もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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地方の民間病院における循環器の意味

私は2年前に春日井市内の総合病院から
この東可児病院に異動しました.

前職では、総合病院として心臓外科も併設され
日夜多くの循環器救急が搬送され
3次救急施設として地域のハートセンターとして
その一翼を担ってきました.
かなりの激務で、日祭日もなくあまり家にも
帰る事のできない日々でした.

現在勤めているこの東可児病院は
岐阜県可児市にある地方民間病院です.
2007年の今年の春に新病棟が完成し
病床数は増えましたが、まだまだ人材、マンパワーともに
不足しており、心臓外科もありません.

この病院でも相変わらず忙しい毎日を送りながら
地方民間病院における循環器科の意義を
考えています.

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世間では、医師不足、人材不足のために
大学への医師の引き上げなどがあり
循環器科の閉鎖、カテ室の閉鎖なども
あるようです.

この辺の事情は、脳外科、小児科、産婦人科なども
同様だと思います.

心臓病救急に携わるべき循環器科医師の
地方での不足.

脳血管障害救急に携わるべき脳神経外科医師の
地方での不足.

専門医が不在であれば、少し長い搬送時間をかけて
地方のセンター病院まで患者を搬送するか
もしくは
地域の病院の専門ではない当直医師が
救急の初期治療を行うことになります.

当然の事ながら、初期治療、初期診断に早期から
専門医師がかかわることで
その後の患者さんの予後、治療成績に
大きな差がでるのはやむを得ないことです.

専門外でも良心的な先生であれば
電話で専門医に確認しながら診療するなり
初期治療、初期診断をさっさと行って
迅速にセンター病院に搬送することになります.

私にはよくわからないから
様子を見てくださいと、いわれて
大切な時間を過ごしてしまい
症状が進行する例も残念ながらあります.

最近では、脳梗塞の超急性期において
発症後3時間以内に診断し、TPAと呼ばれる
血栓溶解療法を行うことが可能であれば
劇的な症状の改善が認められるように
なってきています.

これには症状発症後のすみやかな救急通報.
救急隊による迅速な搬送と
神経学的所見の確認.

そして受け入れ先の病院での脳神経外科専門医による
的確迅速な診断.
この全てがそろって初めて
迅速な脳梗塞の治療が可能になります.

急性心筋梗塞の症例でも同様です.
先日連休中に経験した症例もそうでした.

胸痛のために、とある病院の時間外診療を受診.
心電図、血液検査にて異常なしということで
内服治療にて帰宅.

その後も胸痛症状が持続し
症状発症してから数日経過してから
当院に救急受診されました.
当院の血液検査、心電図でも同様にさしたる異常は
認めなかったのですが、症状の経過などから
急性心筋梗塞と診断して
ただちに緊急心臓カテーテル検査を行いました.

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結果は左前下行枝の根元で100%の完全閉塞を認めました.
すぐに型通りにカテーテル治療、ステント植え込みの
治療を行い、無事に経過しました.

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もし当院の循環器科にかからず
そのまま自宅で経過をみているようなことがあれば
最悪の場合、自宅でショック状態、呼吸困難などに
陥ったり、不整脈、心室細動などが起こり
心肺停止に至った可能性もあります.

このような症例を
できるだけ早く、迅速に診断と治療が行えることが
地方の民間病院の循環器科の存在する
意味なのかなと感じています.

少ないマンパワーのため
あらゆる症例に対応することは、
スーパーマンでもない限りそれは不可能です.

田舎や地方である故に、急性心筋梗塞になっても
都会の大きな病院まででていかなければ
カテーテル治療が受けられないことがないように
すくなくとも急性心筋梗塞などの
救急疾患には、なんとか現場で、この東可児病院で
初期治療を行えるように
それが私たちがこの地で働く意義だと考えています.

当院に心臓外科が併設されていないため
心臓外科的治療が必要な症例は
全て県立多治見病院心臓外科に搬送しています.

救急疾患では、たとえば
急性下肢動脈閉塞症を2例が当院に救急搬送され
すぐに心臓外科に搬送し外科的治療で救命されました.

左主幹部病変(左冠動脈の根元)による急性心筋梗塞も
何例か当院に救急搬送されました.
当院で取り急ぎカテーテル治療を行い
閉塞した冠動脈の再潅流を施行し、
IABPでサポートした後に、
バイパス手術が必要な症例は迅速に心臓外科に搬送し
無事に救命しています.

救急搬送中に心室細動となり
救急車内でAED除細動を行った急性心筋梗塞の症例もありました.
一番最寄りの病院であった当院に搬送.
すぐにカテーテル治療を行い
閉塞した冠動脈にステント治療を行い
無事に社会復帰されています.

地方での民間病院での少ないマンパワーでの
循環器の仕事は、本当に激務で、時に投げ出しそうになります.
ご紹介したように
この地域でなんとか初期専門的治療を頑張っていくことで
心臓病救急の救命率の改善に
少しは貢献できているのではないかと思い
日々頑張っています.

大変ですが救急、専門的治療の
地域格差をなくすために、微力ながら
私たちの毎日働く意味があるのだと信じています.

日々お世話になります加茂救急隊の皆さん
そして県立多治見病院心臓外科宋先生には
この場を借りてお礼を申し上げます.

これからも皆さんよろしくお願いします.
by yangt3 | 2007-05-09 00:04 | 一般