もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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これからの情報収集

医学部に入学が決まって喜びもつかの間
医学部新入生の入学説明会に出て
まず驚くのは、医学部の講義で使う
教科書がやたらと高価なことです.

医学部の講義に必須である解剖学の教科書は
知る人ぞ知る
グレイ解剖学 という大部の書物であり
購入させられたのは日本語ではなく英語で書かれた
原書でした.その当時で2万円ほどかかりました.

これからの情報収集_a0055913_0102230.gif


(けっこう、この本には、いろいろと恨みがあるせいか
 よく私のブログの記事に登場しますね.)

それ以外にも様々な基礎医学の教科書を
たくさん購入しなければならず
教科書代だけで軽く10万を超えてしまった
記憶があります.

それ以来、書籍に関する金銭感覚がおかしくなって
現在に至っています(笑)

高いお金を出して購入した原書の解剖学書ですが
持ち歩くだけで、かなりの体力を必要とする代物で
枕にするにはちょうどよいのですが
大きな本にびっしりと細かい英語の文字が
並んでいるのを眺めては
結局ほとんど目を通すことはありませんでした.

その後も、なんどか英語の原書や教科書に挑戦を
試みていますが、原書の敷居はかなり高く
実習や試験の前ともなれば、医学生の誰もが
英語の書を捨てて、われらの日本語で書かれた
容易な教科書を片手に勉強していたのでした.

もちろん医師国家試験の勉強もメインも
日本語の教科書でした(笑)




さて苦労の医学生時代をすぎて
無事に医師国家試験に合格し
いよいよ研修医としての仕事が始まりました.

現場に入って指導医にまずいわれたことは
日本語の本をすぐに捨てなさい!
ということでした.

確かにそれまで医学部学生時代に使っていた
日本語の内科学、外科学などの教科書には
おおまかなことは記載されているものの
いざ目の前の患者さんに対面して
具体的に何をしたら良いかは
書いてありませんでした.

その頃は、今のような適当なマニュアル本の
出版も少なく、英語版のワシントンマニュアルを
片手に研修を行っていました.

日本語で書かれた本のほうが
すぐに読むことができて要点もつかみやすいのですが
逆に英語版の教科書は、非常に実際的であったり
最新の情報が載っていたりして
我慢して使っていました.

現在に至っても医学の最新の情報は
やはり日本語よりも英語の文献に当たるほうが
より早くより確実に詳しく得ることができます.

Googleの検索においても、医学に関する英語圏の
情報検索のほうが情報量が多く豊富です.

医学の分野においても英語を使いこなすことが
英語でネット検索をすることが必須ということに
なっています.

これだけインターネットによる情報収集が
便利になっても、いや便利になったからこそ
英語を使いこなして専門的な情報を得ることが
重要になっているといえます.

医学の分野のみならず
様々な分野でもグローバル化に対応化するために
英語力が必要なようです.

------------IT+PLUS NIKKEI NET 2007.04.27
英語の「脳トレ」が足りない日本のゲーム産業
http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMITew000027042007
 (前略)
 ゲームについて日本語で読める専門書籍や資料は
 実際少ない。これは、ゲーム産業に進みたいと
 思う人にとって壁になっているし、
 現実に働いている人が新しい技術や手法を
 吸収するための壁にもなっている。

 ところが英語に範囲を広げれば、
 膨大な量の情報が手に入る。
 例えば、ゲーム開発者会議(GDC)の終了後、
 400以上の講演の資料が毎年70件以上も
 PDFで無料で公開される。
 また、ゲーム関係の書籍の出版ペースは
 ますます加速しており、年間50冊以上の書籍が
 出ている。そうでなくとも、インターネット上には
 無料で読むことができるゲーム開発者向けの専門情報が
 膨大にあり、さらに増殖が続いている。
 物理的に個人で読める量をはるかに超えるほどだ。
 今、多くの開発現場が抱えている問題は、
 専門的な情報をちょっと調べようと思っても、
 英文に当たらなければならないという現実だ。
 最新の3D関連の専門的な技術情報は、
 日本語では限りなくないに等しい。
 どこのゲーム会社も、チーム内に1人ぐらい
 英語に強い人がいて、かろうじてか細い情報を
 社内にもたらすハブ役を務めるというパターンが多い。
 きちんとした統計データが存在するわけではないが、
 現実に日本のゲーム開発者で英文の専門情報を
 読める人の数は決して多くはない。
 90年代までは、日本語だけで十分なんとかできた。
 しかし、今や定番的な重要書籍と考えられているものでも
 日本語化されていないものが数多い。
 数年遅れて、年に数冊程度が翻訳されるが、
 まだ翻訳書が出れば救われる方だ。
 翻訳には専門知識が求められるが、
 その割に部数という点であまり報われない。
 日本の出版社がゲーム分野の翻訳書に積極的に
 取り組むという気配はなく、山のように転がる
 英語圏の情報を横目に見ながら、
 そのギャップが年々広がっていることに
 茫漠たる不安を感じている。
 英語に慣れた開発現場の人材が増えれば、
 英語圏のこの膨大な開発リソースに
 アクセスできるようになり、ゲーム産業の競争力強化
 という点では、効果が大きいのではないかとよく考える。
 日本のゲーム開発の基礎体力は、
 今後じわじわと弱っていくだろう。
 経済に関して将来の予想が確実につく要因がある。
 「人口」である。他の産業と同じく、
 18歳以下人口の減少の影響は避けて通れない。
 (後略)
 (詳しくは、ぜひ記事をご覧ください)
---------------------------------------------------------------
この記事のゲーム業界を医療業界に置き換えてみれば
状況は同じだと思います.

