もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

つきない悩み

地方の民間病院では、常に人手不足に
悩まされています.

これまで頼みにしてきた大学病院からの医師派遣も
非常勤ならばともかくも
常勤医師となると、なかなかめどが
たたないのが現状です.

当直開けの勤務は当たり前で
場合によれば、当直の翌日に夕診(夜診)まで
仕事が続く事さえあります.

厚生労働省がこうした現状に対して 
支援策を検討しているそうです.

--------------asahi.com 2007.08.21
医師の交代勤務を支援へ 導入病院に補助金 厚労省
http://www.asahi.com/health/news/TKY200708200265.html

a0055913_19533487.gif





 厚生労働省は医師不足対策として08年度から、
 医師の交代勤務制を導入した病院に補助金を出す制度を
 新設する方針を固めた。08年度予算の概算要求に
 5億円を盛り込む。
 過剰労働が医師の病院離れの一因となっているため、
 当直明けに休みが取れるような勤務態勢を整えた病院を支援する。

 新たな補助制度では、
 日中と夜間で医師が全員入れ替わる交代勤務にしたり、
 当直明けの医師が必ず休める勤務体系を導入したりして、
 医師の労働環境改善に取り組む病院に補助する。

 ただ、医師数に比較的余裕がある病院でなければ
 交代勤務を導入するのは難しく、
 医師不足が深刻な地方の公立病院などでは、
 補助対象となる勤務体系を導入できるかは不透明だ。

 厚労省によると、30〜40代男性の病院勤務医の
 1週間の平均勤務時間は約50時間で、
 同年代の診療所医師より10時間近く多い。
 当直明けの勤務医がそのまま通常の診察などを行う
 勤務体系が多くの病院で常態化しており、
 過剰労働に耐えきれずに開業医に転身する医師が後を絶たない。

 同省では、交代勤務を導入した病院に対し、
 こうした補助金だけでなく、診療報酬の上乗せも今後検討する。
--------------------------------------------------------------------------------
記事にあるように
医師の交代勤務を可能にするような体制をつくることこそ
大変なことだと思います.

逆にこうした支援策が災いして
医師がさらに大きな病院に集中していくか
より過酷な勤務になった現場医師の
立ち去り型サボタージュが加速するかもしれません.

厚労省は、こうした医師の交代勤務支援策に平行して
高度急性期病院を新設し、大病院への医師の集中を
計っているようです.

------------------SAnkeiweb 2007.08.22
「高度急性期病院」新設 外来受け付けず、重症治療専念
http://www.sankei.co.jp/seikatsu/kenko/070822/knk070822000.htm

(図は記事から引用させていただきました)

a0055913_1950499.jpg


 厚生労働省は21日、救急医療などを行う病院を再編し、
 脳や心臓手術などの高度な医療技術が必要な患者を
 専門的に治療するための
 「高度急性期病院」(仮称)を新設する方針を固めた。
 外来患者は原則として受け付けず、医師や最新医療機器を集中させ、
 重症患者のたらい回しを避ける狙いもある。
 人口30万人に1カ所程度設置する考えで、
 各都道府県にある国公立病院からの移行を念頭に置いている。
 今秋、中央社会保険医療協議会(中医協)に提示、
 平成20年度診療報酬改定で報酬点数の加算を目指す。

 厚労省が急性期病院の集約・再編に乗り出すことにしたのは、
 勤務医不足の深刻化で、医師が各病院に分散すると、
 高度な医療を担える態勢づくりが困難になるとの懸念があるためだ。

 現在、患者が大病院に集中する傾向が続いており、
 外来患者の診察をしながら高度な手術などを行うには、
 十分な医師数を確保せざるを得ないのが実態だ。
 高度医療には専門的な医療知識のある医師のほか、
 最新の医療機器の充実も必要で、
 病院の集約・再編が不可避と判断した。

 再編は、受け入れ患者の病状の重さに応じて
 高度急性期病院と「一般急性期病院」(仮称)に区分する。
 高度急性期病院は、他の医療機関などからの紹介を基本とし、
 各診療科の専門医など十分な人員配置を図り、
 総合的かつ専門的な診察ができる態勢をとる。

 具体的には、最新鋭の医療機器を集中的に導入し、
 難易度の高い手術にも対応できる環境を整える。
 ひとまず、各都道府県の国公立病院からの移行を念頭に、
 それぞれ数カ所から十数カ所を設置したい考えだ。

 これに対し、一般急性期病院は、
 従来のように救急搬送の患者や外来患者を受け入れる。
 比較的簡単な手術を実施するほか、
 各地域の医療拠点としての役割を担当。
 高度急性期病院を退院後に引き続き、
 入院治療を必要とする患者の受け皿としての機能も担う。

 例えば、自宅近くの一般急性期病院に入院した患者が
 難しい手術が必要と診断された場合、高度急性期病院に転院。
 病状が良くなれば、再び自宅近くの一般急性期病院に戻って、
 術後の治療を受ける−といった流れとなる。
 交通事故などで大きなけがをした場合は、
 救急車で直接、高度急性期病院に運び込まれるケースも想定している。

 厚労省は、20年度の診療報酬の改定に合わせて導入を目指しており、
 高度急性期病院の入院基本料の設定など具体案づくりを急いでいる。
-------------------------------------------------------------------------------------------
医師、看護師などの人的スタッフも有限であり
医療資源も有限です.

