もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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不安定プラークと心筋梗塞

世間では、メタボリック症候群が話題となり
肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病についての
関心が高まっています.

たしかに高血圧、糖尿病は
重要な心臓病のリスクファクターであり
十分な治療が必要なのは言うまでもありません.

長年の治療不十分な糖尿病では
心臓の冠動脈は、動脈硬化が全体に進行し
びまん性の病変や3枝病変などを来してきます.
この場合は急性心筋梗塞というよりも
狭心症、心不全の増悪というイメージになります.

急性心筋梗塞は、見た目には健康そうに見えた人が
事前の症状も兆候もなく突然に発症し
最悪の場合、死に至る病気です.

こうした急性心筋梗塞の原因になるのが
不安定プラークです.

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狭心症、急性心筋梗塞などの冠動脈疾患の
患者においては、ステントやカテーテルなど
治療の進歩よって、予後は改善しています.

それでも急性心筋梗塞による心臓突然死を
完全に予防することができないのが現状です.

定期的な血液検査、心電図、運動負荷検査などの
通常の検診、スクリーニング検査では
急性心筋梗塞、心臓突然死の予防を完全に
行うことは困難です.

急性心筋梗塞において不安定プラーク(易破綻性プラーク)
がその原因であるということが認識されて
治療のターゲットとなってきました.

急性心筋梗塞の治療とは
すなわちこうした突然冠動脈を閉塞する
不安定プラークに向けての治療となります.

心筋梗塞の原因となる不安定プラークは
その名のごとく、様々な血管ストレスにより
容易に破綻し、その結果、一連の血栓形成反応を
惹起し、急激に冠動脈閉塞を来たし急性心筋梗塞に至ります.

破綻に至る前の不安定プラークを的確に診断することが
できれば、急性心筋梗塞の発症前に
予防的に内服治療やカテーテル治療を行うことが
可能になり、ひいては
心臓突然死を減らすことにも繋がります.

急性心筋梗塞を発症する前には
安静時の心電図で不安定プラークを診断することは無理です.
冠動脈の狭窄度が75%以上となっていれば
心電図による運動負荷試験で、所見がでることがありますが
通常は、急性心筋梗塞を発症する冠動脈の病変(プラーク)は
狭窄率が25〜50%程度の狭窄であったりして
運動試験でも診断は困難です.

急性心筋梗塞を発症する前に
心臓カテーテル検査(冠動脈造影検査)を行ったとしても
破裂前の不安定プラークは、見かけ上
有意狭窄には見えず、カテーテル検査だけでは
見つかりにくいのです.

カテーテル検査に加えて、血管内超音波(IVUS)検査を
同時に行えば、こうした診断困難な不安定プラークを
事前に調べることが可能になります.
ただし全てのカテーテル検査で
こうした血管内超音波検査を行うことは、かなりの
身体への侵襲となりあまり現実的ではありません.

もっと非侵襲的な方法でこうした
不安定プラークを検出するための手段として
注目されているのが64列CTによる冠動脈検査です.

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CTの進歩により、冠動脈造影に匹敵するような
冠動脈の画像が得られるように成ってきました.
特筆すべきは
冠動脈造影検査では、いわが血管の内側(内腔)だけを
観察するのに対して、
64列CT検査では、血管壁やプラークを含む
もっと幅広い情報が得られることです.

血管内超音波やカテーテルのよりも簡単な検査で
静脈からの造影剤の点滴は必要ですが
スクリーニング的に
冠動脈の検査が可能な点で画期的です.

残念ながらまだ当院には
冠動脈CTが可能な高性能な64列CTは導入されていません.
高性能である分、価格もかなり高価であるため
近隣の医療機関での導入も進んでいないようです.

急性心筋梗塞や心臓病、脳卒中などの疾患は
別に都会地だけの問題ではなく
逆に地方に行けば、治療不十分な高齢者も多く
地方であるほど、きちんとした診断、治療のシステムが
必要だと思います.

当院のような地域医療の中心となる病院においては
こうした非侵襲的な高性能なCTの早い時期の導入が
早く望まれるところです.

実際、診断のためだけの冠動脈造影は減少しつつあり
冠動脈の評価をまずCTでという病院が
増えているようです.

当院では、残念ながらまだ64列CTが使えず
冠動脈の評価は、カテーテルによる
冠動脈造影を行っています.

64列CTを導入した近隣の病院にお願いして
CTによる冠動脈造影の評価も徐々に勉強を
重ねているところです.

このように急性心筋梗塞との戦いとは
不安定プラークとの戦いということになります.

カテーテル治療のみならず
コレステロール、LDLコレステロールなどを
スタチンの積極的な投与により十分に
治療を行うことの重要性はいうまでもありません.

高脂血症の治療薬であるスタチンを内服することによって
不安定プラークが安定化プラークとなり
結果としてプラークの破綻、破裂が起こりにくくなると
言われています.

不安定プラークの検出には
いろいろ研究が進められています.

PETを用いた診断方法も検討されています.

 不安定プラーク診断に成功 心疾患などを予防
 http://web.kumanichi.com/iryou/kiji/heart/12.html

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地方の病院であるからこそ
64列CTのような非侵襲的な検査機器の早期の導入が
必要じゃないかと感じています.

このブログで64列CT導入の紹介ができる日を
心待ちにしています.
by yangt3 | 2007-03-02 08:49 | 一般