もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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週末、時間外にこそ濃厚な医療を

どこの病院も週末やお盆、年末年始などは
平日に比べてスタッフも少なく
また医師の数も少なく
オンコールで各科医師が呼び出し可能とはいっても
即時対応という面でみると休日は大変です.

マンパワー不足を当日勤務のスタッフの
個人的な努力で補わなければ成りません.

脳卒中も、心筋梗塞も夜間、早朝の
時間外に発症することが多いことを考えると
こうした救急疾患の救命率を上げるためには
手薄になる時間帯、勤務帯にこそ
濃厚な医療ができる体制をつくっていかなければ
ならないということです.

週末に発症した脳卒中、心筋梗塞は
死亡率が高いという報告があります.

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------------1) NIKKEI NET 2007.03.08
週末は脳卒中の死亡率が高い
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm
 
 末に脳卒中の治療を受ける患者は、平日よりも
 死亡率が高いという知見が、
 米医学誌「Stroke」オンライン版に3月8日掲載された。

 研究を実施したカナダ、トロント大学医学部助教授
 Gustavo Saposnik博士によると、今回の研究は
 カナダ人のみを対象としたものだが、自己負担のない
 健康保険が一般的であるカナダに対し、
 さまざまな保険制度が混在する米国では、
 このような予後の差がさらに大きい可能性もあるという。
 
 脳卒中全体の80%以上は、血栓により脳の動脈が
 閉塞して起こる虚血性脳卒中が占めており、
 残りは脳動脈が破裂して起こる出血性脳卒中である。
 虚血性脳卒中の症状には、突然の言語障害、
 四肢の脱力、麻痺、歩行困難などがある。

 Saposnik氏らは、2003年4月から2004年3月までに
 カナダの606の病院に虚血性脳卒中で入院した患者
 約2万6,700人の情報を収集。
 このうち土曜日または日曜日に来院したのは
 約4分の1であった。
 
 年齢、性別をはじめとする因子について調整を行った結果、
 週末に入院した患者は平日に入院した患者に比べ
 7日以内に死亡するリスクが14%高く、
 退院できる確率も低いことがわかった。
 この「週末効果」は、都市部よりも郊外の病院で大きく、
 専門医よりも一般開業医(GP)が担当した場合の方が大きかった。

 この原因は明らかになっていないが、現在、
 その根底のメカニズムを探る別の研究が実施中だという。
 いずれにしても、脳卒中が疑われるときは、曜日、時間帯、
 地域にかかわらず早急に救急外来を受診する必要があると
 Saposnik氏は述べている。脳卒中では、治療が早ければ
 それだけ死滅する脳細胞が少なくてすむため、
 迅速な行動が不可欠である。

 また、米国心臓協会(AHA)脳卒中評議会の
 Larry B. Goldstein氏によれば、脳卒中と思われても、
 ほかの疾患である可能性もあるため、患者を自宅の車で運ばず、
 まず救急に電話して搬送先を任せるせる方がよいという。
 24時間体制の脳卒中センターについては国の認定制度があり、
 ニューヨーク、フロリダ、マサチューセッツなどの州には
 独自の認定機構がある。今回の研究でみられたような差が
 実際にあるとしても、早期治療の利益を優先するべきだと
 Goldstein氏は述べている。
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脳卒中の週末効果だけではなくて
急性心筋梗塞にも週末効果があるようです.

急性心筋梗塞の週末効果については
世界的に有名な医学雑誌 New England Journal of Medicineに
掲載されました.

------(N Engl J Med 2007; 356 : 1099 - 109 : Original Article.)
心筋梗塞による週末入院と平日入院における死亡率の比較
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/xf2hm.htm