医師の交代勤務体制をとれない中小の病院からは
ますます医師、スタッフが離れていく傾向に
拍車がかかるのかもしれません.

循環器救急や脳血管障害救急
そして多発外傷などは、とにかく多くのスタッフが豊富にいなければ
現場での救急業務を継続的に、持続的に
一定以上の良質なレベルを保って、仕事を続けていくことが
できないと思います.

少ないスタッフと交代勤務の医師のいない病院で働く
循環器科救急担当の循環器科医師の身の振り方も
考えていかなければならないかもしれません.

いつもお世話になっている心臓外科医の先生が教えてくれたプランは
この厚労省案をさらに進めたものです.
人口30万人に1つ医療センターをつくるということは
同じなのですが
そうして集中して集めた循環器医師、各科専門家スタッフ、救急スタッフを
ひとつの人材バンクとして
そこから各地域に医師を派遣していくという考え方です.

たった一人の循環器科医師として
地方に赴任したとしても、できることは本当に限られています.
たった一人で24時間の循環器科オンコールを受け持つ事は
最初は、頑張れても、そのうち心身ともに破綻が必ずやってきます.

地方や中小病院で、大学病院や大病院と同じく
高度医療も含めて全ての医療を行う事は
とてもできることではありません.

むしろ中小病院に求められているのは
各地域の大病院、中核病院との間をつなぐ
いわばハブの役割であると思います.

CT、MR、カテーテル検査など各種画像検査結果や
血液検査、カルテ情報などの
シームレスな連携など
もっと突っ込んだインフラの整備を行う事で
中小病院の小回りの良さを生かせるように思います.

最近、医療機関の倒産急増のニュースをよく目にするようになりました.
--------------------------Tokyo Web 2007.7.26
医療機関の倒産急増 半年間で昨年並み 診療報酬下げ影響
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007072602035809.html

 一−六月の医療機関の倒産が全国二十都道府県で三十一件と、
 例年の二倍のペースで急増していることが二十五日、
 帝国データバンクの調べで分かった。診療報酬引き下げによる
 収入減や患者による選別が進んでいることが主な要因で、
 地域医療に影響が出る恐れもありそうだ。
 医療機関の倒産は、過去数年、年間約三十件前後で推移していたが、
 今年に入ってペースが加速。半年間で昨年の年間件数を上回った。
 負債総額は三百一億八千二百万円で外食産業の約三百五十億円並み。
 既に二〇〇六年一年間の倍以上となった。
 都道府県別で最も多いのは東京の六件。次いで北海道、
 神奈川がそれぞれ三件、埼玉、千葉の二件と続く。
 医療機関別では病院と診療所がそれぞれ十一件、歯科医院が九件。
 全倒産のうち八件は民事再生法の適用申請で、
 申請が認められれば診療は続けられるが、
 残りは破産申請で診療は中止される。
 政府は、膨らみ続ける医療費を抑制するため、
 医療機関に支払う診療報酬を〇六年度の改定で
 3・16%と過去最大幅で引き下げた。
 この結果、収入が減る一方で債務を抱え経営難に陥った医療機関が増加。
 また、医療費負担増や勤務医離れによる診察科の縮小などで
 来院患者が減り、経営難となっているところもあるとみられる。
 経営が苦しくなった医療機関に
 投資ファンドが資金供給するケースも増えており、
 医療の“市場化”も進行。都市部を中心に医療機関の間でも競争が激化し、
 「病院をランク付けした本など情報が増えたこと」(帝国データ)で
 患者による医療機関の選別も広がっている.
---------------------------------------------------------------------------------------
たとえば、循環器の分野に絞ってみても
繊細なカテーテル治療に対応するためには
より高性能な(高額な)血管カテーテル装置が必要になります.

さらに最近の非侵襲検査の流れを受けて
通常のカテーテルによる冠動脈造影検査に変わって
高性能(64列)CTによる冠動脈検査が行われるようになってきています.

民間の中規模病院で
循環器科救急に真剣に対応しようとすれば
まず必要な医師の確保にも頭を悩ませ
さらに
こうした高額な検査、治療機器の導入も必要になります.

実際に、無理な医療機器導入への設備投資がたたって
倒産に追い込まれた病院もあるわけです.

このまま古い機械や設備で、少ない人員で我慢して
仕事を続けるか
人材も豊富で交代勤務もできて
最新の設備がある病院で勤務するか
医師として、循環器科医としてのキャリアを考えても
なかなか難しい問題ではあります.
by yangt3 | 2007-08-22 19:53 | ニュース