今や膨大な医療情報がネット上に無料で
配布されていますが
ゲーム業界と同様に日本語化されていないものも多く
直接、英語で専門的なサイトで
原文にあたったほうが、より早く
より詳細な情報を得られるようになっています.

昔の医学生の頃の
分厚い原書のグレイ解剖学の悪夢に
また悩まされそうですが、専門的な仕事を続けていく以上
英語での情報収集は
いまや避けては通れないようです.

今回、新しい2005年ガイドラインに基づいた
心肺蘇生法の講習が始まりましたが
講習の基礎となる教科書は
英語で書かれたものが使われています.
心肺蘇生の講習をうける医療スタッフは
苦労しながら英語の教科書を読んで勉強しています.

最新の医療情報、最新の専門的情報に
日本語化や翻訳が間に合わないことが多いということで
改めて英語力の大切さを実感します.

各種学会でも英語での発表、英語でのスライド
抄録作成を必要とするところも増えてきました.
大きな学会では、英語で議論する場面も多いです.

先日 ICU Bookという本を購入しました.
集中治療に関する有名な教科書ですが
私は、この本の第2版の日本語版を所有していました.
今回、新しく第3版が出版されたのを機に
日本語の本は、ナースステーションに寄付し
ICU Bookの原書を購入しました.

これからの情報収集_a0055913_012031.gif


実際に目を通してみると
前の第2版に比べて、かなり書き直され
図表も多くなり、情報量は格段に増えていました.
新しい版の日本語版は、まだ出版されていません.

専門的な教科書や原書の場合は、
ハリソン内科学のように、有名な本であれば
原書が改訂されればすぐに日本語版も
出版されますが
ほとんどの場合は、教科書も原書で読むほうが
早いわけで、新しい情報にふれることができます.

私自身は、最新情報をするために
ネット上で有名医学雑誌のホームページを
定期的にチェックしています.
Lanset、NewEngland Journal of Medicne、JAMA、
BMJ、Natureなど、そして
Journal Watchなどをいつも見ています.

最近では、さまざまな医療情報や論文情報が
ポッドキャストで簡単に視聴することが可能になりました.
私の日頃の情報収集の様子と
ブログ活動をアップルのホームページで紹介されています
一度ご覧ください.

アップルーMedical
医師が活用するPodcastの可能性
最新ジャーナルの情報収集と動画コンテンツの配信
http://www.apple.com/jp/medical/shin/

これからの情報収集_a0055913_0153313.gif


パソコンと、iTunesとインターネット環境と
iPodがあれば、簡単にさまざまな最新医療情報や
論文、ジャーナルの情報収集ができます.

普段の医学情報収集のみならず
これからの医療の現場で
救急救命の現場で
世界標準、グローバルスタンダードということを
考える時、やはり基本になるのは、英語であり
英語で文献を読みこなすだけでなく
現場にあっても英語でコミュニケーションをとれるように
もっと英語力を磨かなければと思います.

とりあえず当面の目標として
この東可児第13同盟ブログの
英語バージョンを作ること
そして
とりあえず普段の日常の仕事で英語を勉強するために
カテ室内では、公用言語を英語にしようと考えています.

カテ室スタッフの皆さんよろしくお願いしますね.
by yangt3 | 2007-04-30 00:13 | コーヒーブレイク(雑談)