もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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診療科の消滅

私が研修医の頃に胃カメラ、大腸ファイバーなど
消化器の分野を教わった上司の先生は
それはそれは素晴らしい先生でした.

いまから思えばカリスマってやつで
救急外来で暴れている患者さんも
その先生が一言、一喝するだけで
たちどころに大人しくなるというような
そんな先生でした.

患者にも優しく、研修医や下っ端にも優しく
ばかな質問にも、怒ることなく親身に教えてくれて
その先生が話をする時には
研修医一同、目を輝かせて聞き入ったものでした.

今どき、なかなかそんな先生に
そんな上司に巡り合うのは、難しいことです.

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その先生は消化器内科専門医として
仕事をされていたのですが
ことあるごとに
「私なんか、まだまだだめで
消化器をなのるのもおこがましい」といわれて
内科医として(すこぶる優秀な内科医)
仕事を続けられていました.

その一方で研修医時代には
専門をかさにきて、研修医につらくあたり
いざ専門分野の疾患や救急疾患に対して
まごまごして、研修医から
専門ばか、と陰口をたたかれている先生も
いたりしました.

結局のところ
本当の実力というものは、人間の魅力というものは
わざわざ自分で宣伝するまでもなく
自然に、その人となりに備わってくるというべきで
見る人が見れば
その人の素晴らしさがわかるというものです.

手塚治虫先生のブラックジャックの一篇にも
普段はうだつのあがらない先生が
いざという緊急時、非常時の時に
非常の力を発揮して難局を乗り切るという話が
あったことを覚えています.

心情的、そして理念としての考えですが
医者たるもの、医療者たるもの
専門外だからと、目の前の患者さんから
逃げてはいけないと、考えています.

もちろん実際には、医療法、医師法など
現実的なしばりがあり
個人の能力で、できる範囲で微力をつくすと
いうことですが.

いろいろな議論があるはずですが
厚生省が医療機関の診療科を再編し減らす方向で
検討に入ったそうです.

-------------NIKKEI NET
厚労省、診療科名の整理案・アレルギー科などなくす
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2007052109404h1

 厚生労働省は21日、医療機関が広告などで
 使える38の診療科名を26に整理し、
 新たに「総合科」などを加える案を、
 医道審議会診療科名標榜部会に提出した。
 同部会で今後検討する。
 同省案は診療科目を減らす一方で、
 「乳腺」「頭痛」「ペースメーカー」など、
 医療機関が得意とする分野を明記することも
 認めており、同省は「広告の規制緩和を進めるとともに、
 患者の利便性を高めることができる」と説明している。

 削減案の対象となったのは、アレルギー科、心療内科、
 心臓血管外科、呼吸器科など。
 アレルギーを専門とする場合は、
 「内科(アレルギー)」と表記することが可能という。
 ただ、患者団体や専門医から反発が出る可能性もある。

 また、新たに加えられる予定なのは、
 総合科、病理診断科(臨床検査科)、救急科。
 この日の部会で
 「病理診断科は直接患者を診療する科目ではない」
 「救急科と総合科の違いがあいまい」
 などの意見が出されており、今後さらに検討するという。
---------------------------------------------------------------------
建前の理由としては
現在の医療機関の標榜科目名に
一般的な診療科と専門性の高い診療科が
混在していて、受診する側、患者さんが
どの診療科にかかるべきか
わかりにくいという、ことがあげられています.

その心としては、総合科なるものが創設されて
医療崩壊、人材不足、医師不足への
ひとつの対応策にしようということです.

つまりは、総合科を新設することによって
(総合診療部との違いがわかりませんが)
軽症患者をまず総合科で診察し
大病院の混雑解消をはかろうという作戦です.
総合科の担い手としては
地域の開業医の先生や中小病院の医師を
あてにしているようです.

今回の試案によれば
内科では、現在の内科、循環器科、消化器科、呼吸器科
神経内科、アレルギー科、心療内科は
一括統廃合されて、ただ「内科」のみになってしまいます.

試案によれば従来の循環器科は、内科(循環器)となります.
呼吸器は、内科(呼吸器)
消化器は、内科(消化器)という風です.

現場で、毎日の診療と当直に追われている
医師としての目からみると
今回の 診療科の再編は、あまり賛成はできません.

診療科の統廃合によって、過疎地や地域
非都市部では、いっそうの専門分野の医師の不足を
招く恐れがあると考えます.

当たり前のことですが、24時間、週末でも祝日でも
急性心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中など
緊急性の高い3次救急疾患においては
早期から専門医が診療、検査、治療にかかわることによって
予後の改善、高い救命率などが確認されています.

医療費削減の名の元に
総合科という錦の御旗で
地域のスペシャリストを減らしていくような
そんなばかなまねだけは、なんとか防がなければならないと
思います.

地域で救急や毎日の仕事に追われる日々にあって
医療や福祉を切り捨てるのではなく
目先だけの診療科の再編ではなく
必要な時に、必要な専門医に、どこにいても
24時間、きちんとアクセスできるような
そのようなシステムを構築することが
本当に大切なことではないでしょうか.

医療費の問題、保険制度の問題などは
私たち医療者にとっても切実な問題であります.

医療のクォリティを下げることなく
なんとか理想の地域医療システムをつくれないかと
毎日、それを考えています.

一部の大学病院では
病院の窓口を一元化する動きもでているそうです.

-----------日経ネット関西版
病院窓口を一元化、患者便利に──阪大や京大、動き広がる
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/40045.html

 関西の病院で窓口を一元化して
 患者がかかりやすい診療体制をつくる
 動きが広がっている。
 大阪大学付属病院は7月をめどに
 心臓病を内科・外科の枠を超えて治療する
 ハートセンターを開設する。
 京都大学付属病院もがん患者を
 各診療科の横断チームで治療する
 仕組みを導入し始めた。
 法人化で大学病院にも
 経営感覚が強く求められているのに対応し、
 患者本位の診療体制を目指す。

 阪大は循環器内科と心臓血管外科を
 専門とする医師が協力して治療にあたる
 ハートセンターの患者受け入れを
 7月から始める。
 循環器内科や心臓血管外科など
 既存の組織は残すが、
 患者の診療窓口はハートセンターに
 一本化する。治療方針も
 内科と外科で協議して決める。

 たとえば通常は開腹手術が必要な
 大動脈瘤(りゅう)患者に対して、
 外科と内科の中間的な治療法で
 入院日数を大幅に短縮できる
 最新治療法「ステンドグラフト」を
 普及させるなどの取り組みを進める。
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ハートセンターの開設は、これまでも
多くの病院で作られてきたので
あまり目新しい感じはありません.

ハートセンターにとどまらず
互いの専門分野や既存の組織に捕われず
患者の治療の観点から
新しい組織や医療チームを作るという
アイデアは、これから生かしていくべきかもしれません.

地域や一つの病院、医局や出身を超えて
それぞれのスペシャリストが
必要な時に最高の医療チームを作る
そんな夢のような医療システムが
いつかできるのでしょうか.

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by yangt3 | 2007-05-22 22:39 | ニュース