もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

ケアとキュア

言葉の上では
ケアとは癒すことであり
キュアとは治療することです.

医師の教育では
病気をきちんと診断し治療すること.
つまりキュア(治癒)に重点が置かれます.

救急や急性期の治療の時には
とことん治療を行うというスタンスが
有用だといえます.

慢性期疾患や終末期、末期の状態の疾患で
もはや治癒が望めない状態では
治癒をめざすというスタンスでは
行き詰まってしまいます.

a0055913_23322469.jpg





医学の進歩、技術の進歩、高い平均寿命などにより
以前なら治療ができなかった高齢者の疾患や
重症の病気でも
治癒が望めるようになってきました.

とはいえ、人間が不死ではない以上
いつかは死を迎えることになります.

死を乗り越えられない医療
不死を得られない医療は、果たして無力なのでしょうか.

最近、高齢者の方の心臓病をよく拝見します.
90近い年齢で、慢性腎不全があり
長らく透析治療を受けておられた方.

心不全で入院し、精査を行ったところ
重症の大動脈弁狭窄があり
検査データだけをみると絶対的な
弁置換の外科的手術適応でした.

さらには、左前下行枝にも75〜90%の
有意狭窄があり、こちらも治療が必要な状況でした.

さらには、両側の慢性下肢動脈硬化症も
伴っており大変な状況でした.

こういう場合にもし無理して
大動脈弁狭窄症に対して外科手術を敢行しても
手術に果たしてこの超高齢の体力が
耐えられるかどうかは不明です.
いや多分耐えられないでしょう.

冠動脈狭窄に対してそっとカテーテルで
ステント治療を行ったとしても
(それ自体もかなりのリスクですが)
大動脈弁狭窄症に手を付けられない以上
リスクだけを増やして、
患者さんの状態を果たしてよくするかどうかは
わからないのです.

こうした手術やカテーテル治療に
高いリスクを伴う症例に
あえて保存的治療を選択するのも
また一つの判断だと考えています.

キュア(治癒)とケア(癒し)との
バランスをどう考えて実践していくか
毎日本当に悩んでいます.
by yangt3 | 2007-03-15 16:04 | 一般