もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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仕事は小さな工夫から

重症の狭心症や急性心筋梗塞が
救急で搬送されると、すぐにカテ室に運び
カテーテル治療が可能であれば
すぐに治療に取りかかります.

心原性ショック状態であれば、心臓サポートのために
IABPをすぐに装着します.

重症の3枝病変や、左冠動脈の根元(左主幹部)の
閉塞による急性心筋梗塞においては
緊急バイパスが必要となる場合もあり
当院で必要な処置を行った後
近くの心臓外科施設に再度救急搬送することになります.

重症心臓疾患の患者の搬送にあっては
様々な点滴ラインに加えて、カテコラミンなどの昇圧剤を
投与するための微量ポンプが何台も繋がれ
さらには、IABPも装着され、搬送もかなり大変なことになります.

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現状では、重症患者の搬送にあっても、通常の救急車を
使用することになり、こうした多くの医療危機を装着した患者の
搬送には、かなり手狭な印象があります.

搬送する患者さんだけでなく、医師、MEが緊急対応のために
同乗し、さらには、救急隊員、救急救命士も同乗し
救急車内は、本当に手狭になります.

例えば、微量点滴ポンプを固定するための器具も
救急車内では、不足しており、それぞれに工夫することになります.

重症患者の心臓サポートに必要なIABPも
昔に比べればかなり小型になったといえ
救急車内に積み込むと、かなり大変です.

搬送中の揺れる車内では、このIABPを固定するための特別な
装置はなく、同乗したMEさんが、人力で搬送先の病院に
到着するまで、支え続ける事に成ります.
これもある意味体力勝負です.

スタッフもそろい、広いスペースがあって
たいていの薬剤も機械もそろっている
病院の救急処置室と違い
スペースも人員も限られた救急車内では、
もし心室細動や心肺停止などの緊急事態が発症した場合には
かなりの修羅場になることになります.

患者さんの救命のため、少しでも安全に確実に
迅速に救命処置を行うために、
個々の救急スタッフの小さな工夫が必要になりそうです.

----------------YOMIURI ONLINE 2007.06.30
救急機器を開発した福岡・城南消防署員に最優秀賞
http://kyushu.yomiuri.co.jp/local/040/040_070630.htm

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 福岡市消防局・城南消防署副士長、樋口舞衣さん(27)が、
 搬送する患者の点滴用の針やテープを入れ、
 救急車内でも固定しやすいトレーを開発し、
 全国の消防職員が自ら企画した作品を応募する
 「消防機器の改良・開発及び消防に関する論文」で
 トップの最優秀賞を受賞した。
 市消防局は実用化に向けて検討を始めており、
 全国の救急現場を支えるヒット作に育つ可能性も出てきた。

 救急車内では、患者に応急措置を施す際、
 薬剤投与のための針やテープなどを入れるトレーや、
 使用した針を捨てるボトルが固定されておらず、
 病院に急ぐ不安定な車内では転倒しやすいなど、
 使い勝手が悪かった。過去、トレーがひっくり返って
 隊員の体に針が刺さる事故も起きたことがあるという。

 樋口さんは、救急車での救急活動をしていた約2年前、
 同僚からそんな悩みを聞き、開発を決意。

 まず、30センチ四方の板に、薬剤などの備品入れと、
 廃棄する針の入れ物などをこしらえ、板の一部を、
 横たわる患者の体とストレッチャーの間に挟むことを思い付いた。
 救急隊員に協力してもらい、段ボールで作った試作品で使ってみたところ、
 予想以上にしっかりと固定され、使いやすかったという。

 全国の消防職員から応募された160作品の中から選ばれた。
 樋口さんは「低コストも意識して作った。
 狭く雑然とした救急車内でも、隊員が身の回りの機器を使いやすくなるのでは。
 救命率の向上につながればうれしい」と喜んでいた。
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実際に、AEDや高度な救命処置、心肺蘇生、高度な医療行為を
可能とするために、従来の救急車と違い
様々な医療危機を搭載し、かつ広いスペースを装備した救急車が
高規格救急車と呼ばれ、各地域の消防署に配備されています.

重症の心臓病の患者の搬送のためには
ぜひとも必要な救急車両でありますが
まだ数が十分とは言えない印象です.

さらには、地域の循環器救急病院の医師として
たびたび心臓外科施設に重症患者を搬送している経験のある
私としては、いくつか救急車の装備に注文があります.

思いつくまま列挙します.

・心電図も通常の診断に必要な12誘導心電図が記録できること
 この12誘導心電図を伝送できる装備があること

・様々な微量点滴シリンジや輸液ポンプを救急車内で
 きちんと固定できる装備があること

・IABPや、PCPS(経皮的人工心肺)装置などの
 高度な心臓補助装置をきちんと固定できる装備と十分な
 スペースがあること

・当然、人工呼吸器も同乗可能であること.
などなどです.

まあこうしてリクエストを上げてみると
巷で話題の、ドクターヘリとか、空飛ぶ救急室と同様の
装備ということになりますね.

高度な機械や医療機器の導入には
どうしても予算の問題があり全てをすぐにそろえるのは
なかなか難しいものがあります.

それまでは、現場スタッフの創意工夫と
少しでもよい救急活動、救命処置を行おうという
モチベーションをもって、皆で一致団結して
工夫を重ねて行きましょう.

東濃地区、可茂地区でも
こうした地域限定の創意工夫の会があっても
良いかも知れませんね.

ちなみに循環器のカテーテル治療も、
本当に細かな仕事であり、毎日毎日が
小さな工夫の積み重ねになっています.

皆の知恵と勇気と工夫を
やがて大きな流れにしたいものです.
by yangt3 | 2007-07-01 00:06 | ニュース