もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

脳梗塞後の高齢者では再入院率が高い

最近のカテーテル治療の進歩により
急性心筋梗塞、重症狭心症に対しても
バイパス手術を行う事なく、内科的治療のみで
完治する症例が増えてきました.

ただ狭心症、急性心筋梗塞の誘発因子となる
糖尿病、高脂血症、喫煙、高血圧などは
同時に脳卒中の危険因子でもあります.

カテーテル治療によって無事に心臓病から生還したとしても
これらの危険因子を治療し、ライフスタイルの
改善を図らなければ、狭心症の再発のみならず
脳卒中を合併するおそれもあります.

軽症の脳梗塞であればともかく
中等度以上の脳梗塞であれば、生命の危険にさらされるばかりでなく
無事に急性期を乗り切ったとしても
大変な脳梗塞後遺症が残される事になります.

真剣にこうした血管の健康を考えていく必要がありそうです.

a0055913_02635.gif





心臓病と同様に、脳卒中も発症から迅速な病院受診、治療開始が
必要です.
---------Bravata DM, et al. Stroke 2007; 38: 1899-1904.
急性脳梗塞後の高齢者では肺炎や呼吸器疾患による
再入院率が高い

 急性脳梗塞で入院し,退院した高齢者が
 再入院する理由としては
 肺炎や呼吸器疾患が脳梗塞の再発を上回っていると,
 米国のVA Connecticut Healthcare Systemのグループが
 Strokeの 6 月号に発表した。

 1995年にコネティカット州の急性期病院に急性脳梗塞で入院し,
 退院した65歳以上のメディケア受給者2,603人を 5 年間追跡した。
 半数以上の1,388人(53.3%)が
 退院後 1 年以内に死亡するか,最低 1 回は再入院していた。
 退院後 5 年間,入院することなく生存していた人は
 372人(14.3%)と非常に少なかった。
 再入院の理由はさまざまだったが,
 やはり脳梗塞の再発による再入院率は高く(年間3.9〜6.1%),
 急性心筋梗塞による再入院率もほぼ同等だった(同4.2〜6.0%)。
 しかし,再入院と関係する診断カテゴリーとして
 最も多かったのは肺炎または呼吸器疾患で,
 5 年間の年間再入院率は8.2%と9.0%だった。
 同グループは「脳梗塞後の合併症による
 公衆衛生上の負担を軽減するには,
 血管イベントの再発予防以外にも介入の余地がある」と指摘している。
----------------------------------------------------------------------
急性心筋梗塞で緊急入院となった場合
ただちに緊急で心臓カテーテル検査が行われます.
引き続き、必要におうじて
カテーテル治療が行われます.

通常は、閉塞した冠動脈に対して
薬剤溶出ステントの植え込み治療が行われます.

心原性ショックとなって人工呼吸治療や
IABPなどの機械的心臓サポートを必要とする状態でなければ
かなりの急性心筋梗塞に対して
来院当日の迅速なカテーテル治療によって
無事に軽快することが可能です.

心臓病の発症は
血管の健康の危機ととらえるべきです.
つまりは心臓病の回復と治療に合わせて同時に
他の血管疾患のスクリーニング、診断、治療をも同時に
開始していく必要があります.

具体的には、やはり脳卒中の予防が大切なことです.
心臓病の通常の定期検査だけでなく
脳卒中の診断と予防のために
・頭部MRI検査
・頚動脈エコー検査
なども必要になります.

血管の病気は、つまりは全身の病気と考えるべきであり
脳卒中の予防だけでなく
末梢血管疾患の予防、治療も必要です.
・ABI検査
・末梢血管エコー
などもできれば検査を受けて
末梢血管の動脈硬化状態を調べる事も大切です.

脳卒中後遺症のために
リハビリに通院されている方を多く見かけますが
以外に主治医を決めずに過ごされている方も
多いようです.

記事にあるように
脳卒中急性期がすぎたあとの療養が大切だと思われます.
肺炎の予防、呼吸器疾患の管理
冠動脈疾患、心臓病の診断と治療などを
もっともっと積極的に受けていただきたいと思います.

結局、急性心筋梗塞、狭心症などの心臓疾患の治療を
突き詰めていくと
心臓にとどまらず、全身の血管の治療に
向かわざるを得ません.

そんなわけで私の外来では、心臓病の患者さんにも積極的に
頭部MR検査、頚動脈エコー検査、ABIなど
全身の血管の検査をお勧めしています.

大切な身体を守るために、心臓だけでなく
脳卒中を予防し、血管を守り、肺炎も予防して
健康的な生活を送るために
循環器科医師としても
できるだけ総合的な診療、全人的な診療を
心がけていきたいと考えています.
by yangt3 | 2007-07-15 00:02 | ニュース