もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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脳外科手術ロボットの実用化

心臓手術、外科手術、脳外科手術など
技術的に困難な治療や手術は
ブラックジャックのように
医師の華麗なテクニックや技術に
支えられています.

繊細な技術を必要とするために
プロのスポーツ選手や大リーガーのように
年齢とともに技術の衰えや視力、体力の衰えなど
によって、現役でいられる時間や年数も
限られてしまいます.

様々な経験知は、年齢とともに
上昇しますが、体力の低下によって
いつか手術現場から離れざるを得ないのが現状です.

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医療現場では、最近
様々なIT機器の導入が進み
診療補助、治療補助の機器がたくさんあります.

診断面では、高性能なCT検査、高性能なMRI検査など
鮮明なコンピューター画像や3Dコンピューターグラフィックで
カテ室やオペ場で、術野で目にするであろう
複雑な解剖構造を、簡単に再現できるようになりました.

日進月歩の技術、IT機器の進歩により
どんどん細かい部分までわかるようになっています.

脳血管領域であれば、頭部MRIの進歩、頚動脈エコーの進歩により
脳血管障害の診断がより精彩に精密になっています.
MRによる脳血管アンギオでは
小さな無症候性の未破裂の脳動脈瘤をがみつかることもあります.

頚動脈エコー検査にあっては、近年
高脂血症、不安定プラーク、スタチン治療などの関係により
注目を集め、低侵襲で簡単にできることから
どんどん検査をされるようになっています.
循環器、心臓の病気においても
全身の動脈硬化を把握するために、頚動脈の評価は
とても受容です.

なんども記事にしてお伝えしているように
画像診断の進歩は、本当に目覚ましいものです.
私が医学部で勉強を始めた頃は
CT検査もMRI検査も、エコー検査も
今から思えば、はるかに見えにくい代物でしたが
それでも、CT以前、MR以前、エコー以前に比べれば
革命的な画像診断の進歩でした.

これまでのプロフェッショナルや、各専門化や
名人と呼ばれる人が、巧みの技として
身に付けてきたものが
各種の画像診断技術、IT技術、ロボット技術によって
少しずつ、万人のものになりつつあります.

脳外科手術においても
ロボット手術が実用化されようとしているそうです.

---------------ITmedia News 207.04.19
カナダで脳外科手術ロボットが近く実用化へ
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/19/news036.html

 カナダの研究者とエンジニアが4月17日、
 医師が脳の顕微手術をかつてない鮮明な映像を
 見ながら行える、繊細な操作感のロボットを
 開発したと発表した。

 脳外科手術にロケット科学を応用した成果である
 この「neuroArm」により、神経外科医は
 MRI(磁気共鳴映像装置)内の患者に、
 微細な神経を鮮明な3D映像で確認しながら
 リスクの高い施術を行える。

 neuroArmは今年夏にカルガリーの
 Foothills Hospitalで初めて手術に利用される
 見通しだ。同病院にはカルガリー大学医学部の
 研究施設が置かれている。

 neuroArmは、NASA(米国航空宇宙局)の
 スペースシャトルのロボットアーム
 「CanadArm」を開発した企業とカルガリー大学医学部の
 共同で総額2700万カナダドル
 (2400万ドル)で開発された。

 このロボットにより、医師は脳腫瘍などの疾患の治療に、
 人間の外科医が手先の器用さの問題で実践できない
 外科技術を適用できるようになると、
 カルガリー大学の神経外科医で同ロボットの
 開発プロジェクトの責任者を務める
 ガーネット・サザーランド氏は語った。

 neuroArmは、患者の手術は医師と
 看護士だけで行うものという従来の見方からの
 脱却を促す大きな前進だ、と同氏。

 「われわれは極めて密接な共同作業を展開してきた。
 今では、われわれの手術の際には大勢のエンジニアや
 研究者が手術室に入っている。彼らは神経外科手術の
 向上に一役買っている」とサザーランド氏は
 報道陣に語った。会見場では、手術用具が装備された
 neuroArmが同氏の後方で微細物を操作していた。

 neuroArmは、コックピットのような部屋から
 外科医がハンドルで操作する。手術中に患者の血管などの
 組織を圧迫しすぎないように、実際に患者の身体に
 触れているように感じながら操作できるようになっている。

 訓練と手術経験の蓄積により、外科医は手の動きを非常に
 しっかりとコントロールできるが、neuroArmには及ばない。
 neuroArmは余計な動作をしないように調整できるからだ。

 神経外科医は年齢とともに手の動きの安定感が
 低下せざるを得ないが、neuroArmを利用することで、
 現役でいられる年数が長くなるだろうと
 サザーランド氏は語った。

 外科医はステレオスコープで詳細な3D映像を
 チェックでき、近くのコンピュータ画面で
 大きなMRI画像も確認できる。
 手術設備のそばに取り付けられた
 マイクが拾うneuroArmの動作音を聞くこともできる。

 neuroArmがとらえる3D映像は、
 タッチスクリーンを操作して任意の向きに
 変えることができる。

 「このロボットの目標は、困難な手術をより簡単に、
 不可能な手術を可能にすることだ」と
 ロボットエンジニアのアレックス・グリア氏は
 操作デモの中で語った。
 (後略)
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脳神経外科の領域でも
このようなロボット手術が可能になってきたのですね.

個人的な訓練やカンや、手術経験などの
積み重ねで、長い時間をかけて
習得していた専門的な治療手技、手術手技を
こうした手術ロボットを用いることにより
専門的な手術も、経験、年齢に関連なく
一定の熟練性、専門性を保って
継続した医療サービスを提供できるということになります.

医師の現役としての時間をより長く保つことができ
医師不足のおり、こうした技術の進歩は
本当に歓迎すべきことかもしれません.

そうしていろいろな医療のレベルで
自動化、IT化、ロボット化が進んだとして
血液、画像診断で、かなりの病気の診断が可能になり
手術もロボット手術が進んだとしたら
人間である医師、医療スタッフの仕事は
かなり様変わりするかもしれません.

治療を受けるのは、やはり人間、
治療の責任を負うのは、やはり治療者である人間.
もしかしたら電子機器による精神分析、
精神の可視化も可能になるかもしれませんが
病める人を全人的に
癒し治すことのできるのは、やはり人の手だと思います.

電子機器もパソコンもオーダリング、電子カルテも
高性能医療機器も、ちょっとはすにかまえて
機械に使われないように.
あくまで主役は、人間だということを忘れずに.
by yangt3 | 2007-04-24 01:43 | ニュース