もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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組織のウソを見破る為に

売り家と唐様で書く三代目という言葉があるように
民間の同族企業では、その三代目あたりで
組織の危機が訪れるといわれます.

今後、様々な場面で民営化が進む中
いわゆる三代目の危機ということは
ちょっと考えてみる必要がありそうです.

「まずい!!」学—組織はこうしてウソをつく
祥伝社新書

組織のウソを見破る為に_a0055913_025368.gif


樋口 晴彦  著

いわゆる失敗学の書であり
組織のリスクを防ぐ為に、組織につぶされない
智慧がつまった本です.




この書の一部を引用して紹介します.

記事は
第二節 同族企業が直面する「三代目の危機」
 〜パロマ湯沸かし器事故・その二〜
   28P〜
から一部を引用させていただきました.

同族経営企業の直面する三代目危機については
次のように述べられています.

  経営者が周囲をイエスマンで固めて
  独善的になるという現象は
  同族経営に限った話ではない.
  株式を一般公開している上場企業でも、
  いわゆるサラリーマン経営者が有能な部下
  (=自分の地位を脅かす存在)
  を悉く排除して独裁体制を作り上げ、
  社長・会長と何年にもわたって会社を支配し、
  代表権を返上した後も、
  特別顧問などの何がたきで闇将軍として君臨している
  ケースは決して少なくない.

たしかにこのような現象は、よく耳にする事です.

  そもそも同族会社の経営者は、
  側でみているほど気楽な稼業ではない.
  経営に失敗して会社を潰してしまえば、
  個人補償の担保に入れていた家屋敷などの財産の全てを
  手放す事になる.
  そのリスクは並大抵ではなく、まさに会社と運命を
  共にしている.
  だからこそ、事業に取り組む真剣さは従業員とは比較にならず、
  ほとんどの同族会社は、トップの日夜を分かたぬ献身によって
  経営が成り立っていると言ってよい.

いまや世界的となった日本の有名企業も
創立者は、本当に大変な努力と苦労を重ねたと思います.

民間病院でも、院長が経営者と理事長をかねて
組織の命運を担っているわけで
同じような苦労をされているわけです.

  絶対君主である経営者は
  同族企業にとって最大の武器であると同時に
  最大の弱点でもあるのだ.

  零細な家業を大企業に発展させた初代は
  まさに傑物である.
  優れた才覚と並外れた努力が必要なことは勿論だが、
  それだけでここまでいくものではない.
  様々な偶然をプラスに変えてしまう「運」と
  会社の成長につれて集まってきた様々な人材を従わせる
  「カリスマ」を持つ事が不可欠である.
  一代で大企業を興す人物には、やはり
  そのような摩訶不思議な要素が備わっている.

マスコミなどで、いろいろなカリスマが
取り上げられて話題になったりしますが
本当のカリスマというのは、一時の話題だけではなくて
こうした要素が不可欠ということだと思います.
運とカリスマ性を持った指導者を持った組織は
古今の歴史をみても、当然強くなるわけです.

カリスマというのは、歴史の偉人と同様であって
それが子孫や部下に受け継がれることがほとんどないことが
問題になってきます.

  頭脳や勤勉性については遺伝的要素が強いが
  「運」や「カリスマ」はまさに転部の資質なのだろう.

こうして組織の3代目の危機が始まります.

  周囲は二代目に対して物足りなさを覚え、
  二代目の側でもそのことを薄々感じるようになる.
  常に初代と比較されるのは二代目の宿命であるが
  当人としては心理的にかなり厳しいものだ.
  そこで、自分を守るための殻、すなわち取り巻きを
  作るようになる.
  そうなるとその会社は危うい.

会社、企業のみでなく、こうした二代目の危機は
国家にいたるまで見られるような気がします.

  急激に成長した企業というものは
  もともと人材が不足気味である上に、
  人材を組織的に育成・登用するシステムも整っていないからだ.
  社長が取り巻きを偏愛すれば、有能な人材は
  どんどん会社を離れてしまう.
  それでも二代目が社長のうちは何とか保つ.
  まだ初代が存命であったり、初代を支えていた実力幹部が
  社内に残っていたりするためだ.
 
こうした組織の成長から衰退への家庭は
企業に留まらず、様々な職種の組織にも当てはまりそうです.
組織を永らえさせる為には
様々な外来の才能や血を入れる必要があるということです.
「大学病院革命」とい書でも
大学病院の問題が述べられて、「混じる」ことの重要性が
強調されていましたが、そういうことなのだと思います.

  社長に意見を具申できる重鎮はもはや存在せず、
  組織内には「ヒラメ体質」がまん延し、
  トップが何を考えているこかを探る事が
  最大の関心事に成り果てる.
  かくしてイエスマンの側近に持て囃された裸の王様には、
  外部の目に会社がどう移っているかという発想が
  浮かばなくなる.
  これが「三代目の危機」というわけだ.

日本中で、様々な局面で、様々な組織で
この「三代目の危機」現象が発生していると考えられます.

危機に陥った組織を救っていくためには
トップのワンマン化を防ぎ
内外を問わず有能な人材を登用していくことが必要だということです.

「運」と「カリスマ」でもって
一代で起業した人たちは数多くいますが
この「三代目の危機」の呪縛から乗り越える事は
かなり難しいようです.

結局、究極の危機管理というのは
人材に尽きるということになりそうです.

まずは組織の危機の現状把握をしっかりとできるかどうか.
手間ひまを惜しまずに
有能な人材を集めて、対処に当たらせる事ができるかどうか
それがこれからの組織のトップに必要な要件なのでしょう.

名も無き個人としては
来るべき時に備えて
様々な個人の才能と牙を磨いておきましょう.
by yangt3 | 2007-08-12 00:03 | 皆さんに紹介したい本