もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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忙しい、忙しい

世間では大型連休ということで
家族でキャンプに行くとか
ディズニーランドに出かけるとか
そんな話が聞こえてきます.

子供たちからは、どうしてうちは
連休なのにどこにもでかけないの?って
聞かれて、思わず涙が出てしまいます.

そう連休中には、2日も当直が入っていて
循環器のオンコール(呼び出し待機)を考えれば
どこにも出かけられません.

自分が忙しいのは、仕事なので
ある意味しょうがないとあきらめて頑張っています.

仕事で頑張っている世のお父さんたちは
みんな一緒だと思いますが
家族や子供たちが悲しい思いをするのが
一番つらいです.

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医師の場合は、研修医の頃から
仕事が忙しいのが当たり前でした.

特に若い頃は、どれだけ早く手技や手術を
覚えたかで、研修医仲間で
きそっているような所がありました.

ローテートしている科によっては
それほど忙しくもなく、呼び出しもなく
夕方5時に帰宅できたりしました.

そんな時には、外科や心臓外科などで
連日連夜の泊まり込みで病院に詰めている
他の仲間たちがかえって
羨ましく見えたものでした.

当然、研修医の指導医たる上級医師
中堅医師たちの自慢話も
いかに人より、長時間、たくさん働いているか
忙しくて家にほとんど帰っていない
なんてことを、けっこううれしそうに
研修医に話していたりしていました.

そんな環境で医師としての大事な時期を
過ごしてきたおかげで
働くことは苦痛に思わず
夜間呼び出しや緊急も喜んで働くという
考えになっていきました.

良き時代といえば聞こえはよいのですが
過労死という言葉さえ
医療の世界には、まだまだ
聞こえてこない時期でした.

新しい臨床研修制度が始まって
医療も専門化、細分化が進み
昔のように一人の医師、ドクターが
全てを完璧にこなすということは
困難になってきました.

だからこそ救命救急分野においても
救急救命士さんたちが誕生し
医師以外のスペシャリストがチームとなって
医療を行っていかなければならないと
いうことだと思います.

新しい2005年の心肺蘇生のガイドラインでも
心臓マッサージを行う場合
2分毎に交代するように
指示されています.
どんなに体力に自信があっても
一生懸命に心臓マッサージを行えば
疲労のために心臓マッサージの効果が
不十分になるからです.

この考えは医療全体にもいえることで
人間が医療を行う以上
医療スタッフの過労は当然考慮に
いれるべきです.

残念ながら今の医療の現状では
個人の医師やスタッフの疲労にまでは
十分な考慮や配慮がされているとは思えません.

マスコミによく登場する医師たちや
有名なニュース番組のキャスターでさえ
医師や医療者の自己犠牲精神が足らないなどと
単なる精神論に終始している
この国の現状では
まだまだこれから医療者の過労死は
増えていくのでしょう.

厳しい医療の現場で少ないマンパワーで
毎日毎日働いている医療スタッフに必要なものは
こうした精神論やみせかけの励ましではなく
もっと具体的な改善策であり
もっと具体的な人員の改善、制度の改善です.

まだまだ産婦人科の問題が大きくなる前の話ですが
以前勤めていた病院で
常勤の産婦人科医師が退職することになり
産婦人科の閉鎖の危機に追い込まれたことがあります.

産婦人科の専門医師が不在となるのだから
産婦人科診療は閉鎖するしかないという
医局の意見に対して
その時の院長が
みんな医師免許をもっているのだから
他科であっても気合いさえあれば
産婦人科を診れるはずだと
そんな発言をしたことがあります.

その言葉を聞いて、多くの研修医や
心ある産婦人科以外の他科の医師が
たくさん退職していったのはいうまでもありません.

今の現状も、この時とあまり変わりないかも
しれません.人員や十分な補給の整備の
具体的なプランも示されないままに
医療者だから、ただ頑張れと
いわれているだけだと思います.

医療の仕事を選んだ以上
私自身は、過労で仕事途中で倒れたとしても
それはしょうがないとあきらめています.

でも最初に書いたように
自分の家族や子供たちのことを思うと
いてもたってもいられない気持ちになります.

全国の忙しい現場で働いている医療者の
皆さんにも同様に、大切な家族や子供たちがいて
お互いに大切に思いあっているはずです.

それぞれの医師には
またその先生を頼りに思って
治療を受けている数多くの患者さんが
おられるのです.

一人の医師、医療スタッフの過労死の向こうには
多くの悲しみが存在します.
なんとか具体的な手段と方策をもって
この現状を打開したいものです.

先日、10年来のつき合いの患者さんが
長い闘病生活の上夭折されてしまいました.
その方の家族や、奥様や
子供さんの悲しみを思うと
本当にいても立ってもいられない気持ちです.

私は、これまでに最後を看取ってきた
患者さんたちのことを全て覚えているつもりです.
一人一人がみんな大切な人たちでした.

同じように若くして夭折された
わが師である古高先生と一緒に
多くの人たちが私の心の中にずっと
残っています.

この方々も私を支えてくれているのだと思っています.

大切な人を救えなかった悲しみとつらさに
落ち込んでいる時に
慰めとなった本があります.

  ささらさや
  加納 朋子 著

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 突然の事故で若くして夫は
 この世を去ってしまいました.
 幼子を抱えた妻であるサヤや、夫亡きあとに
 悲しみと苦労の日々を送ります.
 そこに亡き夫がゴーストとなって
 他人の姿を借りて
 残された妻と家族をそっと見守り
 暖かく助けていくというお話です.

大切な人を大事に思う気持ちと愛する気持ちを
忘れなければ
そして大切な人を失った人たちへの共感を
忘れなければ
もっと良くなるように
皆で考えていけるのではないでしょうか

私が最後を看取った人のことを
その人の全てと家族の思いも全て
これからもずっと忘れないでいるつもりです. 
by yangt3 | 2007-05-01 00:13 | 一般