敗は、得てして自分の得意としていることから
起きることが多いともいっています.
自分が得意であるということ
仕事でいえば専門であるということに
いつしか慢心が忍び込んで
ヒューマンエラーにいたるかも
しれないということです.

これらの教えから読み取れることは
失敗しないように努力するとしても
人間である以上、失敗することはあります.

むしろ失敗した時にこそ
その人の人となりが問われるということです.

失敗を恐れて萎縮してはいけない.
そして失敗しても、人に知られないように
隠したりこそこそしたりしないように.
目先の小さなメンツにこだわったり、
体面上の理由で頑固に自説を曲げないのは
困ります.

医療事故においても、同様かもしれません.
ひとたび不幸にも医療事故が起こってしまった時に
毅然とした態度をとれるかどうか
事故を隠そうとせずに
真摯な姿勢でいられるかどうか
そこの病院の真価が
とわれているのかもしれません.

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京大病院の医療事故のニュースが報じられました.

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--------------asahi.com 2006.10.25
肺移植の患者死亡 京大病院が医療過誤
http://www.asahi.com/health/news/OSK200610250023.html

 京都大医学部付属病院で3月に肺の移植手術を
 受けた直後から意識不明になっていた30代の女性が
 2006年10月24日深夜、死亡した。
 同病院から医療過誤の届け出を受けた京都府警は、
 業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。
 今後、司法解剖やカルテ調査などをする。

 女性は肺リンパ脈管筋腫症という難病。同病院の調査委員会が
 10日にまとめた報告書によると、手術中、
 人工心肺を使った血液循環がうまくいかず、
 血液中の酸素が不足した。さらに血圧低下が重なり、
 脳へ十分な酸素供給ができなくなった可能性がある。

 また、手術を主導した呼吸器外科は、血液循環など
 身体管理を担当する心臓血管外科や麻酔科と
 手術前の合同打ち合わせをしていなかった。
 責任が不明確なまま手術を始めたため、
 複数の異常値を見逃していたことも判明。
 内山卓病院長は今月12日の記者会見で、
 移植チームの連携不足など「重大な過誤」があったことを
 認めて謝罪した。

 同病院はこの手術後、肺移植を自粛している。
 移植手術の体制見直しを進めているが、
 今年度内の再開は難しそうだ。

 内山病院長は「悲しい結果に終わり大変残念だ。
 再発防止策を徹底し、安心して高度医療を受けられる
 体制を構築していく」とのコメントを発表した。

--------------asahi.com 2007.01.19
京大病院、心臓手術を差し止め 院長「安全策確立まで」
http://www.asahi.com/health/news/OSK200701190015.html

 京都大医学部付属病院が、昨年末から心臓血管外科の
 新規手術を差し止めていたことがわかった。
 同病院では昨年3月に脳死肺移植を受けた患者が
 手術中の酸素不足から同10月に脳障害で死亡。
 手術を主導した呼吸器外科は肺移植を自粛しているが、
 内山卓病院長が、手術にかかわった心臓血管外科に
 対しても安全策が確立するまで
 心臓・血管の手術全般の自粛を指示した。

 同病院によると昨年12月26日、内山病院長が
 心臓血管外科の米田正始教授に対し、
 「肺移植の手術失敗についての調査から、
 心臓外科の体制自体に問題がある」として
 新たな手術の自粛を口頭で指示した。
 心臓外科の過去の手術についても検討が必要で
 「安全性が確認できるまでの手術自粛」を
 伝えたという。

 脳死肺移植を受けた患者は、手術中、
 心臓血管外科もかかわった人工心肺を使った
 血液循環の失敗から血液中の酸素が不足。
 血圧低下も重なり、意識を回復しないまま死亡した。

 19日に会見した同病院の一山智副病院長は
 「肺移植以降、立て直しのために何が問題か
 検討してきた。その結果、最も改善すべき点が
 多いのが心臓血管外科との結論になった。
 他科や看護師らとのコミュニケーションについて
 改善を求めた」と話した。

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かのスペースシャトルでも
安全性が確立されるまでは、打ち上げ延期と
なっていました.
心臓手術などの高度専門医療を行う病院においても
高度な安全性が要求されるのは、いうまでもありません.

医療事故に際して、今回このような
決定を下した京大病院院長の決定は
学ぶべき点が多いと考えます.

先ほどの格言の続きには
こうあります.
 
「それは善およぐ者は溺れ、善く騎る者は堕つ、
各々その好むところを以って、反って自ら禍をなす」と.

泳ぎの名手は、未知の海や、急流などで泳ごうとするから、
溺れる機会に遇うし、馬術の達人は、荒馬を乗りこなせると
考えたり、危険な障害物を飛び越そうとするから
大きな事故につながったりするということです.

専門としているからこそ
重症症例にも手術や治療を積極的に行っていく.
それは高度専門治療施設としての大学病院においては
当然のことかもしれません.

もし今回の医療事故によって
安全性が確認されないまま
また治療や手術が続行されたとしたら
また過ち(医療事故)が起こるやもしれません.

専門性が高まれば高まるほど
謙虚に用心深く、慎重に治療を
行っていかなければならないと考えています.

日常的にいつも当たり前におこなっていること.
そんなルーチンワークにも
慢心からのエラーが忍び寄る可能性があります.

「過ちては則ち改むるに憚ること勿れ」

医療事故が起きてからあれこれと慌てるのではなく
こうした事案から学ぶことが
沢山あると思っています.

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by yangt3 | 2007-01-24 00:12 | ニュース