もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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緊急時の医療情報をネットで登録

先日、電車の中で意識を無くしたという
高齢者の方が救急来院されました.
救急外来を受診された時には、呼びかけに
顔をしかめる程度の反応だけでした.

目も開けられず、もちろん名前も住所も言えるわけもなく
最初は患者情報はなにもありませんでした.

初期検査と初期治療を行いながら
この患者さんの既往歴、通院歴、病歴などの
情報収集にあたりました.

付き添っていた人もおらず
全く情報もなく本当に困ってしまいました.

幸いに頭部CT、頭部MR・Diffusionにも異常はなく
新しい脳梗塞もなく、出血もなく
脳血管障害は否定的でした....

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患者さんの所持品に、インスリンと注射器が見つかり
とある病院の診察券があったため
結局の所は、通院の病院が判明しました.

通院していた病院に取り急ぎ連絡をとり
必要な臨床情報を得る事ができました.

最終的には、インスリン投与中の糖尿病の患者さんであり
今回のエピソードは、低血糖による意識障害と判断されました.
一晩の点滴、安静と、グルコースの静脈投与によって
翌日には、意識も改善しました.

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このように、緊急時に既往歴や手術歴、通院歴などの臨床娘胞が
即時にわかれば、迅速な検査、迅速な診断治療が可能となり
ひいては救急患者さんの救命につながります.

低血糖発作も、きちんと診断されることなく
無駄に時間をすごせば、遷延する低血糖により重大な合併症や
不良な予後に繋がりかねません.

腹痛で来院された患者さんの腹部に
手術創があれば、前に受けた手術との間径を疑う必要があります.
腹部レントゲンにてイレウス像を認めれば
癒着性イレウスではないかと、疑う事になります.

最近に、狭心症や心筋梗塞などでステント植え込み、カテーテル治療を
受けられた患者さんが胸痛で来院されれば
まずステントの再狭窄、ステントの血栓症を含む
狭心症、心筋梗塞の有無を迅速に判断しなければなりません.

多発外傷などの場合で、患者本人からの情報収集が困難な時に
事前の既往歴、手術歴、血液型などがあらかじめわかれば
迅速や輸血療法も可能になります.

自分の病院に通院されている患者であれば
科が違っても、カルテをめくってくまなく情報収集をすれば
救急に必要な情報を比較的簡単に得る事はできます.

しかし初めて来院される患者さんにおいては
どうしたらよいのでしょうか.

例えば、薬剤溶出ステント植え込み治療を行った患者においては
患者カードをお渡ししており
緊急の際にそのカードを持ち歩く事で
薬剤溶出ステント植え込み患者であることがわかります.

ペースメーカー植え込みされた方であれば
ペースメーカー手帳がその役割を果たすでしょう.

細かい詳細な臨床情報は、こうしたカードだけでは
不十分であることは明らかです.

緊急時に必要な臨床情報、医療情報をなんとか
簡単に迅速に入手することはできないかと
現場の臨床医はいつも感じています.

こうした問題については、いくつかの取り組みがあるようです.

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1)-----------------------北海道新聞 07.09.03
既往症、手術歴をネット登録 緊急時、病院に情報提供 
江別の医療関連企業が新事業
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/economic/47289.html

 元医療関係者らでつくる日本医療情報バンク(江別)は、
 個人の医療情報を事前に登録しておき、救急医療を受ける際に
 インターネットで病院側に速やかに情報提供するサービスを始めた.
 同社は「緊急時に備えてほしい」とし、
 単身赴任の従業員の多い企業や高齢者のいる福祉施設などに
 利用を呼びかけている.

 このサービスでは、会員はかかりつけの病院名や、
 通院、手術の履歴、既往症、ペースメーカーの有無などの情報を
 事前に登録。同社は会員番号と、データ確認の際に
 入力する認証コードを書き込んだカードを発行する.

 会員が事故などに遭遇し救急病院に運ばれた場合、
 意識を失うなどで自分の医療情報を正確に伝えられない状態でも、
 医療機関がカードに従ってホームページにアクセスすれば、
 初期医療に必要な情報を入手できる。

 同社の佐藤覚社長は今年三月末まで新さっぽろ脳神経外科病院で
 医事課長として救急医療の現場に接し、
 短時間で患者の医療情報を集める難しさを実感したため、
 このサービスの事業化に踏み切ったという.
 個人一人の年間登録料は三千百五十円.
 問い合わせは同社(電)011・522・8455へ.

