もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

ミニ回診の勧め

循環器科医師として毎日
心臓病、狭心症、心筋梗塞、弁膜症
不整脈、頻脈、徐脈、大動脈瘤などなど
緊急性の高い疾患を担当しています.

故 古高先生が日々実践され
私にも強く指導されたことは
どんな忙しくても、受け持ち患者のもとには
必ず毎日顔を出す事、そしてできれば
朝の定時の回診、夕刻に帰宅する前に
もう一度、受け持ち患者の様子を見に行く事などです.

古高先生の弟子たる私、そして内科の浦先生は
ずっと昔から、この教えを忠実に守っています.

心臓カテーテル検査・治療の日は
一段落すると、もうすでに夜になってしまいますが
カテーテル後の術後の指示出しのため
病棟に出かけた際には、
受け持ち患者の元にも、今一度 顔を出すようにしています.

a0055913_010556.jpg





この「ミニ回診」については
アメリカの病院医療協会(SHM)の年次総会
Hospital Medicine 2007 で発表されています.

 医師と患者のコミュニケーションは
 質の高いケアを提供するうえできわめて重要である.
 医療訴訟の多くは、たいがい医療従事者と患者との
 コミュニケーション不足に原因があると考えられる.
 医師は常に初めて会う患者とのコミュニケーションに直面し、
 タイミングよく患者の信頼を得て親密な関係を築き、
 ハイレベルな医療の提供を行い
 円滑に病棟治療を行い、外来治療への
 スムースな引継ぎを行っていく必要があります.

 今回、クリーブランドクリニックの研究者らは
 入院患者のコミュニケーションを改善する
 補助手段としてミニ回診の可能性を調べた.

 「ミニ回診とは短時間の回診(1回約1分)を
 繰り返し行うことである.
 この間、医師は患者に体調に変化がないか聞き、
 その日の検査結果や予定などを話した」
 「ミニ回診は定期回診に加えて実施した」

 急性期入院患者病棟のミニ回診は平日業務の最後に、
 亜急性期の重症患者を治療する施設では
 1日の始めに実施した.
 26名の病棟担当医から2名をミニ回診の担当に割り当て、
 最後にその成果を同僚らと比較した.
 定期回診は両病棟で別々に実施した。

 入院患者病棟ではミニ回診で15人を見回るのに
 平均20分、亜急性期患者の治療施設では
 30人を見回るのに平均30分かかった.

 2カ月間の試行期間終了時、病棟の医療従事者が
 ミニ回診した患者の満足度スコアは
 他の病棟の医療従事者が巡回した患者の満足度より
 有意に高かった.
 患者、医師ともにミニ回診により
 コミュニケーションと患者ケアが良くなったと感じた.

 外来患者診療をやりながら入院患者をみなければならない
 プライマリケアの医師のかわりに
 病棟専従医師が患者に近い存在になることによって、
 患者満足度が向上する」と
 クリーブランドクリニック病院医療部長
 Franklin Michota, Jr., MDは語っている.
 「病棟の医療従事者はさまざまな業務に追われて
 パンク寸前の状態にあり、毎日ベッドサイド業務に
 十分な時間を割くことができない.
 ミニ回診は、時間効率のよい方法で患者を
 満足させることがコンセプトのようだ」

「医師は働き過ぎでギリギリの状態にある.
 この問題は深刻さを増しているが、
 迅速なミニ回診によって、医師が患者のすぐ側にいる
 ということを患者に安心感を与えることができる.
 また、医師はその日のうちに対処しておかなければならない
 疑問や心配を聞くことができる.
 いずれにせよ、1日2回以上の回診は
 病棟の医療従事者が当然やるべきことだろう」
--------------------------------------------------------------------------------
私たちが日々実践し
故 古高先生の教えが理にかなったものであることを
この研究が実証してくれたようです.

私も同僚の浦先生も
気になる患者さんが入院していれば日曜日も祝日も
患者の顔を見に出かけるようにしています.

外来や日々の検査、カテーテルなどの追われる
平日と違い、緊急のない
日曜日、祝日のボランティア回診は
時間もゆっくりととる事ができて
患者さんとじっくりと話しをすることができます.

面会の家族の方も来ていらっしゃれば
じっくりと病気の説明もすることも可能です.

このミニ回診の方法は
医師に限らず、あらゆる病院スタッフが
参考にするべき良き方法であると感じます.

同じく時間に追われる病棟看護師も
少ない時間でもなんども患者の’元に足を運ぶ事により
よりよきコミ二ケーションを築く事ができると思います.

さらに話を大きくするのであれば
緊密なコミニケーションの構築のための、このミニ回診は
病院スタッフ間、病院外のスタッフとの連携にも必要だと思います.

月に一回、週に一回程度のカンファレンスだけでは
やはり不十分です.(それでもやらないよりはましですが)

暇があれば、とにかく顔をみせて
すこしでも話をする.
細かく連絡を取る.
メールをする、電話をする.手紙を書く.
人づてでも、言付けを頼むなどなど.

結局の所、コミニケーションの構築には王道はなく
毎日、毎日の積み重ねであるということだと思います.

「急速は事を破り 寧耐は事を成す」西郷隆盛

忙しさにかまけて
本当に大事な、人の心の深い部分の
繊細な感情をきちんと身体で受け止めてあげられるように
苦痛や苦しみや、病気への不安を
受け止めてあげられるように
あわてず、さわがず
医療スタッフの誇りをもって
皆さん頑張りましょう.
by yangt3 | 2007-06-07 00:04 | 一般