テレビゲームと外科医
2007年 02月 25日
主流になりつつあります.
私のよく知る外科医は
この内視鏡(腹腔鏡)手術を極めるために
段ボールで練習モデルを作って
自宅で練習していたそうです.
さらに別の外科医の知人は、
段ボールに、さらにビデオカメラを組み合わせて
さらに臨場感をました内視鏡練習キットを
お手製で作り上げていました.
大腸ファイバーの練習用にも
練習のための人体模型があります.
最前の手術、治療のトレーニングとしては
動物を使って実際に手術や内視鏡、治療の
シミュレーションを行うことです.
緊急手術や日々の業務に追われて
かつ開いた時間には、休養な飲み会などで
時間が潰されて
もしくは学会の準備や論文の準備に
時間がなくなって
なかなかテレビゲームでのんびり遊んでいるような
時間は、外科医にはなさそうです.
実はテレビゲームと外科医との意外な関係が
明らかにされています.
-------------------CNN.co.jp 2007.02.23
テレビゲームする外科医は腹腔鏡手術が上手と 米調査
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200702230028.html
テレビゲームで高得点を挙げる外科医は
腹腔鏡手術でもミスが少ないという因果関係があることが、
アイオワ州立大学の研究者らの調査で明らかになった。
調査した研究者らは、ゲームの上手下手で手術の技量が
予測できるという結果に驚いている。
外科関連の専門誌に発表された調査によると、
ニューヨークにあるハーバード大学ベス・イスラエル
医療センターの外科医33人が調査に協力。
その結果、少なくとも1週間に3時間テレビゲームで
遊んでいた医師9人が、まったくゲームをしていなかった
15人と比べて、ミスが37%少ないだけではなく、
作業時間が27%速く、外科処置の技量を測定するテストで
42%高い得点を獲得していたという。
腹腔鏡手術は、術部位の切開する部分が少なくて済み、
患者に負担をかけない手術として、採用が増えている一方で、
医師は画面を見ながら細かい作業を行うため、
手先の器用さや正確さが求められる。
これまでにも、テレビゲームは画面を見ながら
手先を動かす訓練に役立つとの研究が報告されており、
研究者らは今回の調査でさらに、ゲームが手術の技量向上に
役立つことがわかったとしている。
しかし、テレビゲームに夢中になりやすい年代の子どもが
いる親たちには、「ゲームが上手だからといって、
医学部に入りやすくなるわけではない」と指摘し、
ゲームを長時間続ければ、成績が下がったり
運動不足になりやすいと、注意を呼び掛けている。
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実際の論文はこちらになります↓↓
ARCHIVES OF SURGERY
ーThe Impact of Video Games on Training Surgeons
in the 21st Century
http://archsurg.ama-assn.org/cgi/content/abstract/142/2/181
ちなみにこちらにも関連記事があります.
ゲームをしている医者は手術が上手
http://eizo.tea-nifty.com/ganbare/2004/04/post_9.html
医療の現場では、まさにゲーム的な感じになっています.
ロボット、コンピューター支援による外科手術も
研究され行われるようになってきています.
内視鏡下手術支援装置(ロボット手術)を用いた手術
http://www.congre.co.jp/kyushu-u/surg2/contents/davinci.html
九州大学病院ではda Vinciと呼ばれる手術支援ロボットを用いて
種々の消化器系手術を行っています.
現在までに行われている手術の内容としては
食道裂孔ヘルニア修復術、食道腫瘍切除 、食道筋層切開術
逆流性食道炎根治術、幽門側胃切除術、結腸切除術
胆嚢摘出術、脾臓摘出術、鼡径ヘルニア根治術、胸腺腫瘍摘出
後縦隔腫瘍摘出、巨大卵巣嚢腫摘出、胸部交感神経切除
などとされています.
イリノイ大学医療センター外科ではロボット手術を用いて
複雑な肝臓手術に成功したそうです.
ロボットによる初めての複雑な肝臓手術
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/956/956-07.pdf
ロボットによる脳外科手術も行われています.
ロボット支援により、これまでの顕微鏡を用いた手術よりも
より複雑な脳や脊髄の細かい手術が可能になリます.
ロボットアームで脳外科手術を
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20020307301.html
心臓外科手術の領域でももちろん
心臓ロボット手術が行われています.
心臓ロボット手術
http://health-info.jp/medical/disease/23b.htm
「ロボット手術では、外科医の手術手技を忠実に追従することのできる
内視鏡下手術支援装置を用いた手術を行い、
完全内視鏡下にバイパス血管の採取と冠動脈への吻合が行われます.
皮膚には小さな鉗子挿入用の穴を開けるのみで、
従来の大きく切開する場合に比べて侵襲が少なく、
合併症を減らすことが可能となります.
ロボット手術は究極の心臓低侵襲手術といえます.
ロボット手術による冠動脈バイパス術も行われており
さらには、弁膜症や先天性心疾患などの様々な
心臓手術への応用も研究されています」
循環器内科の領域でもロボット支援とは行きませんが
血管内超音波(IVUS)、64列CTなどの高性能医療機器の支援により
各種治療を行っています.
従来の冠動脈造影の情報だけでは明らかではなかった
冠動脈病変のプラークの性状、不安定プラークの存在などを
これらのモダリティを駆使することによって
より安全な治療を行うことができるようになりました.
64列CTによる冠動脈検査では、非侵襲的に冠動脈の評価が
可能となり、冠動脈造影で一見性状にみえる部分の
プラークの存在を明らかにすることも可能になりました.
最新のVH-IVUSと呼ばれる血管内超音波検査を用いると
冠動脈病変の性状が病理学的、組織学的な面まで
細かい評価が可能になりました.
これからの医療の実践には
こうした新しいテクノロジー、電子機器、IT機器を
縦横に使いこなす能力が求められているようです.
今後、医学部の教育でテレビゲーム実習が実際に
取り入れられるのかどうかは定かではありません.
ただし、テレビゲーム的な柔軟な発想や
ゲームやシミュレーションでの器用さや技術は
必要になると思います.
毎日、家でテレビゲームに興じる子供たちをみて
ちょっと複雑な気分ではあります(笑)