2)------------------FujiSankei buisiness i. 2007.08.20
カルテをケータイ…旅先でも医療情報
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200708200030a.nwc

 かかりつけ医で受けている治療や投薬などの情報を、
 患者が携帯電話に入れて持ち歩けるシステムを、
 東京のクリニック医師らのグループが開発した.
 ネットワークに接続せずいつでも自分の医療情報を確認でき、
 旅行先などで役立ちそうだ.

 「candy」と名付けたこのシステムは、
 患者の携帯にあらかじめ専用のソフトをダウンロードし、
 受診時に電子カルテのデータを赤外線通信で送る仕組み.
 検査や治療・投薬の履歴、アレルギー、禁忌薬などを参照できる、
 いわば「健康手帳」「お薬手帳」の電子版.
 最初にダウンロードする際の通信料以外に費用は掛からない.

 開発したのは、吉原内科クリニック(東京都中央区)の吉原正彦院長ら.
 大阪勤務時代の阪神大震災の経験などから
 「何かあったときに患者自身の手元に情報があることが必要」と考え、
 通話だけでない情報端末として機能が進化している携帯電話に着目した.

 携帯からネットワーク経由でデータベースにアクセスする方法は
 いくつかの病院などで始まっているが、
 「ネットに個人情報を置くことは不安で、電波状態や通信料の問題もある」と
 同院長.現在200余りの医療機関が取り入れている.
-----------------------------------------------------------------------------------
厚生労働省も患者情報の入ったIC カードの導入を検討しているようです.

Winnyなどのファイル交換ソフトを介した
PCからの情報流出がしばしば問題となっており
こうした救急領域での情報管理を考える場合に
個人情報の保護は、常に重要な問題です.

簡便さ、簡単さと、セキュリティーとがうまく合致するのが
よい方法ということになります.

不特定多数や全ての患者さんにおいて
こうした情報提供システムを構築するには、
まだまだ議論すべき、そして構築すべきインフラが多く残っているようです.

今回、紹介した記事においてはいずれも
あらかじめ登録している人々だけが
このシステムを利用でいるということになります.

今後、こうしたシステムを導入するにあたり
地域の医療状況に応じた方法をきちんと考えていく事が大事でしょう.

病院や地域で新しいシステムを導入するには
その財源をどうするかという問題もありますが
迅速な臨床情報の管理が、患者さんの救命に繋がるという一点を
忘れては成らないと思います.

今日からすぐできることとしては、
・カルテをしっかり書く事.
 他の病院から夜間、時間外に照会が会った場合に
 担当医がいることは、まれで、ほとんどの場合
 他の医師がカルテを見ながら、返答することになります.

 誰がみても読める字でカルテを書く事.
 臨床経過がわるように、カルテを書く事
 手術記録、カテ記録、ショートサマリー、検査記録なども
 きちんとわかるように書く事
 わかっているけど、なかなか大変ですね.

 研修医の頃、胆石の手術予定の患者さんのカルテを
 術前に詳細にみたところ、以前に大腸ポリープを切除したことが
 判明しました.病理所見もちょっと気になった為
 一応、注腸検査を行って、早期の大腸ガンをみつけることが
 できました.

 そんなわけでカルテをきちんと全部
 目を通す事の重要性を痛感しました.

・患者さんや、患者さんへの説明をしっかり行う事
 特に高齢者の場合は、ご本人への説明だけでは不十分なことも多く
 一人暮らしの高齢者をどうしていくかという問題もあります.
 離れに済んでいる高齢者が救急来院されて
 家族の方に、普段の病歴をお聞きしても
 離れているからわからない、という答えを時々聞く事があります.
 
電子化を行っても、こうしたことはやはり基本になると思います.

私の場合は、最近、自分がカテーテル治療を行った患者さんは
一応全て頭に入っています.
勿論データーベースも作ってはいますが
一人一人の方の診療を丹念に行っていくということを
忘れないようにしています.

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by yangt3 | 2007-09-05 00:36 | ニュース