もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

眠れない夜

最近、当直明けの次の日に
くたくたになって疲れ切った夜に
病院からの呼び出しの電話がなるという
そんなジンクスが定着しています.

先日もそんなわけで当直明けで
疲れて仮眠を取っているところに
病院からの電話が鳴りました.

急性心不全で起座呼吸となり
酸素投与によっても状態が改善しないとのこと.
取るものも取りあえず
すぐに病院にとって帰って
夜勤の看護スタッフとともに
救急処置を行いました.

循環器科医師にとって
平和な夜はあまりないみたいです.

a0055913_23353479.gif





胸部レントゲンでは著明は両側の
肺うっ血所見と心拡大があり
呼吸促迫と起座呼吸があり
みるからに苦しそうな息遣いでした.
すでに高濃度の酸素が投与され
利尿剤も投与されていましたが
効果は今一つのようでした.

結局、CPAPマスクによる呼吸管理と
心血管作動薬を種々に用いて
なんとか急場をしのぐことができました.

循環器疾患は、状態が瞬時に増悪、急変することも
多く、あらゆる事態に即時対応できる体制が
必要です.
気管挿管、人工呼吸、AED、
緊急カテーテルへの対応、IABPなどの心臓補助装置など
の使用などなど、現時点で院内で利用可能な
最大限の救命努力、救命処置を行えるように
それぞれのスタッフが意を尽くす必要があります.

幸いにこの日の夜は
BLSの講習もすませカテチームの一員でもある
若手スタッフが夜勤でした.

一言の指示であっという間にスタッフが動き
あっという間に、CPAPマスクの治療が開始され
かなり短時間で
患者さんの苦痛を取り除くことができたと思います.

さらにいえば
この患者さんは、循環器のない他の病院に通院中であったのですが
急性心不全ということで
循環器救急に対応可能な当院に
すぐに救急隊が搬送してくれたということも
即時対応が可能な一因であったと思います.

循環器疾患の急性期においては
10分、30分の搬送の遅れ、治療の遅れが
たとえば心室細動や心肺停止などの
致命的な状態に急変することに
繋がることある、ということを
肝に銘じるべきです.

そういう意味からも病院前治療(プレホスピタルケア)と
病院搬送後の救急処置が
滞ることなくシームレスに、迅速に繋がることが
救命の第一歩です.

----------The New England Journal of Medicine
院外発生の呼吸窮迫症に対する二次救命処置
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/xf2hm.htm

 背 景
  呼吸窮迫症は,救急医療(EMS)隊員により
  病院へ搬送される患者でよくみられる症状の
  1 つである.このような患者に対する
  二次救命処置の有用性は十分に確立していない.
 方 法
  オンタリオ・プレホスピタル二次救命処置
 (Ontario Prehospital Advanced Life Support;
  OPALS)研究は,15 の都市で,院外発生の
  呼吸窮迫症患者に対して二次救命処置を行う
  プログラムの施行前後に行われた比較臨床試験である.
  救急救命士は,気管内挿管や静脈内投与薬の投与など,
  標準的な二次救命処置について訓練を受けた.
 結 果
  第 1 期,第 2 期の患者 8,138 例の臨床的特徴に
  差はみられなかった.第 1 期に,二次救命処置の
  訓練を受けた救急救命士から処置を受けた患者はいなかった.
  第 2 期には,患者の 56.6%が二次救命処置を受けた.
  第 2 期において,気管内挿管は患者の 1.4%で施行され,
  静脈内投与薬は患者の 15.0%に投与された.
  第 2 期の特徴として,症状緩和のためのサルブタモールの
  噴霧投与とニトログリセリンの舌下投与がかなり多かった.
  全患者における死亡率は,一次救命処置のみを行った期間から
  二次救命処置を行った期間にかけて,
  14.3%から 12.4%
 (絶対差 1.9%,95%信頼区間 [CI] 0.4〜3.4,P=0.01)へと
  顕著に低下した(補正オッズ比 1.3,95% CI 1.1〜1.5).
 結 論
  院外で行う二次救命処置介入における特殊なレジメンを,
  一次救命処置を行う現行の EMS システムに加えることで,
  呼吸窮迫症患者の死亡率が 1.9 パーセントポイント低下した.
----------------------------------------------------------------
この論文をみれば
ますます救急疾患に対しては
できるだけ迅速に、早期から二次救命処置が
生命予後の改善につながるということがわかります.

さまざまな法的な問題を乗り越えて
できるだけ早く、病院前処置として
高次救命処置を行う体制を作っていきたいと思います.

誰が行うかではなく
いかに早く救命処置を行うかにこそ
意を尽くすべき時期だと思います.

a0055913_23355837.gif

by yangt3 | 2007-05-24 23:27 | 一般