もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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究極の個人情報

狭心症の方が当院を受診されました.
10年前に他の病院で心臓カテーテル検査を
受けられたとのこと.

その時の検査結果はどうだったのか
本人に聞いてもはっきりしたことはわからず
そして現在、狭心症の症状が確かにあり
精査が必要な状態でした.

患者さんが心臓カテーテル検査を行ったという
病院に過去の検査について問い合わせてみました.

曰く「もう記録がありません」

ご存知のように医師法24条では
診療録(カルテ)の5年間の保存義務が
化されています.逆にいえば
5年を経過したカルテは保管されていないということです.

10年も前のカルテも検査記録も残っていないというわけです.

こんなとき困ってしまいます.

a0055913_071927.gif





結局、患者さんが
自分の部屋の中を探したところ
過去の心臓カテーテル検査の説明の記録や
手渡されたカテの写真などが見つかり
それを持参して拝見することができました.

それをもとに今後の検査・診断・治療の計画を
無事に立てることができました.

過去の記録がない場合には
どうしても余分な検査などで遠回りすることになります.

------------YOMOURI ONLINE 2007.03.15
健康保険証のICカード化、2012年度からスタート
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070315i112.htm

-----------NIKKEI NET 2007.03.15
保険証をICカード化——厚労省、2012年メド
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2007031409527h1

 厚生労働省は14日、健康保険証にICカード機能を搭載し、
 過去の病歴や受診内容を患者や医師がパソコンで確認できる
 「健康ITカード」(仮称)を導入する方針を固めた。
 情報化で医療の効率を高める。16日に経済財政諮問会議に示す
 医療・介護分野の「質向上・効率化プログラム」に盛り込む。
 健康ITカードは2012年4月をメドに導入する。
 ICカードで国が整備するデータベースに接続することで、
 医療機関は他の病院で受けた診療内容や病歴が分かる。
 患者も自分が受けた診療内容を確認することができる。
 (日経)

 国はIC化により、患者の受診内容や病歴などの医療情報の
 データベース化を進める方針だ。ICカードを利用して
 データベースに接続することで、医師や患者が過去の
 受診内容などを確認できるため、医療機関が変わっても
 同様の検査を受ける必要がなくなる。緊急連絡先や血液型、
 薬品の副作用歴やアレルギー情報も記録されるため、
 医療事故の防止効果も期待される。
 医療機関は、診察券の発行やカルテの検索など、
 病院の事務作業が軽減されるほか、会計処理も含めた
 医療事務全体が大幅に効率化される。
 (読売)

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記憶メディアの小型化、大容量化が
すごい勢いで進んでいるため
将来的には、ICカードにかなりの多くの
情報を蓄積することが可能になりそうです.

ただし私の患者さんのように
過去の検査結果が必要な時
膨大な画像データを小さなICカードに
保存できるかどうかは、微妙だと思います.

患者さんのICカードには
いつどこでどのような検査、治療をうけたかの
記録だけを残しておき
実際の生データは、検査・治療を行った病院から
入手するのが実際的だと思います.

東可児病院でも現在電子化の一環で
オーダリングシステムの導入準備を進めていますが
将来的には、各医療機関での電子カルテの導入が
進んでいくことでしょう.

電子カルテではなく、紙カルテ、カットフィルム
シネフィルムなどの膨大な診療録、検査記録を
5年以上の分を保存していくことは
かなり難しいことです.
大量の資料の保管スペースを確保することも大変です.

実際前の病院では、過去の古いレントゲンフィルムなどは
一括して整理して、治療継続中の方々だけを
すぐに参照できるように手元に置いておき
保存だけのレントゲンは倉庫に保管していました.

いざ学会の発表に使うからとか、さまざまな理由で
古いレントゲンなどを見たい時
倉庫に出かけていって、探し回らなければ成りません.

つまりICカードによる健康情報の電子化は
病院の電子カルテの普及と整備と対になって
進めなければその真価を発揮できないことになります.

現在、東可児病院では、画像データは、
PACS上でデーターサーバーにデジタルデータとして
保管しています.

余談ですが私の場合
心臓カテーテル検査、心臓カテーテル治療の
データは全て私のMacで管理、整理しています.

電子カルテ、デジタルデータについても
いまのところ規定はなく
前述の5年という縛りにそうと思われます.
カットフィルムに比べればデジタルデータの保管は
たかだかハードディスク、もしくはDVDにかわるわけで
スペースのコストもかからず
かなりの年数のデータの保管が可能になります.

病院としてこうした国の電子化への方針に
どのように対応していくか
考えていかなければならないと思います.

一方で患者さんの方としても
自分の健康情報の管理をもっときちんと
行っていく必要が出てくると思います.
当院では、心臓カテーテル検査の結果の
画像コピーをお渡ししていますが
様々な画像データ(CT、MR、カテなど)
および血液検査のデータなどを
自分自身のパソコンで一括管理することも
あるかもしれません.

健康情報は究極の個人情報であり
ICカードを通じた健康データベースは
ある意味危険性もはらんでいるとも思います.
きちんと皆で考えていく必要があります.

健康情報のスキミングなんで
想像するだけで怖いですからね.

追加参考資料;
1)介護保険ICカードモデル事業についての記事があります

 介護保険ICカードモデル事業について
 http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kaigi/030908/sankou3.html
by yangt3 | 2007-03-17 00:08 | ニュース