Weekend versus Weekday Admission and Mortality
form Myocardial Infarction

W.J. Kostis and others

 背 景
  急性心筋梗塞の管理には迅速な診断と治療が
  求められるが,週の中で一様に行われていない可能性がある.
 方 法
  心筋梗塞データ入手システム
 (Myocardial Infarction Data Acquisition System)を用いて,
  初回の急性心筋梗塞のため週末に入院した患者と
  平日に入院した患者における死亡率の差を調査した.
  1987〜2002 年のニュージャージー州におけるこれらの
  入院例すべて(231,164 例)を組み入れ,
  4 年ごとの期間に区分した.
 結 果
  人口統計学的特徴,合併症,梗塞部位について,
  週末に入院した患者と平日に入院した患者のあいだで
  有意差は認められなかった.
  しかし,週末に入院した患者は侵襲的手技を受ける可能性が低く,
  とくに入院の 1 日目と 2 日目で低かった(P<0.001).
  1999〜2002 年の期間(入院 59,786 例)では,
  週末に入院した患者のほうが 30 日目の死亡率が
  有意に高かった(12.9% 対 12.0%,P=0.006).
  その有意差は入院の翌日に認められ(3.3% 対 2.7%,P<0.001),
  1 年後も持続した(死亡率における絶対差 1%).
  30 日目の死亡率は,人口統計学的特徴,合併症,梗塞部位で
  補正後も依然として有意差を示したが
 (ハザード比 1.048,95%信頼区間 [CI] 1.022〜1.076,P<0.001),
  侵襲的手技でさらに補正すると有意差はみられなくなった
  (ハザード比 1.023,95% CI 0.997〜1.049,P=0.09).
 結 論
  心筋梗塞患者では,週末の入院に伴い死亡率が上昇し,
  侵襲的手技の施行率が減少する.
  この知見は,週末に死亡率が高くなるのは
  侵襲的手技の低い施行率が原因の一部であることを示唆しており,
  週末における医療の利用機会を向上させることによって
  急性心筋梗塞患者の転帰を改善できると考えられる.
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あくまで理想論ですが
週末、休日、時間外にあらゆる疾患に対して
専門医がきちんと診察、治療にあたれば
病気の治療成績は劇的に改善するでしょう.

さらにいえば、一人の専門医だけではなく
複数の専門医が24時間、日本全国、都会でも田舎でも
対応可能であって、専門的な訓練を受けたスタッフが
いつも病院の中で即時対応ができる体制であれば
最高の医療ができると思います.

日本のいまの医療の現状では
これはあくまで理想論にすぎず
平日ですら、必要なスタッフや医師、専門医の体制を
つくることが困難だったりします.

脳卒中では、発症直後に迅速に診断し
適切な時期にTPAの投与を行えば
劇的な改善が得られることがわかっています.
しかし脳外科医も少なすぎ、忙しすぎ
24時間脳外科医が対応可能な病院も
やはり少ないのです.

急性心筋梗塞においても
発症直後に速やかな診断と
迅速なカテーテル治療、専門的な治療を行うことにより
危険な合併症を予防し死亡率をさげることができます.
脳卒中と同じく
急性心筋梗塞もまた24時間即時対応が必要なのですが
そういう救急体制を24時間維持することは
マンパワーとしても病院の体制としても
非常に大変なことであります.

東可児病院でも急性心筋梗塞、脳卒中、くも膜下出血に関しては
いつでも24時間対応可能なように
常勤の脳外科医、循環器科医がオンコールとして
待機する体制で臨んでいます.

とはいうものの、マンパワー不足のおり
個人のドクターのあまり強靭とはいえない
身体と精神力に毎日むちを打って
仕事を続けています.

同じ病気でありながら
平日では無事に救命されて助かったのに
休日に発症したばかりに
救命できず死亡してしまったというのは
この現代の日本のなかで
あまりにも悲しい現実です.

美しい国を作るためには
そこで暮らす市民が日本のどこにいても
24時間いつでも、健康に不安を持たずに
過ごすことができるのが必要だと思います.

今の日本の医療の現状を考えるに
まだまだ個人の医師、個人個人のスタッフの
超人的な頑張りに期待するしかなさそうです.

病気は時間を選ばないわけですから
休日休みのお役所的な対応では
立ち行かないと思うのですが....

脳外科医も循環器科医も
定年になるまで、まともな休みはなさそうですが
そんなわけで今日まで頑張ってきましたし
また明日からも仕事を続けていくつもりです.
by yangt3 | 2007-03-20 20:52 | ニュース