もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

アメリカでは心臓突然死が減少している!

最近、緊急の心臓カテーテル検査・治療が
増えています.
予定の検査・治療に比べて

突然の胸痛や胸部不快、動悸のために
病院に飛び込みで来られる方が
増えています.

緊急でこうした心臓の治療を行う事は
それなりにリスクを伴う事もあり
ましてや急性心筋梗塞となれば
病院への受診の遅れ、治療開始の遅れが
重大な結果を招く事にもまります.

できるだけ症状が軽いうちに
予防的に治療することが理想的です.

それがひいては、悲しくてつらい
心臓突然死を予防することにもなると思います.

a0055913_18595396.gif





アメリカでは
冠動脈性心疾患、狭心症、急性心筋梗塞による
死亡率は大幅に減少しているそうです.

この件についての研究成果が
発表されていました.

------------New England Journal of Medicine
米国における 1980〜2000 年の冠動脈性疾患による
死亡率低下の要因
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/xf2hm.htm

・背 景
 米国において,冠動脈性心疾患による死亡率は
 ここ数十年のあいだに大幅に低下している.
 この低下のうちどの程度が薬物療法や
 外科的治療によって説明できるのかを,
 心血管危険因子の変化と比較して検討した.
・方 法
 1980〜2000 年の米国の成人(25〜84 歳)における,
 心疾患に特異的な治療の利用と効果,および
 危険因子の変化に関するデータに,
 妥当性が確認されている統計学的モデル IMPACT を
 適用した.2000 年の冠動脈性心疾患による
 観察死亡数と期待死亡数の差を,解析に含まれる
 治療法および危険因子に分配した.
・結 果
 1980〜2000 年にかけて,冠動脈性心疾患による
 年齢調整死亡率は,
 男性では 10 万人当り 542.9 から 266.8 に,
 女性では 10 万人当り 263.3 から 134.4 に低下し,
 2000 年には冠動脈性心疾患による死亡は
 341,745 例少ない結果となった.
 これらの低下の約 47%は治療,すなわち
 心筋梗塞や血行再建術後の二次予防治療(11%),
 急性心筋梗塞や不安定狭心症の初回治療(10%),
 心不全治療(9%),慢性狭心症に対する血行再建術(5%),
 その他の治療(12%)などに起因していた.
 約 44%は危険因子の変化,すなわち
 総コレステロール値の低下(24%),収縮期血圧の低下(20%),
 喫煙率の低下(12%),運動不足の低減(5%)などに
 起因していたが,これらの低下は,体格指数や
 糖尿病有病率の上昇によって部分的に相殺された.
 この 2 つの因子は死亡数増加の原因であった
 (それぞれ 8%,10%).
・結 論
 米国における 1980〜2000 年の冠動脈性心疾患による
 死亡率低下のうち,約半分は主要な危険因子の減少に起因し,
 約半分はエビデンスに基づく医学的治療に起因すると
 考えられる.
--------------------------------------------------------------------------
循環器の現場で毎日
緊急の仕事に追われている私の目から見ると
心臓病、脳卒中は、減少しているような気はしません.

むしろ、疾患の数は増強していると感じますし
さらに心臓病、脳卒中疾患の発症は
若い方にも発症しています.

これだけ世間やマスコミでメタボリック症候群など
健康への関心が高まる中
心血管疾患が増えているというのは
いかがなものでしょうか.

記事にあるように心臓病、冠動脈疾患、脳卒中のリスクとしては
・高血圧
・高脂血症(脂質異常)
・喫煙習慣
・糖尿病
・肥満
・運動不足 などです.

それぞれの危険因子をしっかりと治療、管理することにより
心臓病のリスクが減少することは、すでに
明らかなことです.
記事にあるように、アメリカではすでに
こうした冠動脈危険因子の管理、予防、2自治療、健康管理を
きちんと管理をして
心筋梗塞を減らしているわけです.

日本でも、うわべだけのまね事をするのではなく
こうしたアメリカのきちんとした予防的治療の取り組みを
真剣に取り入れていくべきだと思います.


ここまで記事を準備していたところ
2日連続で、この土曜日にも急性心筋梗塞が来院され
緊急心臓カテーテル治療となりました.

共通するのは、年齢が54歳から66歳まで.
糖尿病、高脂血症、喫煙のいずれかの
危険因子があること.

そして症状は、胸痛だけではなく
しんどい、気分が悪い、風邪症状
胃腸症状など、あまり典型的ではない症状でした.

普段健診をきちんと受けているとしても
狭心症、心筋梗塞の予防のためには
少なくとも危険因子をもつ方々は
心臓専門医、循環器医師に
診療を受ける事が
とても大切なことだと思います.

本当は、この土曜日は名古屋で
東海インターベンションという循環器の
研究会に出席する予定でしたが
緊急カテのために、終日カテ室と病院に
こもっていました.
当院の誇るべきカテ室スタッフも土曜日だというのに
すぐに駆けつけてくれて、本当に
頼もしい限りです.

急性心筋梗塞の状態でカテーテル治療を
行うのは、それなりにリスクを伴う事です.
できれば、症状の軽いうちに
一泊二日で、ばしっ!と治すほうが
身体の負担も少ないと思います.

お気軽に循環器の診療を受けましょう.

a0055913_1902651.gif

by yangt3 | 2007-06-09 18:52 | ニュース